あとぴナビの特集より、前向きな気持ちがアトピーを改善(3)

編集の北です。

 

 

 

 

 

 

 

                       
今日は、ドーパミンの部分について見ていきましょう
          
        
●あとぴナビ・サイエンス
前向きな気持ちがアトピーを改善する
         
▼ドーパミン分泌だけを狙う方法
             
最初の実験は、脳でドーパミンを分泌する神経細胞(VTA)だけを狙って活性化させ、そのマウスのアレルギー反応を調べようというものです。当然ですが、VTA以外の神経細胞も同時に活性化してしまうと、何がアレルギー反応に影響しているのか判別しにくくなります。そこで、ドーパミンを分泌するVTAだけを活性化させれば、実験の精度は非常に高いものになります。それにしても、脳の奥の方にある特定の神経細胞だけを活性化させることができるとは驚きです。DREADD(designer receptors exclusively activated by designer drugs)という脳科学の最先端技術により、脳の特定部分を活性化させる手順を簡単に説明しておきましょう。
            
①VTAの神経細胞に「特殊な受容体」ができる遺伝子変異が起こるようにする。
②VTAの神経細胞にできた「特殊な受容体」のみに結合できる、人工的な物質をマウスに打つ。
③「特殊な受容体」が活性化する(=VTAの神経細胞が活性化する)。
④人為的にドーパミンを分泌させることができるようになる。
            
①~④の手順をみると、ポイントはVTAの神経細胞に「特殊な受容体」が必要であることです。この受容体が目印になることで、VTAの神経細胞をピンポイントで活性化させることができるわけです。
①の段階でVTAの神経細胞に「特殊な受容体」ができるようにするのですが、この操作にはウイルスを使います。ウイルスと聞くとギョッとしてしまうかもしれませんが、ウイルスベクターと呼ばれる病原性のないウイルスです。このウイルスの遺伝子には、VTAの神経細胞に「特殊な受容体」ができる遺伝子変異が起こさせるような細工(ゲノム操作)がしてあります。ウイルスは生物の細胞に侵入できますから、このウイルスをVTAの神経細胞めがけて送り込むと、ウイルス感染した神経細胞には「特殊な受容体」ができるようになるわけです。
            
▼ドーパミンが症状緩和をうながした
         
この実験では、以上のような手法でVTAをピンポイントで活性化させることのできるマウス(7匹)を作成し、皮膚にアレルギー反応(じんましん)が起こる注射をしました。さらに何も手を加えていない通常のマウス(7匹)にも同じ注射をして、アレルギー反応を比較してみたのです。
すると、VTA活性化マウスの方が、通常のマウスよりも有意にアレルギー反応が起きにくい(じんましんの症状が軽い)という結果が出ました。写真Aをみてください。上の写真は、通常のマウス(左)とVTA活性化マウス(右)のじんましんの症状(青い部分が症状の強さを表している)を撮影したものです。VTA活性化マウスの方がじんましんの範囲が狭く、青色が薄いことがわかると思います。
下の画像をみるとさらに違いが顕著です。これは上の写真と同じものですが、症状を定量化するためにコンピュータ処理が施されたものです。通常のマウスの方が、じんましんの症状が強く出ている(白い部分)ことが一目瞭然です。この定量化をグラフにしたものが、グラフAです。
       
        
続きは明日にしたいと思います。
明日が最後となります。

                           
おまけ★★★★大田のつぶやき

蕁麻疹のような即時型のアレルギー反応は、アレルゲンなどに反応するため、その現れ方は速度が速いのですが、記事のように、そこにも影響を与えることがあるのは興味深いところですね。
実験1の結果からは、VTA活性化マウスは通常のマウスよりも症状が軽く、ドーパミン報酬系がアレルギー症状改善と因果関係を持つと考えることができます。