アトピーは洗った方が良い?洗わない方が良い?(3)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                   
今日も昨日の続きになります。
                    
          
●アトピー性皮膚炎のスキンケア、洗う? 洗わない?
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▼保湿剤は、必要ですか?
            
とはいっても、保湿剤を毎日塗るのは大変ですよね。でも、大切なことですのでアトピー性皮膚炎に対する保湿剤の必要性に関し、説明を追加したいと思います。
まず、生後1週間以内の赤ちゃんに対し、保湿剤を毎日塗っていくとアトピー性皮膚炎の発症が3割減るという報告があります。
さらに、皮膚のバリア機能が生まれつき低い方がアトピー性皮膚炎を発症しやすいものの、保湿剤をきちんと塗っているとバリア機能が低くても発症しにくくなるとも報告されています。保湿剤により、アトピー性皮膚炎の発症リスクを下げられるわけです。
そして、発症したアトピー性皮膚炎に対してもまた、保湿剤の有効性が明らかになっています。例えば2?12歳のアトピー性皮膚炎の子ども64名に対する報告では、保湿剤をきちんと塗るほうがアトピー性皮膚炎の悪化を有意に減らすことができると証明されています。
保湿剤は、発症を減らし悪化も防ぐことが判明しているといえるでしょう。ただ、それでも保湿剤を塗るのは手間ですので、保湿入浴剤で代用できないかもご質問を受けることがあります。
しかし保湿入浴剤に関しては、482人もの小児アトピー性皮膚炎に対する研究結果が最近報告され、効果は乏しいのではないかという結果でした。保湿入浴剤は使うことは構わないと考えますが、やはり、しっかりと保湿剤を塗ったほうがよさそうです。
            
▼塩素や水の硬度に関してはどうでしょうか?
          
水道水やプールの塩素に関してもご質問を受けることが多いです。
塩素(水道水やプールの消毒薬の一種)は、黄色ブドウ球菌のバイオフィルム(菌を守る膜のようなもの)を減らす作用があることから、アトピー性皮膚炎に対する効果が期待されます。
しかし、最近行われた、うすめた塩素による入浴でアトピー性皮膚炎の改善をみた研究では改善に差がなかったとされており、さらに過去行われた複数の研究をまとめた報告でも結論はだせていません。
そのため私は、アトピー性皮膚炎に対して、うすめた塩素による治療は、今のところ勧めていません。
塩素を使用するプールに関しては、アトピー性皮膚炎が2.7倍程度悪化する可能性があるという報告があります。おそらくプールの水は塩素以外にも多くの化学成分や汚染物質が含まれますので、アトピーに悪い作用があるのでしょう。
できればプール後にはきちんとシャワーで流してから保湿剤を塗ったほうが良いと考えられます。
最後に、水の硬度に関してです。水の硬度はカルシウムやマグネシウムで決められる水の性質を表す指標です。水の硬度が上がるほどアトピー性皮膚炎の発症リスクがあがるという報告があります。
しかし、366人の中等症以上のアトピー性皮膚炎の子どもに軟水器(水の硬度を下げる器械)を使用しても、使用しなかったグループと比較して重症度はかわらなかったという結果が報告されています。私は、あわてて軟水器を導入する意義は低いと考えています。
             
            
今日のポイントは、「保湿」という部分でしょう。
記事にあるように、新生児に対して保湿を行ったグループと行わなかったグループで比較すると、前者の方がアトピー性皮膚炎の発症が少ないことが確認されています。
考えなければならない部分があるとするならば、なぜ「保湿」を肌が必要としているのか、というところでしょう。
角質層に必要な水分の保持、角質層の水分蒸散量を抑える働き、皮膚へのアレルゲンなど異物からの刺激をガードするため、いろいろな働きが考えられますが、個々人ごとに、必要とする「働き」は異なります。
そして何より大切なのは、そうした保湿を行った結果、「肌は何を得られたのか」を考えていくことでしょう。
そこに、アトピー性皮膚炎解決へのポイントが潜んでいる、と言えます。

明日は、記事の紹介の最後となります。

                       
おまけ★★★★南のつぶやき

今日の記事に紹介されていた「保湿」とは、本来対局の位置にあるべきなのが、現在、医師が行っている「プロアクティブ療法」といえるでしょう。
症状が良くなった状態で、ステロイド剤をあえて塗ることで炎症を抑える、これを新生児にも行い、皮膚のバリア機能を維持することでアレルゲンなどへの感作を防ぐ、という方法です。
とはいえ、この方法は、皮膚の細菌叢のバランスに与える影響までは深く考えられていないのが実情です。
なぜ、「薬」である必要があるのか、臨床を重ねて欲しいところです。