プロアクティブ療法について考える(7)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                    
今日が、今回のテーマの最後になります。
          
       
▼なぜプロアクティブ療法でないとダメなのかが臨床されていないこと
    
少し話がそれましたが、いずれにしても、プロアクティブ治療は、アトピー性皮膚炎の「予防」として行われる治療法として「最適な治療法」とは言えない現実があることを忘れてはならないでしょう。
        
皮膚科医は、アトピー性皮膚炎の炎症を「火事」に例えることが多いようです。
火事だからこそ、急いで消化する必要があるのでステロイド剤を使う、そして消化したと思っても種火が残っていれば、再燃する恐れがあるのでプロアクティブ治療で再燃を抑えましょう、ということです。
では、消化が十分にできたあとでも、消火作業をいつまでも続けることは必要でしょうか?プロアクティブ治療においては、消化が終わった部位に消火剤をまき続けることのダメージをどう考えていくのかが大切になるようです。
          
アトピー性皮膚炎の患者数がまだ多くなく、増加傾向に至る前の1980~1990年頃は、皮膚科医はステロイド剤の安全性を強く主張していました。
しかし、患者数の増加と共にステロイド剤を使用する患者数が増え、マイナスの影響を受けた事例が増加、いったんはガイドラインで専門医の指導の元にステロイド剤を使用すれば副作用は生じない、としていた主張が、長期連用については症状の経過を観察しながら慎重に行うように、と変化しました。
現在のプロアクティブ治療については、昔のアトピー治療と同じく、安全性を強調できるデータを用いて、そのリスクに目を向けようとしていない現状が見受けられます。今後、プロアクティブ治療を行う患者が増え、昔と同じようにマイナスの影響が表面化してきてはじめて方向転換をするのでしょうか?
ステロイド剤やプロトピック軟膏のアトピー性皮膚炎に対するマイナスの影響は、薬剤そのものが持つ「副作用」の影響が問題なのではありません。
アトピー性皮膚炎の悪化要因となる影響については、薬物の短期使用で現れるものでもありません。
しかし、長期にわたる連用は、個々人ごとに異なる影響を示すとは言え、その影響の中には確実に、IgEの増強、細菌叢への影響が含まれてくることがあり、そうした場合に、アトピー性皮膚炎は悪化します。
この悪化状況を、元のアトピー性皮膚炎が悪化した状況、とみなすのか、ステロイド剤などの影響により新しく発症したアトピー性皮膚炎とみなすのか、これはその後のリアクティブ治療にも大きく関わってくることになります。
「プロアクティブ治療」が示す治療の方向性と、「単なるスキンケア」が示す方向性に大差がなかった場合(プロアクティブ治療で示される有効性が、実は免疫抑制作用による効果ではなく、基剤が持つスキンケアの働きであることが考えられるため)、薬が持つ副作用とケアアイテムが持つマイナスの作用は、当然ながら雲泥の差があることから、患者自身に現れる影響も全く異なるものとなります。
          
ぜひ、医療機関において、プロアクティブ治療がスキンケアと異なる有効性を示すエビデンスを明らかにして欲しいと思います。
プロアクティブ治療は、決してリスクがない治療法ではありません。なぜなら、薬剤の使用を行う以上、その使用による効果を受けた場合には、影響の差はあったとしても、マイナスの影響を受けることになるからです。
これからプロアクティブ治療を実践される方は、現状、プロアクティブ治療における長期の安全性は、有期で示されたものに過ぎないこと(ステロイド剤で16週、プロトピック軟膏で1年間)、プロアクティブ治療とスキンケア治療の有効性の差は検証されていないことをもう一度考えてみるようにしましょう。
               
            
実は、アトピー性皮膚炎の治癒後におけるスキンケアの重要性は、乳幼児においてエビデンスが示されています。
しかし、そのスキンケアよりもプロアクティブ療法の方が優れている、というエビデンスは存在していません。
効果は副作用と表裏の関係にあります。効果が得られれば得られるほど、副作用のリスクも高まること、そして副作用が一切なければ効果も得られておらず、行う「意味合い」がないことを忘れてはならないでしょう。

                          
おまけ★★★★大田のつぶやき

プロアクティブ治療の「本当の評価」は、10年以上経過して、明らかになるように感じます。
ステロイド剤がアトピー性皮膚炎の治療として多用されるようになった初期の段階と、非常に似ているように思います。
メリットがデメリットを凌駕しているのであれば、その治療に「意味」があることは確かです。しかし、デメリットが大きい場合、さらにメリットが他の方法でも十分得られる場合には、その治療を行う意味合いの「必然性」は失われます。
少なくとも現状に置いて、プロアクティブ療法は、有効性が確立されてはいても安全性が確立されてはいないこと、そして他の方法(スキンケアなど)との有意差も示されていないことは忘れないようにしましょう。