プロアクティブ療法について考える(1)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                   
ここ数年、皮膚科における治療で、「プロアクティブ治療」が推奨されることが多くなってきました。
簡単にいえば、良くなった後でも定期的にステロイド剤などの薬物治療を続け、寛解状態を維持させましょう、という方法です。
しかし、当初から指摘されていてプロアクティブ治療の問題点が、最近、表面化している傾向があるようです。
プロアクティブ治療のメリットとデメリットについて考えましょう。
         
▼プロアクティブ治療とリアクティブ治療の違い
       
アトピー性皮膚炎の治療法は、日本皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」により、薬物療法が主な治療法として定められています。そして現在の薬物療法は、症状が出たときに治療する「リアクティブ治療」と、症状が出る前やいったん症状が落ち着いた際に予防的に治療する「プロアクティブ治療」の2種類に分けられています。
リアクティブ治療とは、症状が現れて病院に行った際に治療を受けることを意味していますので、従来の治療法と考えてよいでしょう。
これに対してプロアクティブ治療とは、リアクティブ治療により症状が落ち着いてから、その後の再発を防ぐために行われる治療で、最近の皮膚科において主流になりつつある傾向が見られます。
        
▼プロアクティブ治療とは?
      
まず、プロアクティブ療法とは、どういった治療法なのでしょうか?
最新の、日本皮膚科学会ガイドライン「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版」に記載されていますので、その内容について見てみましょう。
「第1章」の「VI.治療」「3.薬物療法」「(1)抗炎症外用薬」の項目内にある「c.プロアクティブ療法」についての記述です。
        
c.プロアクティブ療法
プロアクティブ(proactive)療法は、再燃をよく繰り返す皮疹に対して、急性期の治療によって寛解導入した後に、保湿外用薬によるスキンケアに加え、ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬を定期的に(週2回など)塗布し、寛解状態を維持する治療法である(CQ8:推奨度1、エビデンスレベル:A)。それに対し、炎症が再燃した時に再度抗炎症外用薬を使って炎症をコントロールする方法をリアクティブ(reactive)療法という。
アトピー性皮膚炎では炎症が軽快して一見正常に見える皮膚も、組織学的には炎症細胞が残存しており、再び炎症を引き起こしやすい状態にある50)。そして、そのような場合にはTARCなどの病勢を反映するマーカーは正常値まで下がっていないことが多い。この潜在的な炎症が残っている期間は、ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬などの抗炎症外用薬を継続するかプロアクティブ療法を行うことによって、炎症の再燃を予防することが可能になることが多い)。ただし、抗炎症外用薬の連日塗布からプロアクティブ療法への移行は、皮膚炎が十分に改善した状態で行われることが重要で、必要塗布範囲、連日塗布から間欠塗布への移行時期、終了時期等については個々の症例に応じた対応が必要である。また、副作用の発現についても注意深い観察が必要なため、プロアクティブ療法を行う際は、アトピー性皮膚炎患者の皮膚症状の評価に精通した医師による治療、あるいは皮膚症状の評価に精通した医師と連携した治療が望ましい。なお、プロアクティブ療法を行っている間も保湿外用薬などによる毎日のスキンケアは継続することが勧められる。
(「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版」より抜粋)
          
            
簡単に言えば、症状が軽快した後でも、ステロイド剤やプロトピック軟膏を、少しずつ間隔を空けながら塗布し続ける、という方法です。
具体的なプロアクティブ療法の仕方については、長くなるので続きは明日にしたいと思います。

                      
おまけ★★★★博士のつぶやき

プロアクティブ療法は、これから皮膚科で主流となる治療法の位置付けのようじゃな。
ポイントは、プロアクティブ療法として行っているつもりが、実はリアクティブ療法じゃった、というような点じゃろう。プロアクティブ療法はあくまで症状が落ち着いた「あと」で行う方法じゃ。
症状が残ったままで行われる方法ではないことを注意すべきじゃろう。