アトピーの人はワクチンの効果が薄い?

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                    
インフルエンザのワクチンの効果については、その有効性について諸説諸々ありますが、興味深い論文が発表されたようですので、紹介しましょう。
        
       
●アトピー性皮膚炎を発症しているとインフルエンザワクチンの予防効果が低下する!
http://healthpress.jp/2017/02/post-2826.html
         
インフルエンザの流行は続いており、今から予防接種を受けても遅くはない。しかし、アトピー性皮膚炎のある人は皮内注射よりも筋肉注射を選ぶほうがよいことが、新たな研究で示された。アトピー性皮膚炎がある場合、注射の方法によって予防接種の効果に差が出る場合があるという。
      
▼ブドウ球菌が免疫細胞を皮膚から「撤退」させる
        
乾燥してひび割れたアトピー性皮膚炎患者の皮膚には、ブドウ球菌がコロニーを形成していることが多く、皮内注射でワクチンを接種した場合、免疫反応が低下すると考えられる。「ブドウ球菌感染はこうした患者に広くみられる問題であり、重度のアトピー性皮膚炎では90%の患者にコロニー形成が認められる」と研究を率いた全米ユダヤヘルス(デンバー)のDonald Leung氏は述べ、こうした患者は皮内注射よりも従来の筋肉注射のほうが高い防御効果を得られるとの考えを示している。
米国では、アトピー性皮膚炎は最もよくみられる慢性皮膚疾患であり、小児の 15%以上が罹患している。そのうち半数は大人になっても症状が持続する。米国では2011年に初めて成人を対象に皮内投与型のインフルエンザワクチンが承認された。針に恐怖を感じる人は当然、刺す深さの浅い皮内注射を好む。また、皮内注射は少ない薬量で十分な免疫効果が得られるという。
Leung氏らは、アトピー性皮膚炎により皮内注射の効果に変化がないのかを検討するため、アトピー性皮膚炎患者202人と皮膚症状のない136人を対象に免疫反応を追跡した。皮内注射と筋肉注射を受けた比率は半々であった。
約1カ月後、ワクチンの標的とするインフルエンザ株に対する防御を獲得したのは皮内注射群では11%であったのに対し、筋肉注射群では47%であった。42%の被験者で、皮膚の表面に付着した菌を測定するスワブ検体にブドウ球菌陽性がみられた。
研究グループは、ブドウ球菌の存在が皮内注射群の免疫獲得率を低下させる原因であったのかは未だ不明であると述べている。しかし、これまでの研究では、ブドウ球菌のコロニー形成が免疫細胞を皮膚から「撤退」させる可能性が示されている。また、ブドウ球菌は特定の免疫系細胞の活性を妨げる毒素を産生すると、研究著者らは説明している。
米ウィンスロップ大学病院(ミネオラ)のLeonard Krilov氏は、今回の知見 は、アトピー性皮膚炎のある小児は特にインフルエンザ予防接種の必要性が高いことを示すものだと述べている。「アトピー性皮膚炎のある小児は免疫が低下している可能性があり、インフルエンザにより通常より重い症状が引き起こされるリスクが高まる。このような小児はワクチン接種の対象とすべきである」と、Krilov氏は説明している。

今回の研究は「Journal of Allergy and Clinical Immunology」オンライン版に2月13日掲載された。
       
▼なぜ日本では筋肉注射での接種が少ないのか?
      
欧米に限らず日本以外の多くの国では、実はインフルエンザワクチンは筋肉注射で投与されている。日本ではほとんどが皮下注射になっている。
以前より筋肉注射の方が皮下注射より副反応が出づらく予防接種の効果が出やすいという見解も出ている。しかし、ワクチンの効果は抗原に対する抗体価上昇度で評価されるものなのだが、抗体価上昇のメカニズムは明確に分かっているワケではない。このため、個別の判断でインフルエンザの予防接種を筋肉注射で行なう医師もいる。
どうしてこんなことになっているのか? 実はこれには日本独特の理由がある。日本では1970年代までは風邪に対してもすぐに筋肉注射が行なわれるなど日常的な医療手技だった。ところが筋肉注射が原因で「筋拘縮症」が幼児の間で流行し社会問題となったのだ。
1977年の厚生労働省の発表によると筋拘縮症被害患者は9657名だが、自主検診によって確認されただけで、実際には数万人にのぼると推定されている。 こうした経緯から安易な筋肉注射の中止が呼びかけられてきたのだ。
この2~3年では、日本では次々と皮内注射型の接種が導入されてきている。皮下注射より効果が高いと言われていたが、非常に狭い範囲への投与であるために、接種に技術が必要であった。しかし、注射針を短くし、皮下組織の末梢血管及び神経に対するリスクを低減できる皮内投与専用新しいデバイスの開発が進んできたのだ。
今回の研究は効果が高いとされてきたこうした皮内注射と筋肉注射との比較研究だった。
アトピー性皮膚炎によるブドウ球菌のコロニーが皮内投与の効果を減じているのであれば、あたらめてインフルエンザワクチンの接種方法を検討すべきだろう。果たして日本でのワクチン接種の方法の選択はこれでいいのか? 国際標準との乖離はないのか?
         
        
記事中の皮内注射とは、皮膚に浅く注射針を刺すことで、日本の場合、ワクチンを摂取する際、主流の方法のようです。
しかし、黄色ブドウ球菌による皮膚の免疫機能への影響が関わることで、ワクチンそのものの効果も低下させるおそれがあるです。
黄色ブドウ球菌が出すデルタ毒素は、過去の研究でもIgEを増強させアレルギー的な要因を作り出すことが報告されていますが、アトピー性皮膚炎の方の場合、90%の方に黄色ブドウ球菌のコロニー形成が認められているようですので、気をつけなければならない要因の一つと言えるでしょう。
ワクチンの効果云々よりも、こうした皮膚や体内の免疫活動に対して、アトピー性皮膚炎の人が影響を受けている要因として「黄色ブドウ球菌」が関係していることは覚えておいた方が良いかもしれませんね。

                       
おまけ★★★★大田のつぶやき

もう一つ注目して欲しいのは、「アトピー性皮膚炎のある小児は免疫が低下している可能性があり、インフルエンザにより通常より重い症状が引き起こされるリスクが高まる。このような小児はワクチン接種の対象とすべきである」という部分です。
大事な部分は、小児がワクチン接種を行って欲しい、とい部分ではなく「アトピー性皮膚炎のある小児は免疫が低下している可能性があり」という部分です。
これまでアトピー性皮膚炎に対して、どちらかというと「アレルギーを引き起こす免疫が過剰になっていることで症状が現れる」つまり、免疫が弱いのではなく「強い」(正しくない働きとして)ことが関係している、とされることが多かったようです。
しかし、最近の日本の研究でも、アトピー性皮膚炎を引き起こす力は誰しもが持っていて、健常な人はそれが出ないように「コントロールする力」を正しく持っていて、アトピー性皮膚炎の人はその抑える力が弱いことでアトピー性皮膚炎が生じる、という考え方が進んできています。
つまり、アトピー性皮膚炎とは免疫力が過剰なせいで起きる疾患ではなく、免疫力が弱いことで生じる疾患、という考え方で、今回の研究結果も、どちらかといえば、それを裏付ける結果になっているのではないでしょうか?