アトピーとロイコトリエンB4

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                      
今日は、徳島大学から発表された、アトピー性皮膚炎についての、新しい研究記事を紹介しましょう。
         
        
●DHA/EPAを使ったアトピー性皮膚炎治療は、ロイコトリエンB4の産生抑制によって改善効果が得られた
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000011337.html
       
徳島大学大学院医歯薬学研究部の安友康二教授らの研究グループは、小児科医師・渡辺俊之先生との共同研究により、DHA/EPAのアトピー性皮膚炎に対する治療効果をマウス実験によって検証し、その研究成果を医学誌「The Journal of Medical Investigation」に発表しました。
        
 
【概要】
アトピー性皮膚炎は、症状の発症・悪化において、生理活性脂質のロイコトリエンB4(以下、LTB4)が深く関与していることが研究報告されてきました。しかし、アトピー性皮膚炎の治療という観点から、LTB4が研究されることはほとんどありませんでした。そこで、ω3系多価不飽和脂肪酸(DHA/EPA)がLTBの産生を拮抗的に抑制することに注目し、治療への応用可能性を検証しました。
 徳島大学大学院医歯薬学研究部・安友康二教授らの研究グループは、小児科医師・渡辺俊之先生との共同研究により、アトピー性皮膚炎様皮膚炎を発症させたモデルマウスを使い、DHA/EPAの治療実験を行いました。その結果、タクロリムス軟膏と併用することによって、LTB4が抑制され、皮膚症状が改善されることが確認されました。タクロリムス軟膏を単独で使用した場合と比較しても、皮膚症状が有意に抑制したことから、アトピー性皮膚炎治療の補助剤として、DHA/EPAを活用できる可能性が示されました。
        
【研究の背景】
 小児科医師・渡辺俊之先生と内外薬品株式会社(本社:富山市、社長:笹山敬輔)は、アトピー性皮膚炎の局所治療を目的として、DHA/EPA含有軟膏の開発に関する共同研究を行ってきました。また、渡辺先生は、DHA/EPA含有軟膏がアトピー性皮膚炎の症状を抑制することを実証してきました。しかし、その作用機序については、明らかになっていませんでした。そこで今回、アトピー性皮膚炎のモデルマウスを用いて、DHA/EPAの外用療法の有用性および作用機序を検証しました。
       
【研究手法と成果】
アトピー性皮膚炎様皮膚炎を発症させたモデルマウスに対し、タクロリムス軟膏単独塗布群(以下、単独群)とタクロリムス軟膏とDHA/EPA含有油の併用塗布群(以下、併用群)で比較を行いました。その結果、皮膚症状は併用群が有意に改善しました(図1)。また、単独群ではLTB4の値が変化しなかったのに対して、併用群ではLTB4の産生を有意に抑制しました(図2)。
さらに、皮膚症状とLTB4の因果関係を検証するために、症状が改善したマウスにLTB4を投与(皮下注射)する実験も行いました。その結果、再び悪化して皮膚炎症状が再現したことから(図3)、アトピー性皮膚炎の発現にLTB4が深く関与していること、および、DHA/EPAはLTB4の産生を抑制するという特異的作用によって、アトピー性皮膚炎治療に有効であることが示唆されました。 
         
【今後の予定】
 今回のマウス実験によって、DHA/EPAはLTB4の産生を抑制することにより、アトピー性皮膚炎に効果があることが強く示唆されました。今後は、DHAとEPAの適正な比率や作用機序について、さらなる解明をしていきたいと考えています。
        
          
記事は、タクロリムス軟膏との併用による研究が中心ですが、興味深いのは、DHA/EPAが、ロイコトリエンB4を抑制する、という部分でしょう。
ロイコトリエンB4は、症状の発症、悪化に関する因子のようですので、そこを抑制することが可能ならば、「治療」としての役割も確かに考えられると思います。
とはいえ、ω3系多価不飽和脂肪酸(DHA/EPA)を用いたサプリメントなどは、過去にもいろいろありましたが、いずれもアトピー性皮膚炎治療の主役となり続けたことはありませんので、適用範囲(あるいは、有効性が認められるための条件)が限られているのかもしれません。
今後の研究結果に期待したいですね。

                       
おまけ★★★★大田のつぶやき

記事では、タクロリムスとの併用で実験していましたが、免疫抑制作用がないものでの比較も、今後の研究ではチャレンジして欲しいところです。
できれば、患者にとって、マイナス要因が少ない「モノ」で証明できれば、東さんが書いていた「適用範囲」を別にしても、役立つ情報として生きてくることはあるでしょう。