2016年夏号の記事より(1)夏のアトピー対策

編集の北です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                 
今日は、今月号のあとぴナビに掲載された「夏のアトピー対策」の記事を紹介しましょう。
         
         
●夏のアトピー対策
(2016年夏号より)
          
現在、発表されている長期予報によれば、今年の夏も暑さは厳しくなる見込みのようです。
夏の時期、汗や紫外線など、冬など乾燥時期とは違った要因がアトピー性皮膚炎の症状を悪化させます。
特に感染症を併発しやすい要因が増える分、いったんお肌の状態を落とすと、回復が容易でないことが多くなる傾向が見られます。
夏の時期、アトピー性皮膚炎の方は、どういった対策が必要なのかを考えていきましょう。
         
▼夏の時期、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させる要因とは?
        
冬から春にかけては、大気の乾燥から角質層の水分蒸散量が増加、バリア機能が低下することで、皮膚が異常な細菌叢を形成します。そして、黄色ブドウ球菌などによりIgEが増加することで、アレルギー的な要因からアトピー性皮膚炎の症状が悪化します。
夏の時期は、湿度が上昇することで、角質層の水分蒸散量は冬の時期と比べると低くなりますが、汗や紫外線など、違った悪化要因が増えます。やっかいなのは、悪化要因が増えることでアレルギー的な要因も増加、痒みや炎症が増悪しますが、同時にアトピー性皮膚炎の症状を悪化させる原因となる感染症を引き起こしやすくなることです。
特に、黄色ブドウ球菌の感染症が増悪すると、直接、IgEを増強することにもなりますし、ヘルペスウィルスが原因となるカポジ水痘様発疹症は、皮膚症状だけでなく、高熱や痛みなど全身症状の悪化を伴います。
外的な環境は、湿度と気温が高まることで、こうした細菌やウィルスが増殖しやすくなっているため、いったん感染症に陥ると、そこからの回復には、薬剤による治療が必要になることも少なくありません。
まずは、これからの時期、感染症の悪化につながるような、「肌の悪化要因」をできる限り少なくし、対処するように心がけていきましょう。
         
▼汗対策
          
対策で必要なのは、まず「汗対策」です。
汗は、皮膚のスキンケアの役割(皮脂と汗が乳化することで弱酸性の皮脂膜を形成する)を担っていて、「不必要」なものではありません。しかし、平成25年6月には、広島大学が、マラセチア属真菌が関係するヒトの汗の中に含まれるヒスタミン遊離活性物質(汗抗原)がアトピー性皮膚炎の悪化要因であることを突き止めた研究発表を行ったように、汗は、痒みを引き起こす原因の一つと言えます。
気温の上昇と共に、汗をかきやすくなり、そして湿度が高くなることで、かいた汗が皮膚に溜まりやすくなる、この状態で痒みが強くなると、掻き壊しからバリア機能が低下、感染症が増悪しやすい環境につながると言えるでしょう。
かいた汗は長時間放置しないようにしましょう。
            
         
▼紫外線対策
        
これからの時期、アトピー性皮膚炎の症状悪化につながる大きな要因の一つは汗の他に、紫外線があります。
皮膚の表面には、「ランゲルハンス細胞」という樹状細胞が存在し、外敵などを察知するセンサーの役目を果たしています。そして、紫外線を浴び続けると、このランゲルハンス細胞が持つセンサーの役目が失われることが分かっています。
皮膚の免疫機能は、このセンサーが働くことで外敵に対して対処することができますから、センサーの機能が失われれば、免疫機能そのものが低下することに繋がります。
アトピー性皮膚炎の原因の一つには、皮膚表面における細菌叢の乱れが関係しており、紫外線はこの細菌叢の乱れを増長する恐れがある、ということです。その他にも、強い紫外線を浴び続けると、日焼けの症状があらわれますが、これは皮膚にとって炎症を生じさせる「ダメージ」です。
このように、紫外線は痒みに直接繋がる悪化要因の一つと言えますので、適切なUVケアを行うようにしましょう。
          
       
今日はまず前半部分の、汗と紫外線対策の分を掲載いたしました。
明日、紹介する「感染症」についても、今日の「汗」と「紫外線」が悪化要因につながったり、感染症のきっかけとなることが多いものです。
それ自体が炎症の悪化要因というだけでなく、他の悪化要因の引き金になることもあるようですので、しっかり対策は行いましょう。

明日は、「感染症」について見ていきましょう。

                         
おまけ★★★★大田のつぶやき

紫外線も汗も、アトピー性皮膚炎の症状に対する悪化要因であることは確かですが、では「意味のある働き」がないのか、というとそうでもありません。
汗は自分で行うスキンケアの基本とも言えますし、紫外線は体内でビタミンDの合成に関わるなど、「必要」とされている面もあります。
「過剰」な部分に対して対策を行うように心がけるとよいでしょう。