乾燥、冬のアトピー対策(3)

今日も続きじゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                     
昨日は悪循環を断ち切るために、最初の「バリア機能の低下」を防ぐ、そのためには「肌の乾燥」を防ぐことが大切であることを書いた。
今日は、その肌の乾燥を防ぐケアはどのように行えばよいのかを見ていきたい。

●乾燥=水分の不足

スキンケア、というと、「油分」による「保湿」(モイスチャー)をイメージする人が多いようじゃ。
じゃが、乾燥とは文字通り水分の不足、つまり角質層における水分不足、もしくは水分保持能力の低下、ということを指しておる。
保湿のケアとは、角質層に水分を留めるケア(モイスチャー)であり、角質層に水分を「与える」ケアではない。
角質層に油分で皮膜により多い水分の蒸発を防ぐ、あるいは角質層内で水分を保持させる機能を高めることが「保湿」のケアじゃが、もとから水分が少なければ、少ない水分をギリギリ保たせたとしても、バリア機能の低下を十分に防ぐことはできん。
水分を保持させることは大切な「要因」じゃが、元々の「水分があること」が基本として必要であることを考えると「補助的な要因」と言えるじゃろう。

では最も大切な要因が何か、というと、角質層が水分で満たされるように水分を「与える」つまり「保水」のケアが主たる要因として大切、ということが言えるじゃろう。

実際のアトピー性皮膚炎で悩む方が行っているケアを聞くと、保湿は行っていても保水ができていないケースが実に多い。
その一つの原因は、掻き壊しの状態がある肌に対しては、「水分」が浸みるため、保水のケアを敬遠し、浸みづらい油分のみのケアに頼っている、ということもあるじゃろう。
じゃが、昨日述べた「悪循環の輪」は、その原因の一つが「肌の乾燥」にある。
保湿のケアは、今述べたように、与えた水分を「逃さない」ための補助的な要因としては十分に機能してくれるが、水分そのものを角質層に生み出してくれるわけではない。

実は、ステロイド剤やプロトピック軟膏は、スキンケアとしての機能を持っておる。
基材がワセリンやクリームなどで、それにステロイド剤の成分が混ぜられており、元の基材がスキンケアとして機能しておる、ということじゃ。
じゃが、ここでもやはり問題は「水分」ということが言えるじゃろう。
薬は、昨日述べた悪循環の輪の3つ目(炎症が生じて痒みが増加)を断ち切ることができる。
できないのは、1のバリア機能の低下、という部分じゃ。
厳密に言えば、バリア機能の低下に基材の部分が全く関わらんというわけではないのじゃが、十分ではない。
したがって、お薬をお使いの方は、まず「保水」のケアを並行して行うようにすると良いじゃろう。
角質層に「保水」のケアで十分な水分を与えることができれば、ステロイド剤の基材が持つ「保湿」の機能が、肌のバリア機能の低下防止に繋がってくるじゃろう。

とはいえ、アトピー性皮膚炎の原因は多岐にわたるから、肌のケアだけでは痒みが抑えられない場合、結局のところ、ステロイド剤の長期連用に至ってしまえば、その副作用の影響を受けるリスクは高まる。
じゃが、実は薬をお使いの方も「正しいアトピーケア」を行っていないから、悪循環の輪が断ち切れておらん、というケースが多いのも確かじゃ。

もちろん、ステロイド剤やプロトピック軟膏は、免疫抑制作用により痒みを抑える効果があっても、免疫抑制作用により感染症を悪化させやすい、という「効果」も同時に持っておるから、その部分のマイナス面が大きいと、悪循環の輪を消すことが難しくはなるじゃろう。
まずは、悪循環の輪を断ち切るためのケア、基本となる「保水」をしっかり行い、そこに「補助」として「保湿」や低下したバリア機能を支える「保護」のスキンケア、そして場合によって薬剤の治療を加えていく、というように考えた方が良いじゃろうの。

ここまで「乾燥」の対策がなぜ大事なのかについて述べてきた。
「痒み」とは「バリア機能の低下」からみると、「原因」であり「結果」でもある。
そして、ここに「乾燥」が大きく関わってくる。
環境的に冬は、乾燥が進みやすい時期じゃ。
しっかりした「乾燥対策」を行って欲しいと思うの。

                                
おまけ★★★★南のつぶやき

痒みを知覚する神経線維は、角質層内の水分不足により、通常真皮内に留まっているはずが、角質層内に侵入、外部から皮膚への刺激(触るなど物理的な刺激)で痒みを知覚しやすくなります。
こうした炎症を元に生じない、神経性の痒みには、抗炎症効果で痒みを抑えるステロイド剤など、免疫を抑制することで効果を示す薬剤は、あまり効きません。
こうした「効かない痒み」があることも、ステロイド剤による長期連用、そしてそこから生じる副作用につながっている患者が増えている原因なのかもしれません。