アトピーと皮膚の異常細菌巣との関係とは?

北です。

 

 

 

 

 

 

 

                            
今月のあとぴナビが電子版で発行されていますが、その中から、慶応大学が今年の4月に発表したアトピー性皮膚炎と皮膚の異常細菌巣の関係について、アメリカの永尾先生に取材させていただいた記事を紹介しましょう。
        
         
●アトピー治療の新たな可能性を探る
(2015年7月号あとぴナビ電子版より)
         
■黄色ブドウ球菌とアトピー性皮膚炎
         
今年の4月、アトピー性皮膚炎の治療法が大きく変わる可能性を示唆する研究発表がマスコミ等で報じられ、話題になりました。米国衛生研究所(NIH)と慶応義塾大学の共同研究による「アトピー性皮膚炎は皮膚の異常細菌巣が引き起こす」という論文です。
4月22日付の日本経済新聞の記事には、「炎症を起こした皮膚には、『黄色ブドウ球菌』と『C・bovis』という2種類の細菌だけが目立った。健康な皮膚には様々な種類の細菌がいる。特定の菌に偏ることによって、アトピー性皮膚炎を発症している可能性があるという」と書かれています。
人間の体には、数多くの菌が共生しています。その種類は数百、数は数千兆にもおよぶといわれ、様々な働きを持つ多様な菌のバランスが人間の健康に影響を及ぼしています。皮膚にも様々な菌が存在し、皮膚表面の菌の多様性は腸内をしのぐことがわかってきたそうです。
皮膚には多様な菌が住み着き、それらのバランスのよい共生関係が健康な皮膚の状態をもたらしています。ところが、アトピー性皮膚炎が発症した場合は、皮膚表面の菌の種類が著しく減少し、その過半数が黄色ブドウ球菌によって占められます。アトピー性皮膚炎が発症した皮膚に黄色ブドウ球菌が異常繁殖することは、昔からわかっていたことです。しかし、黄色ブドウ球菌がアトピー性皮膚炎にどのように関わっているのかは、これまで解明されてきませんでした。
          
■アトピー発症のメカニズムを解明!?
          
慶應義塾大学医学部のプレスリリースには、本研究「アトピー性皮膚炎は皮膚の異常細菌巣が引き起こす」が、黄色ブドウ球菌とアトピー性皮膚炎の関係をマウスを使った実験によって解明したと書かれています。
はたして、黄色ブドウ球菌はアトピー性皮膚炎の原因なのでしょうか? それともアトピー性皮膚炎が発症した結果、黄色ブドウ球菌が増えているに過ぎないのでしょうか? アトピー性皮膚炎で黄色ブドウ球菌が増えるメカニズムがわかったのであれば、それは今後のアトピー治療にどのように活かしていくことができるのでしょうか? 
また、日本経済新聞の記事には「2種類(黄色ブドウ球菌とC・bovis)の細菌に効く抗生物質を投与すると、皮膚に炎症が起きないことも分かった」と書かれています。これは、抗生物質がアトピー性皮膚炎治療に有効であることを示しているのでしょうか? 薬剤治療といえば、ステロイドやプロトピックなどの免疫抑制剤についてはどう考えたらいいのでしょう? 新聞記事やプレスリリースの情報だけでは、様々な疑問がわいてきます。
            
■アトピー治療の新たな可能性
             
そこであとぴナビ編集部は、本研究の真意を確かめるために、研究グループ代表の永尾圭介博士(米国衛生研究所主任研究員、元慶應義塾大学医学部専任講師)にインタビューを試みました。永尾先生は論文資料を交えてとても分かりやすく説明してくださいましたが、詳しく話を聞くほど、新聞記事などの内容だけでは誤解を招く部分もあると感じました。
論文「アトピー性皮膚炎は皮膚の異常細菌巣が引き起こす」には、今後のアトピー性皮膚炎治療の方向性を示す重要な研究成果が示されています。この成果を正確にわかりやすく伝えることが、アトピー改善の一助となればと考えています。
詳細は、あとぴナビ秋号(2015年9月発行予定)の特集記事に掲載予定です。アトピー性皮膚炎の最新研究とともに、アトピーケアに役立つ情報もお伝えします。
ご期待ください!
            
          
今回の慶応大学の研究発表の詳細については、今年の秋号(9月に発行予定)で紹介する予定です。
記事の最後の方に書いてあるように、先生に取材させていただいた内容は、プレスリリースされた記事の内容から読み取れない奥深い部分に大きなポイントがあるように感じました。
確かに、最近のアトピー性皮膚炎の研究は、アレルギー的な側面よりも、皮膚機能の側面からアプローチしたものが増えてきており、これまでアレルギーの面から説明できなかったアトピー性皮膚炎の症状も、この皮膚の面から考えると説明できることがあることが分かります。
今回の研究については、2013年にネイチャーから発表された黄色ブドウ球菌とデルタ毒素、そしてアトピー性皮膚炎の関係に関する論文を読んでいましたので、黄色ブドウ球菌がアトピー性皮膚炎の原因につながっていることを違う側面から捉えた研究かと思っていましたが、実際にお話をお伺いして、黄色ブドウ球菌は大元の直接的な原因ではなく、さらにその前に「大きな原因」があったことが理解できました。
アトピー性皮膚炎は、アレルギー的な側面があることは確かだと思いますが、アレルギー以外の要因から考えることも大切であること、そして、その側面から必要な治療法は、現在、行われているアトピー性皮膚炎の治療法と異なることが、アトピー性皮膚炎を難治化させている人がいることに繋がっているように思います。
ぜひ、9月号の記事にはご期待ください。

                           
おまけ★★★★北のつぶやき

今回、紹介した慶応大学のプレスリリースは、Webでご覧いただけます。また、あとぴナビ7月号の電子版もパソコンなどで無料で見れますので、興味のある方は、ぜひご覧ください。
●慶応大学のプレスリリース
http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2015/osa3qr000000t3i7-att/20150422_nagao.pdf
●あとぴナビ7月号電子版
http://www.atopinavi.com/eb/index.html