感染、発病、そしてワクチン(2)

今日は、昨日の続きを書きたいと思う。

 

 

 

 

 

 

 

              
風疹のワクチンがどのように作られるのか、また、風疹のワクチンは厳密に言えば、野生株(自然に流行している風疹のウィルス株)とは違っていることは昨日、述べた通りだ。
では、風疹に罹患することは、現在、どのような問題点が指摘されているのだろうか?

                                              
2.風疹そのものが抱える問題点の評価

現在、風疹の流行により一番問題とされているのが、妊娠初期の妊婦が罹患することで生じる「先天性風疹症候群」だろう。
だが、一般の報道では、その「リスクの度合い」までは出ていない。
国立感染症研究所のデータをみると、「先天性風疹症候群」の発生は、下記のとおりである。
                           
http://www.nih.go.jp/niid/ja/rubella-m-111/700-idsc/3637-rubella-crs-20130612.html
                
2000年 1名
2001年 1名
2002年 1名
2003年 1名
2004年 10名
2005年 2名
2006年 なし
2007年 なし
2008年 なし
2009年 2名
2010年 なし
2011年 1名
2012年 6名
2013年 6名(6/12現在)
 
この内、ワクチン接種歴を見てみると、不明:13名、無し:13名、有り:4名となる。
風疹の患者数調査は2008年から実数把握のための全国調査に切り替わったが、それまでは基礎定点における調査だった。
2000年以降、突出して多い2004年だが、実はこの年の推計患者数は3万9千人だった。

http://idsc.nih.go.jp/iasr/27/314/tpc314-j.html

もちろん、実数ではないため純粋に比較はできないが、今年は現時点で1万人を越えたところであることを考えると、2004年の方が、はるかに多い数字である。
過去の先天性風疹症候群の患者の聞きとりからも、ワクチン接種を行った(と思われる方も含めて)方にも患者がいることを考えると、ワクチン接種をすることでリスクは確かに大きく減少するかもしれないが、なくならないことがわかるだろう。
なお、妊娠中の風疹罹患歴がない方にも、先天性風疹症候群の患者がいるのは、感染しただけで発病しなかったケースが含まれていると考えられる。
医学的な報道が一般の方に伝わるとき、それは「情報の一部」であることが多い。
情報を総合的に精査していくと、見えていなかった部分が分かることもある。
かといって、現在、推奨されている風疹ワクチンの接種が「無意味」ということではない。
気をつけて欲しいのは、「風疹ワクチン」の接種により「リスクがなくなる」と考えてしまうことだ。
もちろん、現時点において、風疹ワクチンが病原性風疹ウィルスそのものではなく、弱毒性風疹ウィルスに対する抗体を作るものであっても有効性は確認できているわけだから、リスクが軽減されることは確かだろう。

だが、今回、取り上げたように、自然発生している「野生株」といわれる病原性風疹ウィルスそのものが変異するケース、あるいはワクチン接種による抗体価が低くなる問題が考えられる以上、リスクとして問題となる妊娠期間中の女性とその家族は、そのリスクは最大限低くするためには、ワクチン接種後(あるいは幼少期にワクチン接種を行っていたとしても)も、物理的な感染リスクを下げるような行動(外出時のマスク、など)が必要だろうし、報道においても、こういったことを含めて伝えていくべきではないだろうか?

                                
おまけ★★★★西のつぶやき

アトピー性皮膚炎においても、情報の一部だけが伝えられ、背景に潜むリスクが過小評価されていることは多い。
例えば、ステロイド剤の使用についても、免疫を抑制することで痒みを軽減する「効果」と同時に、長期連用した際にIL-4がIgEの一部の受容体(ガラクチン)とsIgE-B細胞(表面IgEマイナスB細胞)の関連から、逆にIgEを増強するリスクがあることは、患者側には伝えられていない。
今回の風疹のワクチン接種を勧める報道においても、ワクチン接種における有効性の評価は、一般の人は過大に受け止めている傾向があるので、注意して欲しいと思う。