【閑話休題】ワクチンと感染では抗体の質が異なる?(2)

ショウゴです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                     
今日は、昨日の続きです。
            
          
●ワクチンと感染では作られる抗体の質が異なることを発見
-変異型ウイルスに対するワクチン開発への応用に期待-
https://www.riken.jp/press/2021/20210715_3/index.html
         
▼研究手法と成果
            
共同研究グループはまず、不活化ワクチン接種では産生されず、経鼻ウイルス感染によってのみ産生される広域中和抗体を解析できるマウスモデルを作製しました。このモデルでは、2009年パンデミックインフルエンザウイルス株[7](パンデミック株)から作製した不活化ワクチンを接種したマウス、あるいは生きたパンデミック株を感染させたマウスから抗体をそれぞれ分離し、その抗体を別のマウスに移入したのち、季節性インフルエンザウイルス株[7](季節性ウイルス株)に感染させます。
          
実験の結果、不活化パンデミック株ワクチンを接種したマウスの抗体を移入したマウスは、季節性ウイルス株の感染によって死亡しましたが(図1上段)、パンデミック株を感染させたマウスの抗体を移入したマウスでは季節性ウイルス株の感染が防御されました(図1下段)。これは、不活化パンデミック株ワクチンを接種したマウスでは、ワクチンに使用したウイルス株に対抗できる抗体だけが産生されたのに対し、パンデミック株を感染させたマウスでは、構造の異なるインフルエンザウイルスに対しても対抗できる広域中和抗体が産生されたことを示しています。
次に、生きたウイルスの感染が広域中和抗体を産生する原因として、ウイルスの侵入経路とウイルスの複製の二つを想定し、侵入経路を経鼻に統一し、ウイルスを複製しないマウス(Tmprss2欠損マウス[8])について調べました。その結果、Tmprss2欠損マウスでは、生きたパンデミック株ウイルスを感染させても広域中和抗体は産生されず、その抗体を移入したマウスは季節性ウイルス株に対する抵抗性を示しませんでした。一方、前述のパンデミック株に感染した野生型マウスの抗体産生B細胞を解析したところ、パンデミック株と季節性ウイルス株に共通するエピトープ[9](抗原決定基)を認識する抗体が産生されていることが分かりました。このことから、経鼻から生きたウイルスが体内に侵入するとB細胞の増殖に伴って共通エピトープが形成される過程が、広域中和抗体が産生されるメカニズムであることが示されました。
          
さらに、ウイルス複製がどのように広域中和抗体の産生につながるのかを明らかにするために、免疫器官のリンパ節、特にB細胞の選別に重要な働きをする「胚中心」と、B細胞の抗体産生を助ける働きをする「濾胞性ヘルパーT細胞(TFH細胞)[10]」に着目しました。胚中心とTFH細胞持たない遺伝子改変マウスを作製し、生きたパンデミック株を感染させたところ、広域中和抗体は産生されませんでした。
        
TFH細胞は、インターロイキン-4(IL-4)やIL-21などのサイトカイン[11]を産生することでB細胞の機能を助けることが知られています。ウイルスが感染した野生型マウスのリンパ節ではTFH細胞の著しい活性化が見られた一方、B細胞の分化増殖因子であるIL-4を欠損したマウスでは、胚中心の形成不全に伴い広域中和抗体の産生が著しく低下しました。これらの結果から、TFH細胞から産生されるIL-4は、胚中心内のB細胞の増殖をコントロールすることで、ウイルス感染時に産生される抗体の多様性を広げる重要な働きをすることが明らかになりました。
          
以上の結果から、生きたウイルスの経鼻感染は、TFH細胞を活性化することでB細胞の増殖に必要なIL-4を誘導し、リンパ節内の胚中心においてB細胞の中からウイルス株に共通したエピトープを認識するB細胞の選別が進められ、それが広域中和抗体の産生へとつながることが分かりました(図2)。
本研究により、不活化ワクチンに比較して生ワクチンでは広域中和抗体を効率よく産生できることが明らかとなり、インフルエンザウイルス以外のウイルスに対しても弱毒生ワクチンの有用性を検討する必要があると考えられます。
        
▼今後の期待
       
本研究により、インフルエンザウイルス感染時における広域中和抗体の産生メカニズムの一端を解明できたことで、新型インフルエンザに対抗するためのユニバーサルワクチンの開発に有用な基礎データを提供できました。安全性の高い不活化ワクチンを使用しながら、TFH細胞を活性化することで広域中和抗体を誘導するワクチン投与法の検討を進める方針が確認できたことは、今後の抗ウイルスワクチン研究において大きな意義を持つと考えられます。
         
          
ワクチンの副作用を緩和するのが中和抗体にあるらしいけど、今回の研究は、そうした部分にも関わってくるのかもしれないね。

                       
おまけ★★★★ショウゴのつぶやき

新型コロナウイルスの感染拡大が続いてるけど、ワクチンはその対策として期間や効果の問題から絶対ではないから、まずは個々人が「感染しない」対策を行っていくことが大切だよね。