アトピー性皮膚炎の「姿」とは?(2)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

                      
今日は昨日の続きになります。
複数の原因を抱えるアトピー性皮膚炎に対して、どのような治療が求められるのかを考えてみたいと思います。

アトピー性皮膚炎の痒みは皮膚に生じますが、そう知覚させているのは「脳」の判断です。
そして、皮膚に生じた痒みに対して「掻く」という刺激を与えると、「掻いたことによるダメージ」が痒みの刺激に上書きされることで痒みの感覚が軽減されることになります。
これは、ヒトが知覚する感覚は、痒みの他に、痛みや熱さ、冷感などがありますが、生命に危険を及ぼす感覚ほど優先されるようになっているからです。

ただ、痒みの感覚がダメージを受けたことによる痛みなどの感覚を上回っている場合、痛みなどの感覚の情報が途切れることで、再度、痒みの情報が伝わることになり、「痒みが繰り返す」ことになります。

現在のアトピー性皮膚炎の治療の問題点は、皮膚に生じた痒みの「感覚」を抑えることで痒いという感覚を誤魔化してしまうことにあります。
痒みが生じた原因は「炎症」にあり、そしてその炎症が生じることになった「原因」は別にあります。
その大元の原因を考えずに、最終的な結果である痒みだけを対処することで、大元の原因が放置され、原因から生み出された結果、つまり新たな痒みが生み出されることを阻止できていない、と言えるでしょう。

アトピー性皮膚炎は確かに、皮膚の病変部だけを見ると、「同じ病気」に見えるかもしれません。
しかし、個々人により、皮膚の病変をもたらした原因は異なります。
そしてその原因は、時間の経過と共に変化していることにも目を向ける必要があるでしょう。

最近ではさまざまな研究が進んでいます。
乳幼児の食物アレルギーも、皮膚のバリア機能低下から感作することで生じるケースも確認されています。
しかし、ここで問題なのは、乳幼児の食物アレルギーは皮膚のバリア機能の低下だけが原因ではないということです。
生後すぐに食物のアレルゲンが認められるケースもありますが、病室内で浮遊する食物アレルゲンに感作したというのは無理があるでしょう。
もともとのアレルギー的な素因から食物アレルギーを引き起こしている方もいるのです。

皮膚のバリア機能を元に発症するアトピー性皮膚炎も、アトピー性皮膚炎の全体像を示しているのではありません。
アトピー性皮膚炎を治療していく上では、自分のアトピー性皮膚炎の「姿」を正しく把握することは必要でしょう。

                       
おまけ★★★★博士のつぶやき

アトピー性皮膚炎治療の問題点の一つは、30年前に行われていた治療が今も標準治療として行われておる、という部分にある。
30年前のアトピー性皮膚炎と今のアトピー性皮膚炎は、その発症原因そのものが異なっておるケースが多いのじゃが、違う原因に同じ治療を行うことで、病気の正しい「姿」を見落としておることもあるのじゃろう。