アレルギー炎症を悪化させるメカニズムの解明

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                             
今日は、順天堂大学からお送りいただいた最新のアレルギーの研究記事を紹介しましょう。
         
          
●アレルギー炎症を増悪・遷延化させ、その炎症を全身に拡げるメカニズムの解明
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000264.000021495.html
          
順天堂大学医学研究科眼科学の松田彰 准教授および日本大学医学部アレルギーセンター免疫アレルギー学プロジェクトチーム 岡山吉道アレルギーセンター副センター長、 豊島翔太ポストドクトラルフェロー、 呼吸器内科の權寧博教授、 皮膚科の葉山惟大助教らの共同研究グループは、 ヒトのマスト細胞 (注1)が遊離する細胞外小胞 (注2)中のマイクロRNA 103a-3p (miRNA,注3)が、 アレルギー炎症を増悪化し、 長引かせている因子であることを発見し、 その作用機序を明らかにしました。 今後、 細胞外小胞中のmiRNA103a-3pを特異的にブロックする方法を開発することができれば、 それを応用した新規治療薬の開発が期待されます。
本研究は、 日本大学、 国立成育医療研究センターおよび順天堂大学の共同研究の成果であり、 この研究結果を報告した論文は、 2021年1月16日 (米国時間)に米国アレルギー学会誌「The Journal of Allergy and Clinical Immunology」に掲載されました。
         
▼本研究成果のポイント
         
・ヒトのマスト細胞が遊離する細胞外小胞中のマイクロRNAが、 アレルギー炎症を増悪化し、 長引かせている因子であることを発見

・miRNA103a-3pを特異的にブロックするアレルギー疾患の新規治療薬の開発に期待
         
▼研究内容
         
マスト細胞は、IgEとアレルゲンによって活性化し、ヒスタミンやサイトカイン (注4)など生理活性物質を遊離します。 これらの生理活性物質はマスト細胞の近傍に存在している免疫細胞などに作用し、かゆみの誘発、気管支平滑筋の収縮など、アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー症状に深く関わります (図1)。
          
近年、細胞間の相互作用には、細胞が遊離する細胞外小胞と呼ばれる顆粒状の物質が重要であることがわかっていました。細胞外小胞には、タンパク質や核酸などが内包され、 受け取った細胞の機能を制御します。がんの発症や転移などに関わることから盛んに研究が行われています。この癌の転移のようにこの細胞外小胞は、遠隔の細胞に情報を伝えることができます。しかし、アレルギー炎症の増悪や遷延化に関わるマスト細胞の細胞外小胞の役割は、これまでに明らかにされていませんでした。
本研究グループは、ヒトマスト細胞を用いて、マスト細胞がアレルゲンで活性化する時に遊離する細胞外小胞中のmiRNAを網羅的に調べたところ、miRNA103a-3pというmiRNAを特異的に遊離していることを見出しました。さらに、そのmiRNA103a-3pがどのようにしてアレルギーに関与するかを調べたところ、2型自然リンパ球 (注5)からのIL-5産生を増強・持続化させることを突き止めました (図2)。
               
重症および慢性的なアトピー性皮膚炎や喘息患者では、好酸球が増加する好酸球増多症と呼ばれる現象が観察されます。IL-5は、その好酸球増多を惹起するために必須のタンパク質であり、実際に重症喘息患者では、IL-5をブロックする抗体療法を用いると好酸球増多は抑制され、臨床症状の改善が見られます。さらにアトピー性皮膚炎患者の血清中の細胞外小胞内miRNA103a-3pは健常人に比較して有意に増加していることを発見しました。
したがって、ヒトマスト細胞がアレルゲンによって活性化した時に遊離する細胞外小胞に内包されるmiRNA103a-3pは、血中を循環し遠隔に存在する2型自然リンパ球をも活性化しIL-5産生の増強・持続化をもたらし、例えばアトピー性皮膚炎患者の全身の皮膚で好酸球増多が長引くことで、アレルギー炎症を増悪・遷延化させている因子の一つであることを明らかにしました。
        
▼今後の展開
         
本研究成果により、アレルギーを増悪・遷延化させている細胞外小胞中のmiRNA103a-3pを見出すことができました。今後、細胞外小胞中のmiRNA103a-3pを特異的にブロックする方法を開発することができれば、それを応用した新規治療薬の開発が期待されます。
          
        
記事は以上となります。
アトピー性皮膚炎も、発症と症状の悪化は、異なる原因が関係することが多く、発症後の悪化防止には、こうした研究が役立つことになると思います。
今後の研究結果に期待したいと思います。

                         
おまけ★★★★博士のつぶやき

最近のアレルギーに関する研究は、免疫そのものの働きの他に、サイトカインのような免疫に働きかける仕組みの部分に注目するものが多くなってきたように思うの。
炎症に関わる免疫はいろいろとあるから、こうした多方面からの研究が進むのは良いことじゃの。