薬剤にできることを考える(3)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

                      
今日も昨日の続きです。

アトピー性皮膚炎が「軽症」から始まる部分のどこに、薬剤の問題点がつながるのかを考えてみましょう。

現状、初発のアトピー性皮膚炎の80~90%は、自然治癒しますが、そこに薬剤が果たしている主な役割は治癒期間の短縮であって、「治癒」そのものではありません。
仮に薬剤を使用しなくても、適切なケアさえ行えば、少し治癒までの期間が長くなったとしても、同様に自然治癒することができるでしょう。

もちろん、薬剤の使用により、「掻き壊さない」ことによる恩恵を受けることはできますので、間接的に治癒を近づけるという効果は期待できます。
しかし一方で、一時的に痒みを緩和することで、症状の改善=病気の改善と勘違いすると、大元のアトピー性皮膚炎の「原因」に気がつくことができづらくなります。
原因が自然解消されなければ、薬剤の効果が薄れることで、再び痒みが生まれる、そして薬剤の使用を繰り返す、という循環が生まれます。
この循環が月単位、年単位と長くなればなるほど、繰り返される掻き壊しにより、皮膚のダメージは蓄積され、それがバリア機能の低下へと導かれることになるわけです。

初発のアトピー性皮膚炎の10~20%の方は、自然解消されない原因を抱えていることで、徐々に、慢性化した痒みへと移行、「治らないアトピー性皮膚炎」が生み出される、といってよいでしょう。

ステロイド剤などの薬剤の治療は「本質的な悪」ではありません。
しかし、薬剤が「できること」を把握せずに、漫然と使用することは、「結果的な悪」につながることがあります。
理想的な薬剤の使用方法とは、薬剤によって炎症による痒みを抑えている間に、アトピー性皮膚炎を生み出すことになった原因の解消を行うことです。

皮膚の乾燥がきっかけならば乾燥を和らげる適切なスキンケア、睡眠不足による肌荒れがきっかけならば睡眠をとる、運動不足による皮膚の代謝の不足からバリア機能が低下しているならば運動を行う、といった具合に、自分のアトピー性皮膚炎の原因を見極めて実行することが大切になります。

とはいえ、こうした原因を、科学的に個々人ごとに見つけることは難しく、また複数の原因が重なり合っている場合には、より「見えづらく」なっていると言えるでしょう。
そこで、全般的に「アトピー性皮膚炎に良い生活」を目指して欲しいと思います。

仕事や学業など、個々人ごとにさまざまな理由を抱えることで、どうしても生活に負荷がかかる部分はあるでしょう。
しかし、体を「健康に改善」するための生活は一つしかないわけではありません。

睡眠や食事、運動、ストレスの解消、入浴や洗浄、毎日反復継続して行われている「生活」の全てが、何らかの影響を体に与えています。
その中で、一つずつでも良いので、「健康」に近づけるための生活を心がけて欲しいと思います。

昔は少なかったアトピー性皮膚炎の患者が、ここ20~30年でなぜ急増したのか、その理由は、やはり最近の社会環境や社会生活習慣の変化の中に答えが潜んでいると考えるべきでしょう。
確かにアトピー性皮膚炎は歴史を紐解けば、かなり古くからその形跡は見られます。
しかし、江戸時代の乳幼児の10%が、アトピー性皮膚炎の症状を抱えていた、という記録はありません。昭和の初期を見ても、今ほどの患者数の記録は存在せず、アトピー性皮膚炎という疾患そのものが、最近急増してきたことは明らかでしょう。

私たちの生活(環境や習慣)が「アトピー性皮膚炎」の土壌を作っていること、そしてその土壌を解消できるのも、私たちの生活の中にしかないことは意識するようにしましょう。

                           
おまけ★★★★南のつぶやき

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