冬のアトピーケア講座(入浴)1

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                      
今日は、今年最後のアトピーケア講座となります。
入浴について考えていきましょう。
              
         
▼アトピー性皮膚炎と入浴の関係
         
最近は減ってきていますが、昔はアトピー性皮膚炎の方に対して医師が、湯船に浸かる入浴は避ける生活指導が行われていたことがあります。
それは、入浴後の症状悪化を訴えるアトピー患者が多かったからなのですが、入浴自体がアトピー性皮膚炎に対して常にマイナスの要因となるわけではありません。
入浴の方法や入浴環境の中に、アトピー性皮膚炎の悪化要因があることが原因となっています。

・入浴温度の問題点

まず、アトピー性皮膚炎の方が入浴により症状が悪化するもっとも大きな原因は「入浴温度」です。
あとぴナビでは、これまで繰り返して入浴温度のことを述べてきましたが、今年も12月に入って気温が下がってからは、入浴温度が高いことによる症状悪化のご相談が増えてきています。

ある機関が調査したところ、日本人の平均入浴温度は41度との結果が出ていました。
寒い冬は特に、少し熱めのお風呂が心地よく感じるのではないでしょうか?
しかし、この「熱めのお風呂」がアトピー性皮膚炎の症状悪化につながっています。

ヒトの体温は、個人差はありますが、おおよそ、皮膚の表層温度で36度前後、体内の深部温度で37度前後です。
ヒトは恒温動物ですので、この体温を維持するように働きます(恒常性機能)。
もし、体温が30度以下になったり40度以上になったりすれば、それは生命維持に大きな危険を伴う状況です。
ヒトが生存していく上での体温の幅は大きくないと言えるでしょう。

体温が40度以上になった場合、ヒトは体温を下げようとしますが、体が持つ体温を下げる主な方法は「汗をかいて、皮膚表面から気化熱により体温を下げる」という方法です。
体熱は血液によって運ばれますので、高い温度で入浴した場合、血液によって運ばれた熱により、体温は上昇します。
ここで問題になるのが「高い温度」がどれくらいなのか、ということです。
当然、ヒトが生存できる温度を越えれば、それは「高い熱」と言うことになります。
熱の交換効率の問題もありますが、入浴温度で見ると、40度以上の入浴温度は、入浴時間が長くなるのに比例して、体に大きな負荷を与えることになります。

先に日本人の平均入浴温度が41度といいましたが、この温度での平均入浴時間は5分以内と短時間の入浴となります。
高い温度で入浴すると、息苦しさを感じることになりますが、これは生体に危険を知らせる変化を与えることで、入浴を中止させるための体の働きの一つです。
アトピー性皮膚炎でない健常な方であれば、この5分程度の高温での入浴はさほど大きな問題を体に与えることはありません。
しかし、アトピー性皮膚炎の方は別です。

先に述べたように、入浴温度は皮膚から血液を伝って熱を深部に届けますが、皮膚の表面温度は先に入浴温度に近づいていきます。
当然、皮膚の表面温度が41度に近づけば、その温度を下げようと体は汗をかくように働きます。
汗をかくことで、気化熱により体温は下がりますが、角質層の水分蒸散も伴うことで、角質層は乾燥することになります。
この体温を下げようと働く角質層の水分蒸散による乾燥状態が、アトピー性皮膚炎を悪化させる大きな要因となるのです。

ここで注意が必要なのは、誰しもが高い入浴温度がいけない、というわけではありません。
健常な方が、寒い時期に心地よく短時間入浴するのであれば、高い入浴温度(高すぎる入浴温度や、高血圧などの持病がある方はのぞいて)でも平気でしょう。
しかし、アトピー性皮膚炎の方、特に症状が悪化した状態の方は、40度以上の温度が、症状悪化につながりやすくなるのです。

では、入浴そのものを行わなければ良いのでは、と考える方もいるかもしれません。
しかし、実はアトピー性皮膚炎を治していく上で、入浴は重要な役割を果たしています。
明日は、入浴がアトピー性皮膚炎の方に必要な理由について見ていきましょう。

                           
おまけ★★★★博士のつぶやき

入浴温度は、油断すると忘れがちになるが、入浴ケアを実践していく上で、とにかく重要なポイントとなる。
健常な方とアトピー性皮膚炎の方とでは影響の出方が異なることを忘れないようにして欲しいと思うの。