冬のアトピーケア講座・保湿、保護(1)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                     
前回のアトピーケア講座に続いて、今回は、保湿と保護について見ていきましょう。
      
    
▼保湿の役割とは?
         
まず、最初に保湿から見ていきたいと思います。
先週書いたように、アトピー性皮膚炎の肌に必要とされているのは「水分」です。
しかし、しっかり角質層に水分を与えて、その水分が保持されるようにしても、大気中に自然蒸散することは防ぐことができません。
また、冬の時期、大気の乾燥に伴い、この自然蒸散する量はどうしても増えることになります。
角質層に水分を与える「保水」の「目的」、そしてその保水がアトピー性皮膚炎に対して果たす役割は、先週、述べたとおりですが、角質層からの自然蒸散をゼロにすることはできません。

そこで、必要になってくるのは、この水分の自然蒸散、「水分蒸散量(TEWL)」をどれだけ抑えることができるのか、ということです。
特に乾燥する冬は、水分蒸散量をしっかり押さえることができないと、いくら水分を適切に与えても(保水を適切に行っても)、肌の乾燥状態を防ぐことができません。
もちろん、肌の乾燥状態が防げなければ、先週述べたように、免疫反応とは違う痒みから始まるアトピー性皮膚炎の悪化状態の連鎖につながることもあるでしょう。

このように、水分蒸散量を抑えることは、アトピー性皮膚炎の方には「保水」についで重要だと言えますが、この抑えるケアが「保湿」となります。
一般的な「保湿」のイメージは、女性の化粧の際に使われる「モイスチャー」をイメージすることがあるかもしれませんが、この「モイスチャー」を和訳の際に使われる「潤い」とは、アトピー性皮膚炎の方に対して用いられる「保水」と「保湿」を合わせた効果を示していると考えてよいでしょう。

アトピー性皮膚炎の方へのスキンケアとして用いられる「保湿」とは、水分蒸散量を抑えるケアとなりますので、基本的にはオイル系のアイテムで行うことになります。
イメージとしては、乾いた砂場に水を撒く(保水)、そのままだと砂場は乾いてしまうので、ブルーシートを被せておく(保湿)、こうすることで砂場の水分を保つことができるようになります。
さらに、水分を保つ補助として、砂の中に吸水性の高いスポンジなどを入れておく(セラミドやフィラグリン、ヒアルロン酸など)という方法もあります。

いずれにしても、角質層の水分を維持する上では、「保水」と「保湿」は欠かせないスキンケアの「要因」であり、その両者を、個々人の肌状態に「必要な量」で行うスキンケアこそが、「個々人に合わせた適切なスキンケア」と言えるでしょう。
そして、「保水」「保湿」両者のアトピー性皮膚炎の方に対するいずれの目的も、終着点は「バリア機能の維持」という点になります。

そして、このバリア機能の維持は、アトピー性皮膚炎の方とそうでない方とでは、求められる「バリア機能のレベル」が異なります。
アトピー性皮膚炎の方の肌状態は、健常な方と比べて、角質層内の水分量が「著しく」不足しがちであること、そしてその水分量が不足することこそが、アトピー性皮膚炎の「原因」の部分を生みだしていることを忘れないようにして欲しいと思います。
なお、著しく水分量が不足する主な原因は、角質層内の水分を保持する因子(セラミドやフィラグリンなど)が関係しています。
アトピー性皮膚炎が発症、あるいは悪化する原因は一つではありませんが、最近のアトピー性皮膚炎が増加してきた背景には、この「バリア機能の低下」が大きく関わっています。
逆にいえば、アトピー性皮膚炎を治す、あるいは予防するためには、バリア機能をアップするケアを取り入れればよい、ということでしょう。
明日は、「保護」について考えます。

                       
おまけ★★★★博士のつぶやき

保水と保湿は、似たイメージで捉える人が多いが、アトピー性皮膚炎の肌状態に果たす役割で考えると、メインが「保水」でサブが「保湿」になる。
ただ、外環境の状況(乾燥が強い冬の季節、など)によっては、サブとなる「保湿」の方が重要なこともある。
それぞれの意味合いをしっかり把握して取り入れるようにしたいものじゃ。