冬のアトピーケア講座・保水(1)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                   
季節は、かなり冬に近づいています。
気温と同時に湿度も大きく下がり、アトピー性皮膚炎の方にとって、肌のバリア機能を低下させる要因が増える時期です。
今回は、これからアトピー性皮膚炎の方にとって大切な冬の時期の対策について必要な要因についてみていきたいと思います。
まず最初はスキンケアの保水から考えてみましょう。
           
         
▼なぜ、お肌の乾燥すると痒くなるのか?
            
アトピー性皮膚炎の方を悩ます「痒み」ですが、その正体はヒトが知覚する「情報」と言えるでしょう。
この痒みという情報が、どのように「生まれるのか」というと、その一つが炎症です。
体内の免疫反応により生じた炎症の一部から、痒みの情報が作られ、神経を伝って脳が認知します。
もう一つが、痒みを知覚する神経線維の働きによるものです。
痛み、熱い、冷たい、と同じように「痒い」も皮膚にそれを知覚する神経線維が存在しています。
通常であれば、その神経線維は真皮内までしか伸びていませんが、真皮の上に角質層内の水分が少なくなると、その神経線維が角質層内に侵入してきます。
角質層内まで伸びた神経線維は、皮膚に触れた触覚刺激で痒みを情報として伝達することになります。

アトピー性皮膚炎に限らず、一般の方でもお肌の乾燥でかゆくなる、という原因の一つは、これが理由です。
また、アトピー性皮膚炎の方で、痒くないのにお肌を触っていたら、いつの間にか掻いていた、という現象も、この触覚刺激によると言えるでしょう。

そして、本来、この角質層の乾燥による痒みには、ステロイド剤やプロトピック、あるいは新薬「デュピクセント」などは、もともと炎症による痒みを抑えることが役割となりますので、触覚刺激による痒みを抑制することはできません。
ただ、いったん痒みを知覚して皮膚を掻くと、そこに炎症が生じます。
この二次的に生じた炎症から発生する痒みに対しては、それらの薬剤は有効ですので、乾燥による痒み(実は、掻いたことにより追加された分の痒み)にも効果があると感じる方が多くなります。

しかし、実際には薬剤によって抑えられる痒みと、この乾燥から生じる痒みは、もともとの原因が異なります。
そのため、薬剤を使用して後発的な痒みは抑えられても、先発の痒みの対処が十分でないため、繰り返し痒みを誘発することになり、少しずつ肌状態が悪化することになります。

本来、アトピー性皮膚炎自体は、「軽症」の皮膚炎です。
昔は子供の疾患で、成長と共に自然治癒することが多いとされていました。
ところが最近では、成人以降の発症も目立つようになり、また難治化するケースも増えてきました。
その理由の一つが、複数の原因のうち、対処できていない原因を抱えている、そしてその原因による痒みが反復することで、結果的に炎症が作られ続け、二次的な痒みも誘発され続ける、という悪循環が生まれていることです。

もちろん、これは逆のケースもあります。
乾燥から生じる痒みのケアは上手く行えても、アレルギー的な要因による炎症から生じた痒みへの対処が行えておらず、肌の掻き壊し状態が続き、バリア機能を低下させることで乾燥状態を増長させている、という悪循環もあります。

アトピー性皮膚炎の悪化を増長させる要因と言うのを正しく理解し、そしてその要因に対して「一つ一つ対処していく」ことで、悪循環を防ぐことができます。
これから冬の時期、この要因の一つとなる「乾燥」への対処がキーポイントとなることを認識しておきましょう。
明日は、乾燥肌に対する対策について述べたいと思います。

                         
おまけ★★★★大田のつぶやき

一般の方でも、冬になるとチクチクムズムズしてくる、痒みが出てくる、というのは、基本的に、この「乾燥状態」による原因が関係しています。
ただ、アトピー性皮膚炎の方は、水分を保持する因子が少ない分、それがより顕著に現れています。
一般の方の乾燥肌よりも多くの「水分」が必要であることを考えましょう。