幼少期のアトピーと思春期の精神疾患との関係(2)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

                        
今日は、昨日の続きです。

昨日紹介した記事には、「生後40日目のアトピー性皮膚炎モデルマウスの脳内では、炎症反応に対するプライミング状態が誘導されていたことが明らかとなった。」と書かれています。

プライミング状態とは、「細菌感染など、個体に不都合な状況が生じた場合に速やかにこれに対応できる状態」のことです。
つまり、アトピー性皮膚炎の痒み(炎症)が生じた段階で、脳内では、それを生体にとって不都合な状態と判断、何らかの準備を始めていることを指しています。
この準備状態の一つが、「キヌレニン代謝の律速酵素であるIDOやKMOの発現」を生み、「キヌレニン代謝異常による代謝産物の影響でうつ様症状が誘導されている」という部分につながってきます。

もっとも、前提となる「炎症反応に対するプライミング状態」が、アトピー性皮膚炎によって生じた炎症によるものなのかは、ヒトをモデルに考えた場合、まだ確定されたものではないと言えるかもしれません。

なぜなら、アトピー性皮膚炎の痒みとは、皮膚の乾燥状態から招かれる痒みを知覚する神経により引き起こされているケースもあり、炎症反応のみにより引き起こされているわけではありません。
ただ、いったん痒みが生じてしまえば、掻くことで皮膚下では炎症反応が生じます。
その炎症反応が連鎖的に次の痒みを生むことで、アトピー性皮膚炎の悪循環の輪が形成されている部分がありますので、結果的には炎症反応によるプライミング状態、という考え方は間違ってはいないと思います。
しかし、「掻くという結果により生みだされた炎症」と「痒みを引き起こす元となる原因としての炎症」は、示す意味合いが異なります。
「卵が先か鶏が先か」に似た状況ですが、今回の研究結果は、全てのアトピー性皮膚炎の方に該当する状況ではない、つまり乳幼児のアトピー性皮膚炎が思春期のうつ状態に必ず繋がるわけではなく、一部のアトピー性皮膚炎の方にそうした状態が見られるかもしれない、ということは誤解せずに理解していただきたいと思います。

そのあたりは、今後の研究を待ちたいと思いますが、いずれにしても、アトピー性皮膚炎の方が「炎症反応」→「脳のプライミング状態」→「キヌレニン代謝産物の生成」→「代謝産物の影響でうつ症状が誘導」という流れが、「一部の方に」あることは確かでしょう。

では、こうした影響は実際のアトピー性皮膚炎患者に見られることはあるのでしょうか?
続きは明日です。

                            
おまけ★★★★南のつぶやき

炎症反応が、脳内でのうつ症状を生み出す産生物につながっている、というのは興味深いところです。
アルツハイマー患者に、慢性的な痛みや炎症を抱えている人が多い、という報告がありますが、同じような関係から来ているのかもしれませんね。