新型コロナウイルスとBCGワクチン接種(2)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                            
今日は昨日の続きです。
        
         
▼BCGワクチンは新型コロナウイルスに対して有効なのか?
          
現時点の結論からいえば、統計学上の有意差はあっても臨床の結果が出ていないと言えます。
オーストラリアでは医療関係者に対してBCGワクチンの接種が始まりましたが、まだ始まったばかりです。
         
●豪 BCGワクチン 新型コロナウイルスに有効か臨床試験へ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200327/k10012354671000.html
          
また、発症予防の効果は残念ながらないようですので、記事に書かれているように、新型コロナウイルスのワクチンが開発されるまでの「時間かせぎ」の側面は否めません。
          
では、BCGワクチンには何が期待できるのでしょうか?
この統計学上の有意差などから推測できるのは、
            
・BCGワクチンは副次効果により肺炎症状の悪化を抑制する働きがある(その理由は未解明)
・統計上、日本株、ロシア株などのBCGワクチン接種地域では、新型コロナウイルスの肺炎症状悪化による実質的な死亡率を少なくしている
・ただし、新型コロナウイルスの感染や発症には特に影響を与えていない
             
といったことでしょう。
つまり、今後、日本でも市中感染による感染者数の大規模な増加は防ぐことはできなくても、肺炎症状が重症化したことによる死亡率は低く抑えられるかもしれない、ということです。
先週も書きましたが、世界からは日本での新型コロナウイルスの影響が少ないことが注目されていますが、その理由がもしかするとこのBCGワクチン接種にあるのかもしれません。
            
ただし、注意が必要なのは、もしBCGワクチンに肺炎症状の悪化を抑制する働きがあったとしても、あくまで抑制であり、絶対的なものではない、ということです。
仮にその効果が認められとしても、持病や喫煙歴による肺への負担が多い方は、慎重な対応が必要であり、油断してはいけないことはいうまでもありません。
また、死亡率が低いとは言え、おそらく最終的には現在の中国の数値に近付くと思われますので(中国は、拡散状況が落ち着いてから一定期間が経過しており、ほぼ実数に近い状況になっていると考えられるため)、感染者数が増えれば増えるほど、死者数も増加するということです。
仮に10万人が感染すれば、数千人の死者数は避けられないと言えます。
            
しかし、現在のイタリアやアメリカの状況が「最悪の結果」と見るならば、そうしたBCGワクチンの抑制効果が確かであれば、日本の結果は「悪い結果」で済むかもしれません。
         
今回、BCGワクチンのことを紹介したのは、これから欧州やアメリカの死者数が増加を続ける中、日本の死者数が抑えられている場合、この話題が必ず大きく取り上げられると思われたからです。
先週「認知バイアス」のことを書きましたが、このBCGワクチンによる抑制効果は、間違いなく多くの方に「正常性バイアス」を持たせることになります。
現に、ネット上では、BCGワクチンの効果が「新型コロナウイルスに効果がある」とする内容で出回っています。
しかし、現時点の統計上は、新型コロナウイルスに感染するかどうかについて、BCGワクチンは影響を与えていません。
影響があるのは、肺炎の悪化による死亡者を「少なくする」という部分だけです。
そして、少ないと言っても、現在の中国の数字を見る限り、4%前後の致死率は低い数字ではありません。
インフルエンザの死亡率は0.16%に過ぎず、その30倍以上の致死率を持つことを忘れてはならないでしょう。
             
とはいえ、この日本株、ロシア株のBCGワクチン接種による「肺炎症状悪化に対する一定の抑制効果」は、今後、期待される可能性が高いと考えられます。
そして、現在行われているオーストラリアでの医療従事者へのBCGワクチンの接種効果が確認されれば、今年中には世界的にBCGワクチンの接種が行われることになるでしょう。
しかし、その効果は基本的に未接種の国にしか現れませんし、新型コロナウイルスのワクチンではなく、単に肺炎症状の悪化を防ぐワクチンということになるのでしょうから、感染拡大防止の対策が必須であることには変わりはありません。
今後、このBCGワクチンの接種による効果が認められるようになったとしても、その「効果の範囲」を見誤らないことは大切です。
今後開発されるであろう新型コロナウイルスのワクチンとは、性質が全く違うことを正しく理解しておきましょう。
「自分はBCGワクチンを接種したから大丈夫」という正常性バイアスに陥って、「接触を避ける」という感染拡大防止の大原則を忘れないようにして欲しいと思います。

                            
おまけ★★★★東のつぶやき

日本は今、さまざまな業態で、経済面でも大きな負担を強いられています。
このBCGワクチンの効果が本当ならば、欧米よりも早く経済活動を再開することが可能かもしれません。
正常性バイアス、は確かによくありませんが、期待したいところです。