新型コロナウイルスは、何が危険なのか?(3)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

                   
今日も昨日の続きです。
日本における人工呼吸器の状況を見ていきましょう。

                 
3.日本の人工呼吸器の状況

日本で呼吸管理に必要な機器の状況はどのようになっているのでしょうか?
今回の新型コロナウイルスの問題から、先月(2月)、日本呼吸療法医学会などが、全国の稼働台数の状況を調査、発表しています。

●人工呼吸器および ECMO 装置の取扱台数等に関する緊急調査
https://www.jaam.jp/info/2020/files/info-20200306.pdf

調査によると、呼吸管理に使用できる、人工吸気器、マスク専用人工呼吸器、ECMO装置(心肺補助装置)の合計台数は、全国で約30,000台、現在使用されている台数を除くと、約18,000台が待機台数として数字が挙がっていました(2/20時点)。
調査を行った学会に所属していない医療機関での保有台数もあると思われますが、それでも現在、使用できる台数は、最大約20,000台と考えられています。
重症患者が、発症患者数の20%と見た場合、約10万人の発症までは対応が可能と考えられますが、前提に「全ての装置を操作できること」が必要です。
イタリアでは、現在の患者数15,113人(3/12時点)に対して、医療従事者の感染は691人(3/11時点)、約4~5%となっています。
日本とイタリアでは環境も違いますが、中国でも医療従事者の感染者数は約3%でしたので、日本でも近い数字が考えられます。
もし、10万人の患者が発生した場合に、医療従事者の感染者数は数千人程度となりますので、必然的に機器を使用できる管理者の確保の問題も出てくるでしょう。
「医療崩壊」の一つの図式は、重症者の呼吸管理ができない(数が足りない)ことですが、専門家会議は、患者数のピークは、感染経路が追えなくなってから(市中感染が蔓延し始めてから)約3カ月後、と報告していますので(対策が十分でなかった場合)、今の対策で不十分だとすると、6~7月頃にピークを迎える予想も出ています。
その場合、これからピークまで患者数は増加し続けますので、さまざまな機関で予測されている数十万~数百万人の患者数もあながち過大とは言えない数字となるでしょう。
仮に100万人の患者数となって重症化の割合が減らなければ、人工呼吸器を必要とする患者数には到底足りない数となり、医療崩壊は避けられないでしょう。

                               

4.高齢者だけが問題なのではない

この数値予測は、あくまで「悪いシナリオ」となった場合です(「最悪」ではありませんが…)。
当然、「良いシナリオ」の可能性もありますので、不必要に恐れなくても良いのですが、現在の不確定要素を考えると、楽観視できない状況であることも確かです。
医療関係者の間では、肺炎症状であることと致死率の高さから、新型コロナウイルスといより「新型SARS(重症急性呼吸器症候群)」と呼んだ方が良いのでは、という意見も出ています。
また、中国のデータでは重症化する患者の割合は50歳未満の方が多い、というのも気になるところです。
今のところ、日本では移動に関する大きな規制はとられていませんが、今後、患者数の増加が続けば、いずれは他国と同様に「封鎖」に近い処置がとられるでしょう。
医療ソースを高齢の重症化した人たちに向けるために検査数を抑えている今の日本の体制は、若い人たちの患者数の増加のリスクを重要視していない状況ともいえますが、実際に患者の分母が増えてきた場合、「医療崩壊」を招く恐れがある重症者患者は、その多くは高齢者だけに限らない可能性があることは承知しておいた方が良いでしょう。

明日は、今回のまとめです。

                       
おまけ★★★★西のつぶやき

医療崩壊の問題は、そこに至るモデルが一つとは限らない分、その対策も予防も難しいのは確かだ。
今後、感染が拡大していくことを前提で考え、今の日本のやり方が、吉と出るか凶と出るのかはわからないが、感染者数が最終的にその問題を左右することは確かなように思える。