アトピーの原因の移り変わりとは?(1)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                 
アトピー性皮膚炎が、特定の疾病として、社会的な「認知」を受けたのは、まだ最近のことです。
もちろん疾病自体は昔からありましたし、患者もいましたが、昭和の前半頃は「アトピー性皮膚炎」という言葉は一般的に知られてはいませんでした。
注目されはじめたのは、平成に入ってから、と言えるでしょう。
実際、文部科学省が行っている学校保健統計調査でも、アトピー性皮膚炎の調査がはじまったのは平成18年度からです。

あとぴナビが、情報誌あとぴナビの前身にあたる会報誌発行を始めたのは1991年11月です。
その当時は、アトピー性皮膚炎は「アレルギー疾患」としての位置づけでした。
アレルギー疾患は、大きく1型から4型に分けられていますが、昔は、即時型である1型のアレルギー疾患として考えられていたようです。
その後、即時型ではない症状が増えてきたことから4型の遅延型との混合ではないか、という見解が強くなってきました。
ちょうど、その頃が、あとぴナビがスタートしたころになります。

あとぴナビで、アトピー性皮膚炎の取材を行うのは当初、皮膚科、アレルギー科、内科の医師か小児科の医師のほとんどでした。
当時の研究はアレルギーに関するものがほとんどで、治療法も、アレルギーを抑える薬剤での治療が中心でした。
ここ十年ほどは、アトピー性皮膚炎の研究も大きく進み、実際にあとぴナビで取材を行う先も、アレルギー以外の研究を行われている先生方が増えてきました。
その中で、ここ二十年ほどで急激に増加してきたアトピー性皮膚炎の原因は、アレルギーではなく、皮膚のバリア機能にあることが分かってきました。
もちろん、アトピー性皮膚炎の症状自体はアレルギーによる炎症反応から生じている場合が多いのですが、アトピー性皮膚炎という疾患自体の原因はアレルギーではない、ということが分かってきたのです。

少々、複雑かもしれませんがまとめると、

1.昔のアトピー性皮膚炎は、アレルギーが原因で発症していると考えられていた。
2.その当時は、アトピー性皮膚炎の患者は多くなかった。
3.最近は、アトピー性皮膚炎発症の原因は、皮膚のバリア機能が原因であることが分かってきた。
4.なお、アトピー性皮膚炎の「病気の原因」は皮膚のバリア機能にあるが、アトピー性皮膚炎の「症状の原因」はアレルギーが関与している。

ということになります。
厳密に考えていくならば、子どもを中心として成長の過程の中で自然治癒すると考えられていた昔ながらのアトピー性皮膚炎は、アレルギーを原因として発症しているケースが多かったと思われます。
そして、今のアトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能の異常から皮膚の細菌叢が乱れ、黄色ブドウ球菌などのデルタ毒素がIgEを増強することで、アレルギーを引き起こすタイプで、アレルギーは病気に対して原因ではなく、「結果」に当たると言えるでしょう。

明日は、こうした原因の違いが治療法にどのように影響を与えているのかを見ていきましょう。

                     
おまけ★★★★南のつぶやき

昔はアトピー性皮膚炎は子どもの疾患として考えられていました。
もちろん、成人の発症がなかったわけではありませんが、大多数は子どもの症例だったわけです。
最近は、年齢による発症数の差は大きくなくなり、かえって成人で発症するケースの方が治癒がやっかいなことが多いように感じます。
生活環境の中に潜むアトピー性皮膚炎の原因は、しっかり考えていくことが大切でしょうね。