寒い時期の入浴ケア・あとぴナビの特集記事より(4)

北です。

 

 

 

 

 

 

 

                     
今日は、入浴のプラスの影響の部分についてみていきましょう。
          
          
●アトピー性皮膚炎の克服につながる日常生活の「入浴ケア」
(あとぴナビの特集記事より)
         
・プラスの影響について
         
では、アトピー性皮膚炎の方にとって入浴は悪化要因となるだけでは、と思うかもしれませんが、そうではありません。
入浴温度を「適切な状態」にすることで、逆にプラスの影響を与えることも可能です。
ここで注意して欲しいのは、あくまでこの入浴温度は「アトピー性皮膚炎」、それもバリア機能の低下から発症する場合を前提に考えています。
アトピー性皮膚炎以外の方、あるいはアトピー性皮膚炎でもアレルギーを原因として発症している場合には、必ずしもこの限りではありません。
とはいえ、現在、増加しているアトピー性皮膚炎のほとんどは、アレルギーを発症原因としているのではなく、皮膚のバリア機能の低下が発症原因となっていますので、大方の方が該当するといってよいでしょう。

アトピー性皮膚炎の方に適した入浴温度とは、体が熱の放散を積極的にしなくてもよいと思える温度で、さらに温熱によるプラスの影響を受けられる温度になります。
具体的には、体の深部温度に近い温度、38 ℃前後がその温度になります。
夏の暑い時期なら37℃、冬の寒い時期なら39℃でもよいでしょう。
では、なぜこの温度が良いのでしょうか?

皮膚のバリア機能とは、きれいなレンガがつみあがった角質細胞の状態を保った「角質層」と、その表面を覆う「皮脂膜」、そして皮膚表面の「細菌叢」、この3つが 主な働きを保っています。
「角質層」自体は角質細胞をつなぎとめておく角質間細胞内の水分保持ができるセラミドやフィラグリンがしっかり保てているかが一つのポイントになります。
しかし、このセラミドやフィラグリンは入浴による直接の影響は受けません。
入浴の影響を強く受けるのは「皮脂膜」と「細菌叢」になります。

皮脂膜とは、汗と皮脂が乳化してできる自分の体で作り出した「スキンケア」です。
汗は汗腺から放出されます。そして汗が放出される際、汗腺の脇にある皮脂腺を刺激、皮脂が分泌されます。
この皮脂が分泌されるのは、急激な体温を下げるための汗ではなく、どちらかといえば、じわっとにじみ出るような汗のときにより刺激され分泌することが分かっています。
汗だけだと、単に皮膚表面を潤わせるだけです。逆にマラセチア菌など汗を餌にして炎症を引き起こす成分を排出する菌を活性化させる恐れもあります。
ここでポイントになるのは「皮脂」です。
皮脂が汗と乳化することで、皮脂膜を形成します。
皮脂膜自体は弱酸性ですので、それ自体が抗菌作用を持ち、ヒトに有害な菌の活動を抑制します。逆に、ヒトに有用な菌には影響を与えませんので、皮膚の細菌叢を維持するのにも重要な役割を果たすことになります。

アトピー性皮膚炎の方は、乾燥肌の方が多く、汗もかきづらい、という傾向が強いようです。
もちろん、汗もしっかりかく、というアトピー性皮膚炎の方もいますが、そうした方は、皮脂膜や皮膚の細菌叢によるバリア機能の低下という影響は受けづらく、他の悪化原因を抱えていることが多いものです。
そして、乾燥肌を持つアトピー性皮膚炎の方に必要なのは、じわっとかく「汗」です。
急激な汗は、体温を下げるための緊急手段ですので、皮脂を十分に伴わず、バリア機能からみれば、乾燥を招く主要因であり、アトピー性皮膚炎の方にはマイナスの要因となります(マイナスの 影響のところで述べたとおり)。

アトピー性皮膚炎の方には、皮脂を伴う「じわっとした汗」が、その症状の改善にはもっとも必要です。
体温に近い温度(体温よりも少し高い)での入浴は、急激な汗を伴いません。しかし、温熱作用はしっかり受けることができますので代謝がアップ、じわっとした汗が出てきます。
汗をなかなかかきづらい方は、こうした体温に近い入浴を行っても、最初はなかなか汗が出てこないでしょう。しかし、反復継続して入浴を行うことで、血管の拡張や自律神経、内分泌への働きかけにより、少しずつ「じわっとした」汗がかけるようになってきます。
このように、じわっとした汗をかく訓練として、38℃前後の温度で入浴することは、アトピー性皮膚炎の方にとっては非常に適している、ということです。
         
            
明日は、入浴時間についてみていきましょう。

                          
おまけ★★★★南のつぶやき

「適切な入浴方法」をとれば、入浴自体は悪化でなく、アトピー性皮膚炎にとって、スキンケアの「訓練」になるなど、大きなベネフィットを生むことができます。
その境目は、かなり微妙なところにあることが、入浴を難しくしているのかもしれません。
適切な入浴温度と時間、そして入浴環境を整えることを考えるようにして欲しいと思います。