粘液の働きとは?

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                    
アトピー性皮膚炎にとって、皮膚の常在菌がバリア機能に与える影響は大きいものがあります。
最近は、研究で粘液も、関係していることが分かっているようです。
          
       
●ヒトの体内の「粘液」の役割が明らかに
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191017-00010005-newsweek-int
          
──ヒトの体内にある粘液の役割や構造は完全には解明されていなかったが……
          
消化器官や呼吸器官など、ヒトの体内には、糖タンパク質のひとつ「ムチン」を主成分とする「粘液」があり、食物を消化管内で通過させたり、呼吸器官から異物を排泄したり、精子が子宮頸部を通過するのを助ける役割を担っている。しかし、その役割や構造については、まだ完全に解明されていない。
       
■病原体の行動を制御し、無害化させる
米マサチューセッツ工科大学(MIT)のカトリーナ・リベック教授らの研究チームは、粘液に含まれる分岐状糖分子「グリカン(糖鎖)」が病原体の行動を制御し、無害化させる役割を担っていることを明らかにした。一連の研究成果は、2019年10月14日、学術雑誌「ネイチャー・マイクロバイオロジー」で公開されている。
粘液では、グリカンがムチンに付着し、ボトルブラシのような構造を形成している。研究チームは「グリカンが病原体の無害化に重要な役割を果たしている」との仮説を立て、グリカンと緑膿菌との相互作用を解明するべく、グリカンだけを分離して緑膿菌にさらす実験を行った。
緑膿菌は、地球に広く分布する常在菌で、健常者が感染しても発病させることはほとんどないが、免疫力の低下した者には日和見感染症のひとつ「緑膿菌感染症」を引き起こす。
実験では、グリカンが緑膿菌にさらされると、緑膿菌の行動は大きく変わり、毒性を産生せず、宿主細胞に付着したり、死滅させたり、細胞間でコミュニケーションするために不可欠な遺伝子を発現することもなくなり、宿主にとって害が少なくなった。
また、火傷をしたブタを使って、緑膿菌に感染した患部をムチンやムチンと結合したグリカンで治療する実験を行ったところ、細菌の増殖を抑えることができた。
        
■ ほかの病原菌の抑制作用などを解明していく
リベック教授は、このような実験結果をふまえ、「我々はこれまで、ムチンが様々な病原体の行動変化をもたらしているのではないかとみてきたが、その役割を担う分子メカニズムとしてグリカンを特定した」と述べている。研究チームでは一連の実験に際し、すでに膨大なグリカンを収集しており、今後、グリカンそれぞれの作用を詳しく検証していく方針だ。
また、レンサ球菌や真菌の一種「カンジタ・アルビカンス」など、緑膿菌以外の病原菌についても、グリカンの抑制作用などを解明していくという。近年、微生物を殺す抗生物質が効かないスーパーバグが問題となっているが、微生物を殺すのではなく病原体の行動を制御するというアプローチが感染症に対して有効な可能性があるという。
スウェーデンのヨーテボリ大学のグンナー・ハンソン教授は、「細菌性バイオフィルムの形成が、粘液、とりわけグリカンによって阻害されることを示すものとして、この研究結果は意義の高いものだ」と評価している。
         
         
記事を読むと、グリカンは緑膿菌だけでなく、真菌などにも影響を与えるようです。
アトピー性皮膚炎の方が悪化する一つの要因が、汗とマラセチア菌(真菌の一種)にありますが、こうした粘液の働きが強化されているかどうかで、汗をかいたときの痒みに影響を与える、ということがあるのかもしれません。
今後、こうした粘液の研究にも注目しておきたいと思います。

                      
おまけ★★★★東のつぶやき

一つの研究が、いろいろな分野に影響を与えるには、相応の臨床が必要でもあり、それだけ時間がかかることではあります。
しかし、「思いもよらない」という結果が得られることがあることも確かであり、皮膚に影響を与える因子(細菌叢とバリア機能、など)に関わる要因の研究は、覚えておきましょう。