「安全」と決めたのはいつ?

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                      
医学を含めた学術は、研究の進歩とともに、常に変化しています。
ときには、「安全」として使用されていた物質が、やがて「安全」ではないとされたものも数多くあります。
          
          
●殺虫剤で渡り鳥が「遅延」、初の研究、激減と関連か
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190919-00010000-nknatiogeo-sctch&p=1
         
▼ネオニコチノイドの野生の鳥への影響示す、北米のミヤマシトド

農薬として世界で最も広く使われているネオニコチノイド系殺虫剤と、北米の渡り鳥の激減を結びつける研究結果が、9月12日付けで学術誌「Science」に発表された。
渡り鳥のミヤマシトド(Zonotrichia leucophrys)は、近年北米で急速に数を減らしている。今回の研究では、殺虫剤で処理された種子1~2粒分に相当するネオニコチノイドを摂取したミヤマシトドは、体重が急激に減り、その後の渡りが遅れることが示された。野生の鳥が受ける殺虫剤の被害を、実際の生態系のスケールで追跡できた初の研究だ。
しばらくすると鳥は回復したが、渡りの遅れによって生存と繁殖の機会が大きく損なわれる恐れがあると、研究を行ったカナダの研究者らは言う。
「現実的な量のネオニコチノイドにより、鳥が強い影響を受けることが、はっきりと示されました」。論文の筆頭著者で、カナダにあるサスカチュワン大学毒物学センターの博士研究員マーガレット・エング氏はそう述べる。
春、渡り鳥が移動する時期はちょうど種まきの時期に重なっている。米国とカナダで生産される作物のほとんどは、ネオニコチノイド系殺虫剤で処理された種を使用しており、鳥たちは移動中に休憩する先々で、その種を口にする恐れがある。ネオニコチノイドを摂取して出発が遅れれば、その後の繁殖に響いてくるだろうと、論文は締めくくっている。
         
▼安全とされていた殺虫剤
          
1980年代後半に発売されたネオニコチノイドは、それ以前の殺虫剤よりも安全とされていた。だが、花粉を媒介するミツバチなどの昆虫の大幅な減少に、ネオニコチノイドが関係しているという研究が次々に出され、ついにEUは2018年にネオニコチノイド系殺虫剤の使用を禁止した。今回の研究は、そのネオニコチノイドが昆虫だけでなく他の環境問題と結びついている例として、鳥が被害を受け、その結果、生息数が脅かされていることを明らかにしていると、エング氏はインタビューで語った。
「ネオニコチノイド中毒で、野生の鳥の行動に変化が現れることを示した初の研究です」と、オランダにあるラドバウド大学生態学者、キャスパー・ホールマン氏は語る。
また、この結果は殺虫剤で処理された種子を食べる他の鳥にも当てはめられるだろうと指摘する。ホールマン氏はこの研究には参加していないが、昆虫を食べる鳥が広範囲で減少していることを、ネオニコチノイドの使用と関連付けた別の論文を発表している。
北米では、農業地帯に生息する野鳥の種の74%が、1966年以降大きく数を減らしている。その多くが種を食べる鳥だ。最新研究は、ネオニコチノイドがその激減に直接関係している可能性があると指摘する。他にも、ネオニコチノイドが広く普及したことで、ミツバチにとって米国の農業地帯の毒性が25年前の48倍にまで高まっているという論文が、2019年8月に発表されている。他の昆虫にとっても、状況は同じであると考えられる。
        
          
(以下、省略)
       
        
記事の全文は長いので、興味のある方はリンク先でご覧ください。
ポイントは、
        
1980年代後半に発売されたネオニコチノイドは、それ以前の殺虫剤よりも安全とされていた。だが、花粉を媒介するミツバチなどの昆虫の大幅な減少に、ネオニコチノイドが関係しているという研究が次々に出され、ついにEUは2018年にネオニコチノイド系殺虫剤の使用を禁止した。
       
という部分でしょう。
開発、使用を始めた段階では、安全性のデータしかなかったものが、それまで目を向けていなかったデータが新たに見つかり、安全性が否定される、というのは、学術の進歩とともに結論が変更になった良い事例でしょう。
医学も、同じようなことが言えます。
想像していなかった分野から、その安全性が否定されても、当初は認めることはありません。
「実際の被害」が多発してはじめて認めることになります。
もちろん、薬の開発などに費やした費用の回収が企業としては優先されますので、企業倫理を建前に変更する場合、その事実は「途中過程」では納得できない、というのはあるでしょう。
しかし、「結論」まで導かれる段階で、「危うい」と思われた薬の使用が中断されるのならまだしも、使用を続けながら、結論が出るのを待つ、という状況は、その薬の使用者である「患者」を軽視している、と言われても仕方のないところはあるのでしょう。
「まれ」な例を重視する必要はないでしょうが、その事実が「まれ」でなかった場合のことは、その影響を受ける患者側は慎重に考えた方が良いのかもしれません。

                           
おまけ★★★★博士のつぶやき

アトピー性皮膚炎でも、時代の移り変わりとともに、さまざまなものが変化しておる。
発病原因が、アレルギーから皮膚のバリア機能へと変わったのも、「原因」を治療することから考えると、大きな変化と言えるじゃろう。
患者はできれば、最新の情報に接し、そしてそれをある程度判断できる知識もつけておきたいところじゃの。