掻くことが「正義」とは?(1)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                             
あとぴナビのメルマガで、先週公募した、よしもとのお笑い芸人、麒麟の田村裕さんとあとぴナビの読者の方との交流会が、7/17(水)に、東京駅近くの会議室(フクラシア八重洲)にて行われました。
交流会の模様は、現在、動画やWebの記事をご覧いただけるように準備しております。
8/1(木)より、編集が終わった記事から順次、アップする予定です。

今回の交流会では、読者の方、田村さんともに、さまざまな「アトピー性皮膚炎でお悩みの方の本音」をお聞きすることができました。
その中で、一つ、興味深い「テーマ」がありました。
それは「痒み」に関するテーマです。

アトピー性皮膚炎の方なら、誰しもが分かっていることですが、繰り返し襲ってくる痒みは、健常な方では想像ができない「辛い」ものです。

「掻いても掻いても、痒みが次から次へと生まれてくる」
「皮膚を掻いても、骨が痒い感じで、掻いた気がしない」
「掻きすぎて、傷だらけになって痛みを伴っても、まだ掻きむしってしまう」
「両手を使って届く範囲を掻いて、背中は柱の角に擦りつけて掻いてしまう」

こうした激しい痒みは、実際に経験したことがないと、想像はできても、その「本当の辛さ」は分かりません。
本来、痒みとはヒトの「感覚」です。
皮膚が痒くても、実際に「痒い」と感じているのは「脳」で判断しています。
そして、そういた肌から伝わる情報は、優先順位があることが分かっています。
ヒトの体が得る感覚で、もっとも重要なのは生体維持の判断にも関わることがある「痛み」です。
そのため、「痛み」と他の感覚、例えば「痒み」が同時に生じると、痒みの感覚に痛みの感覚を上書き、「痛み」を優先して脳に伝えようとすることが分かっています。

アトピー性皮膚炎の方でも、痒いときに、その部分を叩くことによる痛み、あるいは頭皮が痒いとき髪の毛を抜く痛みで、痒みを紛らわそうとした経験をお持ちの方もおられると思います。
実際、こうした痛みを皮膚に与えることで、痒み自体の感覚が薄れることがあります。

しかし、アトピー性皮膚炎の状態が悪くなってくると、こうした「痛み」の感覚で上書きができないほど、強い痒みに襲われることもあります。
その猛烈な痒みは、体全体に震えが生じて動くことができなくなり、うずくまって両手で「ゴリゴリ」と肌を削るように掻きむしるしかなかった、と表現された方もおられました。

このように、アトピー性皮膚炎の痒みとは、「耐えがたい痒み」であり、その痒みは経験したことがない人が正しく理解できないのも無理はありません。
ところが、アトピー性皮膚炎患者の痒みに対する医師の「アドバイス」は「掻くな」というケースが多いのが現状です。
もちろん、皮膚のバリア機能を考えた場合、掻くことで角質層がダメージを受け、水分保持能力が低下、さらにバリア機能を低下させて、アトピー性皮膚炎の症状を「悪化」させていることは確かです。
そのため、医師の治療自体も「掻かない」ためにどうすればよいのか、という主眼において選択されることが多く、必然的に「痒みを抑える」ためのステロイド剤やプロトピックなどの薬剤による治療が中心となります。

つまり、アトピー性皮膚炎治療において、「掻く」という行為は「悪」であると考えられているわけです。
お子さまのアトピー性皮膚炎に対して、「掻いちゃダメ」と反射的に口に出てしまう経験をお持ちの方もおられるでしょう。これも「掻く」ことが肌の状態を悪くさせてしまう、との思いからです。

ところが、このアトピー性皮膚炎の痒み対して、今回の交流会に参加された皆様からは、「掻くことが正義」という発言が出ました。
なぜ「掻くことが正義」となる面があるのか、続きは明日にしたいと思います。

                     
おまけ★★★★大田のつぶやき

アトピー性皮膚炎の痒みの辛さは、アトピー性皮膚炎でない方には理解できない、ということは述べましたが、その逆も然りです。
アトピー性皮膚炎の家族が抱く辛さを、アトピー性皮膚炎の患者自身が正しく分かっていない、というケースもあります。
支えあう環境にある家族は、できるだけ相互の状況を把握できるように努力してほしいですね。