自然と治るアトピーと治らないアトピーの違いとは?(2)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

                   
今日は、昨日の続きです。

先日、紹介した記事の取材の際、先生にお聞きしたのですが、IgEは、まだ研究途上の免疫ですが、「反応するメカニズム」については、ずいぶんと研究も進んでいるそうです。
しかし、IgEの働きは分かってきても、IgEが作られる仕組み自体については、まだわからないことが多いそうです。
どういった原因により、長期記憶を持つようになるのか、というのもそうですが、解明されていない「ブラックボックス」が多い免疫にも関わらず、働き=結果のみに焦点をあてて、その結果が「必然的にもたらされる」という「仮定」のもとに進んでいる研究も多いとの話でした。

他の海外の研究論文を見ていると、このmIgE陽性B細胞(sIgE+B細胞と同義)が増加する仕組みの中では、サイトカインの働きが重要になるようです。
特にインターロイキン4(IL4)の関与については、いろいろとエビデンスも出ています。
インターロイキン4が増加する部分を見れば、そこには、睡眠不足や食事の偏り、運動不足といった、生活習慣にかかわる要素が大きく、またステロイド剤を含む薬剤もインターロイキン4の強化に関わることがあるようです。

今のアトピー性皮膚炎治療は、基本的にステロイド剤やプロトピック軟膏を使った「薬剤治療」が標準治療となっています。
しかし、個々人のアトピー性皮膚炎を細かく見ていった場合、このステロイド剤などの薬物により、IgEの増強が生じているケースもあります。
もちろん、ステロイド剤自体は抗炎症効果を有していますから、「火消し」の働きも持っていますが、人によっては「火消し」をしながら、燃えていた木材を「炭化」させ、炎症が消えにくい性質のものに変化させている、というケースも考えられるのです。

ここで考えなければならないのは、こうした薬剤の治療が「問題となる」ケースは、マジョリティではなくマイノリティだということです。
したがって、多数の利益を考えた場合、少数の不利益には目をつむる、ということは、ある意味間違っていないかもしれません。
しかし、マジョリティとして認められるためには、「その方法しか最善の方法がない」という証明がなされるべきであることは確かでしょう。

アトピー性皮膚炎の発症原因が皮膚のバリア機能にある方の場合、本質的な対策は、「スキンケア」に求められるケースが多くなります。
仮に、初発のアトピー性皮膚炎の方が100名いた場合、その中で「ステロイド剤の治療」を行った場合と、「適切なスキンケアで対処」した場合と、事後の比較はどうなるのでしょうか?
今のところ、そうしたエビデンスを大規模に求められたケースはありませんが、乳幼児に対するスキンケアが(薬剤を使用しない)、アトピー性皮膚炎の予防に役立った、というエビデンスはあるようですので、現在行われているエコチル調査の中で、そういった項目もあると、より患者側の「適切な選択肢」は増えてくるのではないかと思います。

もし、薬を使用しなくても治るアトピー性皮膚炎が存在することを前提にした研究が行われれば、ステロイド剤により影響を受ける可能性があるマイノリティなアトピー性皮膚炎の方の負担は少なくなるのかもしれません。

                    
おまけ★★★★博士のつぶやき

アトピー性皮膚炎の研究は、多くの分野を巻き込んで、グローバルな視点で行われることはあまりない。どちらかといえば、マクロな分野での研究がほとんどじゃ。
もちろん、マクロな研究は必要なのじゃが、マクロな研究同士の横のつながりを考えていくことで、見えてくる「結果」もあるのではないじゃろうか。