アトピーにステロイド剤は、「善」か「悪」か?(5)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                
今日は、今回のテーマの最後になります。
            
          
●#脱ステ は「親のエゴだった」ステロイドへの不安、信じた結果……「あんな怖い薬、ズルしているみたい」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190424-00000002-withnews-sci&p=1
         
ステロイドをやめるとまた湿疹が出て、強い薬になっていくんじゃないか……。そんな恐怖感を伝えると、湿疹を「火事」に例えた説明をうけて腑に落ちた。
「一見、火が消えたようにみえても、下に火種が残ってくすぶっているんです。だからぴたっと薬をやめるとまた火事が起きてしまう。この火種をなくすために、コントロールしながら使うんです。最終的に薬を使わなくてもいいように頑張りましょう」
「『ステロイドが怖くて使えない』というのは親のエゴだった」と感じるようになった。
軟膏を指にたっぷりとり、肌を覆うようにして厚塗りした。こわごわと試してみたが、翌朝、次男の顔から赤みがひいていた。
「こんなに色白だったんだ」。3日目には湿疹が目立たなくなった。激変した次男の皮膚をみて、長男も同じ病院に連れていこうと決意した。
次男よりも症状が軽いと考えていた長男は、皮脂の量が足らず、すぐに付き添いで入院することになった。一日じゅう、2~3時間おきに一度ステロイドを塗った。これまでのように、かゆみを訴えて夜中に起きることもなかった。
「これまでかゆくて眠れない日もあったのに……睡眠不足だったかもしれない。本当にかわいそうなことをしてしまった」
3泊4日の入院が終わると、長男の皮膚も見違えたようにすべすべになった。

●ステロイドは塗る量も大切だ。大人の人さし指の先から第1関節まで薬をのせた量が0.5グラムほど。これで手のひら2枚分の面積に塗れる。炎症のある皮膚はでこぼこしているので、のせるように塗って、湿疹を覆うようにする。――インタビュー:アトピー治療「ステロイドは怖くない」

これまで「脱ステ」を発信していたブログで「ステロイド治療を始めた」と書くのは勇気がいった。だが、同じような体験をほかの親にしてほしくないと思い切って書くと、ステロイドを悪いと断じる人たちからは「親失格だ」「今はよくても大人になって苦しむ」といったコメントやメッセージが届いた。
また「ステロイドが怖い」という気持ちにぐらっと傾いたが、病院の待合エリアできれいな肌の子どもを見ては「大丈夫」と言い聞かせた。症状が落ち着いてもすぐにステロイドをやめない「プロアクティブ療法」を続けた。

▼「脱ステのデメリット」という情報もあったら…
 
3年以上経って、今は2人とも朝と夜に保湿剤を塗ることがメインの治療になった。
ゼロ歳で治療を始めた次男は、手や足に時たま湿疹が出ることはあるが、ほとんどステロイドは使っていない。遅く始めた長男は、皮膚がこすれるところでいまだに湿疹が出るが、使う量は大幅に減った。
「ステロイドは怖い薬」と信じていた数年前の自分は、「ステロイドのデメリット」という根拠のないネガティブな情報ばかりを信じていた。「脱ステロイドのマイナス面」といった情報も届いていたら、もっと早く治療に踏み出せたかもしれないと思う。
母親学級などでステロイドやワクチンについて科学的根拠をもとに伝えてほしいし、「アトピーが治る」とうたった商品を売って悩む親子をだますようなビジネスはなくなってほしいと感じる。
子どものためだと信じて「脱ステ」を選ぶ親の気持ちは痛いほど分かる。だから批判や否定はしたくない。
けれど、子どもは「ステロイドを使いたい」「使いたくない」と主張できない。「どうしたら子どもが楽になるか」「治るか」を第一に考えてあげるべきだったと振り返る。
「もし、ステロイドを使わない治療で子どもの症状がなかなかよくならないなら、勇気を出して考え方を変えてみてほしいです」
        
         
記事は、全体的な流れとして、脱ステを「悪」、ステロイド剤治療を「善」として方向づけています。
今まで述べてきたように、ステロイド剤の治療の善悪は、患者個々人により異なりますから、ステロイド剤治療を促進する流れが必ず正しい、とは言えません。
記事の最後に、

「もし、ステロイドを使わない治療で子どもの症状がなかなかよくならないなら、勇気を出して考え方を変えてみてほしいです」

とありますが、これは「ステロイドを使わない」を逆の「ステロイドを使う」にすれば、

「もし、ステロイドを使う治療で子どもの症状がなかなかよくならないなら、勇気を出して考え方を変えてみてほしいです」

全く逆の立場で同じ意味合いを指すことになるでしょう。
脱ステに固執する治療を行う医師などは、ステロイド剤の治療を否定します。
ステロイド剤の治療に固執する医師は、脱ステの治療を否定します。
それぞれの立場において、「良くなった患者」もいれば「悪くなった患者」もいます。
「悪くなった患者」に目を向けないことことが、患者の利益に反しているのではないでしょうか?
もちろん、それぞれの治療を推進している関係上、逆の治療の立場に立つことは難しいのかもしれません。
しかし、あくまで「患者ファースト」を考えた場合、自分が行う治療法のベネフィットとリスクは正しく把握することも大切です。
そして同時に、患者側も、自分のアトピー性皮膚炎の「原因」をまず考えて、その「原因」を解消する治療として、何が必要なのかは考えていくことが必要でしょう。

                           
おまけ★★★★博士のつぶやき

治療を受ける患者が、治療を施す医師と「同じ知識」を持つことは不可能じゃ。
さらに、アトピー性皮膚炎治療を施す医師すらも、アトピー性皮膚炎に関わる「基礎研究」を全て把握しているわけではない。
例えば、アレルギーに関するIgEの働きも、アトピー性皮膚炎の臨床に携わる医師は正しく知っていないことが多い。
とはいえ、受ける治療の結果は、「患者が負う」のも確かじゃ。
ある程度の知識は、患者側も得ていくことは大切じゃろうの。