アトピーにステロイド剤は、「善」か「悪」か?(1)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                           
アトピー性皮膚炎の方にとって、その治療の過程において「ステロイド剤」の使用の可否は大きな課題と感じている方は多いようです。
現在の皮膚科学会のアトピー性皮膚炎に対する治療のガイドラインでは、ステロイド剤を中心とする薬物治療が「第一選択肢」と考えられています。
「治療を行う側」は、その治療の正当性を主張します。
そして、ステロイド剤により「悪化した」と感じるのは、その治療を受けた患者が多く、「治療を受ける側」は、その治療の正当性を否定します。
アトピー性皮膚炎の患者にとって、ステロイド剤の治療は、どのようなポジションにあるのでしょうか?
今日は、ある記事を元に、ステロイド剤の治療がアトピー性皮膚炎の患者にとって、必要なのかどうかを考えていきたいと思います。
記事は、脱ステを失敗したと感じている患者の主張を元に、医師が解説を行っている記事です。
順番に見ていきながら解説しましょう。
            
          
●#脱ステ は「親のエゴだった」ステロイドへの不安、信じた結果……「あんな怖い薬、ズルしているみたい」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190424-00000002-withnews-sci&p=1
         
「ステロイドは怖い薬」と信じ込んでいたお母さんは、子どものアトピー性皮膚炎の治療をステロイドの塗り薬に切り替えたママ友に、「ずるしてキレイに治ってどうするの?」とさえ思っていた――。インスタグラムやネットで「 #脱ステ 」を検索しては「同志」を探す日々。根拠のないネガティブな情報ばかりを信じた結果は……。「怖くて使えない、というのは親のエゴだった」。過去に子どもを「脱ステ」で治そうとしたお母さんに話を聞いた。
       
▼ネット上の「保湿する力が育たない」情報信じ…
        
8年前に長男(7)を出産した大阪在住のなーみんさん(36)。ブログ(
http://na-min.blog.jp/)で育児のようすをイラストつきで発信している。
長男は赤ちゃんの頃からおなか周りの皮膚がざらざらしていた。ネットに「子どもに保湿をすると保湿する力が育たない」と書いてあったのを信じた。特にスキンケアはしていなかった。
2歳になった頃、ひざの裏に湿疹があるのに気づき、自宅近くで皮膚科も標榜している診療所に連れていった。
 女性医師から「アトピー性皮膚炎ですね。治ったらすぐにやめてください」と言われ、ステロイドの塗り薬を処方された。
 塗るとすぐに症状が上向き、言われたとおりにすぐにやめた。けれど、少し経つとまた発疹が出てくる。そのたびに診療所を受診すると、処方されるステロイドがどんどん強くなっていった。
「大丈夫なのかな」と不安になった。
実は長男の出産直後、自分の顔にできた発疹の治療でステロイドを使ったことがあった。塗ると一気に肌がきれいになってすぐにやめたが、直後に腫れた。
数日で腫れはおさまったが「すごく効くけど怖いんだな」と思い込んでしまった。
         
●国立成育医療研究センターの医師で日本アレルギー学会の理事も務める斎藤博久さんに、アトピー治療とステロイドとの付き合い方を聞くと、治療の柱のひとつはステロイドの塗り薬を中心とした薬物治療だ。ステロイドには炎症をおさえる働きがある。まず炎症をなくして皮膚をきれいにし、バリアー機能を取り戻していく。塗ると数日でつるつるした肌になるが「中途半端にやめない」ことが大事だ。――インタビュー:アトピー治療「ステロイドは怖くない」
            
なーみんさんがネットでステロイドを検索すると、「毒」「体に蓄積される」と書いてあった。だんだん悪いことしか目に入らなくなった。
「『こんな怖い薬を子どもに使ってしまったんだ』と思って。本当に怖くなっちゃって」
「ステロイド」「使わない」といったキーワードで検索すると、通える距離にクリニックがあるのを知った。口コミもよかった。
治療を始めて3カ月ほどですぐに病院を変えた。
待合室は混み合っていて、自分の子どもより肌が荒れている子もいた。
「ステロイドは怖い」といったタイトルの本が並び、クリニックの医師が登場する記事が壁に貼ってあった。「有名な先生なんだ」とホッとした。
      
        
まず、記事の最初の部分です。
「脱ステ」を行う場合、「脱保湿」をセットにしているケースは多いようです。
特に、医師が行う「脱ステ」は、その傾向が強く、保湿剤の使用が自らの「保湿する力」を怠けさせてしまう、という表現がよく使われています。

しかし、厳密にいえば、人が自ら「保湿」する力のベースは、「汗」です。
汗が汗と共に出る皮脂と乳化して作られる「皮脂膜」で皮膚を覆うことで、角質層の水分蒸散を防ぐ「保湿」の役割を果たすことになります。
つまり、脱ステの「治療者」が言うところの「保湿する力が育たない」という部分は、スキンケアという観点から置き換えれば「汗をかかない」ということになります。
しかし、保湿剤の使用の有無は、汗をかくかどうかの部分に、さほど大きな影響を与えるものではありません。
もちろん、オイル系の保湿剤を使用して肌が覆われることで熱を持ち、それが汗になんらか関係することはあるかもしれません。
しかし、皮脂は基本的に汗とセットで分泌されることで、皮脂膜として機能するのであって、皮脂が汗を伴わずに皮膚全体を覆う皮脂膜として機能するわけではありません。

もちろん、外から保湿されることが、自ら保湿する機能の抑制につながるケースはあるかもしれませんが、その前提は「汗」という部分が関わってくる、ということです。
では、保湿剤を使用しない「メリット」がどこにあるのかというと、もっとも大きなものは「皮膚への刺激を避ける」という部分にあるでしょう。
保湿剤は、刺激が少ないように工夫されていますが、精製水ですら刺激となる人もいるわけで、「万人に刺激を与えない」成分で作るということは不可能です。
多くの人に刺激を「与えづらく」作ることは可能でも、刺激を「与えない」ものを作るのは不可能といってよいでしょう。

つまり、保湿剤を使用しないことが、皮膚への刺激を減らすことにつながる、というところが、脱保湿のメリットということです。
ただ、気をつけて欲しいのは、脱保湿=脱ステではなく、脱ステの一部に脱保湿がある、というところでしょう。

続きは明日にしましょう。

                            
おまけ★★★★博士のつぶやき

ステロイド剤は毒で蓄積するのは非科学的、という医師がおるが、実は、蓄積すること自体は、エビデンスにより明らかにされておる。
もちろん、その蓄積による「影響」がどれくらいあるのか、までは分かっておらんが、医師が「間違い」と言えば、その情報そのものが間違っているわけではない、というところは気を付けた方が良いじゃろう。