痒みとIgEの研究(4)

北です。

 

 

 

 

 

 

 

                     
今日は、今回のテーマの最後となります。
                  
           
●アレルギー研究最前線 痒みの素、IgEを減らすためのB細胞物語
          
監修/北村大介(東京理科大学生命医科学研究所、分子生物学研究部門 生命科学研究科 生命科学専攻 教授)
        
▼胚中心でエリート抗体を養成する
            
そしてもう一つ、抗体の質を改良する仕組みがあります。B細胞の一部は、リンパ節や脾臓などの免疫組織に濾胞と呼ばれる集合体を作り、そこに形成される中心部(胚中心)で胚中心B細胞となります。胚中心B細胞は、さらに、記憶B細胞や長期生存プラズマ細胞へと分化して免疫記憶を形成していきます。ここでは、結合力の弱い抗体は淘汰され、より能力の高い抗体が生き残り、これを親和性成熟といいます。
胚中心B細胞の多くはIgGへとクラススイッチを起こしますが、一部は、IgE陽性B細胞にもなります。主にIgG型が免疫記憶を形成するのですが、IgE陽性B細胞はなぜかすぐに短命のプラズマ細胞へと分化して死滅します。したがって、IgE陽性の記憶B細胞や長期生存プラズマ細胞はほとんど作られないことが、最近のマウスの実験でも明らかになっています。
            
▼アレルギーの根本を探る研究
            
ここで、最初にお話した「IgE陽性の記憶B細胞や長期生存プラズマ細胞はいかにして生まれるか?」という問題に戻りたいと思います。
この問題を究明するために、東京理科大学・北村教授らの研究グループは、ナイーブB細胞を培養して胚中心B細胞を人為的に大量に作製する方法を独自に開発し、この細胞に膜型IgEの抗原受容体を発現させました。その結果、膜型IgEがB細胞表面に発現するだけで、胚中心B細胞は急速にプラズマ細胞へと分化し、アポトーシスの形で死に至りました(図2)。
その際、プラズマ細胞への分化とアポトーシスに至るシグナル伝達(細胞間で行われている化学的な情報伝達)経路が明らかにされました(図3)。二つの経路の上流にあるBLNKとCD19には、B細胞受容体シグナル伝達経路において、下流へと情報を伝える働きがあります。そこで研究グループは、BLNK欠損マウスとCD19変異マウスを作製し、それぞれの免疫応答を解析しました。その結果、膜型IgE陽性の胚中心B細胞が増加し、IgE陽性の記憶B細胞と長期生存プラズマ細胞が形成・維持されていることがわかったのです。
この実験結果から、次のようなことが言えるでしょう。
            
免疫応答の際、BLNKやCD19などを介したシグナル伝達経路のどこかに異常があれば、IgE型にクラススイッチしたB細胞は死なずに、記憶B細胞や長期生存プラズマ細胞となる。

アレルギー性疾患の発症
             
北村教授は、アレルギー性疾患患者のIgE陽性記憶B細胞の遺伝子解析を行い、今回マウスの実験で明らかになったことが、人体においても起こりうるのかを検証したい。そして、アレルギー性疾患の病因となっている遺伝子異常を明らかにしていく予定であると、今後の展望を語ってくれました。
この研究がさらに進んでいけば、なぜアレルギー性疾患が発症するのかが明らかとなり、アトピー性皮膚炎や花粉症の根本治療も夢ではありません。
今後のさらなる研究成果に期待しましょう。
            
         
今回の記事の重要な部分が説明されています。
IgEは、本来、長期記憶を持たないはずですが、それがなぜ長期記憶を持つようになったのか、そして、健常な方が長期記憶を持つB細胞をもたず、アトピー性皮膚炎の人が持っているとした場合、その差は、どこにあるのか、これらはまだ研究の途中ではありますが、そこにアトピー性皮膚炎の「症状」に対して根本的な対策となる部分が潜んでいるように思います。
今後の研究に注目しておきたいと思います。

                     
おまけ★★★★北のつぶやき

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