痒みとIgEの研究(2)

北です。

 

 

 

 

 

 

 

                         
今日は昨日の続きです。
IgEを作るB細胞について見ていきましょう。
         
          
●アレルギー研究最前線 痒みの素、IgEを減らすためのB細胞物語
          
監修/北村大介(東京理科大学生命医科学研究所、分子生物学研究部門 生命科学研究科 生命科学専攻 教授)
       
▼B細胞がIgEを作っている
          
これらの事実を説明するには、アレルゲンに反応するIgEを作ることができる長期生存プラズマ細胞や記憶B細胞が患者さんの体内で生まれてしまって長期間存在すると考えるしかありません。これがなぜB細胞の問題なのかは、もうお分かりですよね。B細胞がIgEを作っているからです。
なぜそのようなB細胞が生まれたのか、逆に、なぜ健康な人ではそれが生まれないのか、そのメカニズムがわかれば、B細胞に働きかけることでIgEの増加を抑えることができるでしょう。
IgEが増えなければ、マスト細胞との結合もなくなり、アレルギー症状は根本から解決されるはずです。
これから紹介する東京理科大学・北村教授らの研究は、これまでほとんど分かっていなかったIgE陽性B細胞の謎を解明する突破口となるものです。
なかなか複雑な内容ですが、B細胞による抗体産生の仕組みを紐ひも解ときながら、研究成果を説明していくことにします。
         
▼B細胞の成熟と抗体産生
              
骨髄で作られるB細胞は、幹細胞の状態から徐々に成熟していきます。
Pre─B細胞(前駆細胞)の段階になると細胞内に弱い抗体(=免疫グロブリン)が作られ始め、成熟するにつれて、植物の芽のように抗体が細胞膜上に出てきます。この細胞膜にくっついた状態の抗体を膜型Ig(免疫グロブリン)といいます。
膜型Igは、B細胞が抗原を認識するための受容体として機能します。例えば、〔K〕という抗原が、B細胞の受容体にくっついたとしましょう。B細胞は〔K〕を食べて(抗原認識)、細胞表面に〔K〕の一部分を提示します(抗原提示)。では、何のためにB細胞は抗原提示するのでしょうか?
答えは「ヘルパーT細胞に伝えるため」です。B細胞が〔K〕を食べた頃、実は体中の様々な免疫細胞たちが、〔K〕が体内に侵入した情報をにぎっています。右ページの、「異物侵入からアレルギー症状発生までの流れ」を思い出してください。
まず、樹状細胞が〔K〕の情報をつかみ、T細胞に伝えます。もう少し正確にいえば、〔K〕を認識できるナイーブヘルパーT細胞を探し、「〔K〕が来たぞ」と伝えます。ちなみに「ナイーブ」とは、まだ抗原と出会っていない「初心な細胞」という意味です(抗原と出会っていないB細胞もナイーブB細胞といいます)。
樹状細胞から〔K〕侵入の情報を受け取ったナイーブヘルパーT細胞は、活性化ヘルパーT細胞となって増殖します。なぜ増殖するのかというと、数が多くないと〔K〕のことを知っている(〔K〕の抗原提示をしている)B細胞となかなか出会えないからです。
〔K〕の侵入をくい止めるためには、一刻も早くB細胞に抗体(〔K〕をやっつける武器)を作ってもらわなければならない。そのためにヘルパーT細胞という伝令部隊を増強するわけです。
このような経緯で、〔K〕を抗原提示するB細胞は〔K〕情報を伝令するヘルパーT細胞と出会い、活性化します。活性化したB細胞は、増殖してプラズマ細胞(形質細胞ともいう)と呼ばれる抗体産生細胞になります。ここで作られる抗体は、膜型Igではなく分泌型Igです。分泌型のIgは細胞外に放出され、抗原をやっつける武器となります。
       
            
話は専門的な分野に入り、かなり難しくなってきましたが、要約するとB細胞が抗体を作るまでの手順が説明されています。
IgEをB細胞が作り出しているのは「常識」かもしれませんが、Igの中で最初から作られるのは種類が決められており、IgEはそこに入っていないことが分かっています。
明日は、その辺りについて見ていきましょう。

                       
おまけ★★★★南のつぶやき

アトピー性皮膚炎という疾患自体は、アレルギーが関わらない部分がありますが、アトピー性皮膚炎による「痒み」という症状は、アレルギーが関わる痒みが多い状況です。
今の皮膚科医の治療は、痒みと言うアレルギーに関わる部分の治療は行っても、アトピー性皮膚炎という病気を直接治せないところに大きな課題があるのかもしれませんね。