痒みとIgEの研究(1)

編集の北です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                       
今日は、今月号(2019年4・5月号)のあとぴナビの記事の中から、東京理科大の先生を取材した記事を紹介しましょう。
記事全体は長いので、何日かに分けたいと思います。
         
          
●アレルギー研究最前線 痒みの素、IgEを減らすためのB細胞物語
          
監修/北村大介(東京理科大学生命医科学研究所、分子生物学研究部門 生命科学研究科 生命科学専攻 教授)
          
アレルギー疾患は、本来はごく少量のはずのIgE抗体が大量発生して体に悪さをしている状態。だから、IgE抗体を増やさない方法を究明すれば、アレルギー疾患の根本治療につながります。そんな画期的な研究が、今進められています。
          
▼まずは、アレルギー発生のしくみから
         
アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー反応は、本来は無害なはずの異物(ダニの糞、ハウスダストや花粉など)が体に侵入した際に、それらを排除しようとする免疫の過剰反応によるものです。この反応により、皮膚の炎症など様々な不快症状が引き起こされますが、その仕組みをごく簡単に説明すれば左のような流れになります。
今回の記事を理解してもらうために、この流れの中で覚えておいてほしいことがあります。まず、アレルギー疾患はIgE抗体(以下IgE)の増加に起因すること。そして、IgEを作る抗体産生細胞(プラズマ細胞)はB細胞という免疫細胞からできること。この二つです。
         
▼IgEはなぜ増えるの?
         
アレルギー検査では血中のIgE量を調べますが、アレルギー性疾患があれば、IgE値がとても高くなることはよく知られています。それでは、なぜIgEが増えた状態が長期間続くのでしょう? この問題に対する回答は、最新の免疫学においても出ていません。
健康な人の血液中には、IgEがほとんどありません。IgEはもともと寄生虫や蜂毒に対する抗体で、衛生環境の整った現代人の生活にはあまり必要とされないからでしょう。その寿命も短く、血液中の半減期は約半日~2日しかありません。抗原が侵入すれば一時的に増えるものの、通常はすぐに検出されなくなります。
しかし、アレルギー疾患をもつ患者さんの場合は、長期間にわたりIgE値が高い状態が続きます。食物アレルギーで長年食べていなかった食物を食べたら、再びアレルギー症状が出ることもあります。つまり、患者さんの体内の免疫系がアレルゲン(アレルギーを起こす抗原)を長い間記憶していることになります。
          
         
今日は、まず冒頭の部分について紹介しました。
アトピー性皮膚炎の痒みを引き起こす原因はいくつか考えられますが、その一つが、この「IgE」が関わる部分です。
昔は、アトピー性皮膚炎は、アレルギーの1型、4型、あるいはその混合型と考えられており、そこで関わってくる免疫としてIgEの研究が進められました。
ポイントは、記事にある「健康な人の血液中には、IgEがほとんどありません。」という部分でしょう。
なぜ、健常な方にはIgEが少なく、アトピー性皮膚炎の人には多いのか、当たり前のことのように思うかもしれませんが、この状況は「結果」を現わしているだけで、その結果に対応する「原因」が重要になってくるのです。
明日は、続きを見てみましょう。

                       
おまけ★★★★博士のつぶやき

IgEは、アトピー性皮膚炎に対して、基本的に症状の原因ではあっても、病気の原因ではない。
そして、IgEを増強する要因が、生活環境内に潜んでおることが、問題をややこしくしている部分となる。
IgEの話は、少々、難しい部分も多いのじゃが、アトピー性皮膚炎の人には、ぜひ正しい働きと、現在解明されていること、解明されていないことを知っておいて欲しいと思うの。