IgEは、なぜ増加するのか?(2)

北です。

 

 

 

 

 

 

 

                 
今日は昨日の続きです。
昨日述べたように、「IgE」とB細胞について大切なポイントは、

・免疫グロブリンは、IgMとIgDが基本で、そこにヘルパーT細胞が影響を与えてクラススイッチが起こり、IgGが作られる
・IgEは、さらにその先において、免疫グロブリンH鎖遺伝子のクラススイッチ組み換えにより作られる
・IgE型のB細胞は、本来、短命の形質細胞に分化するので、長期記憶を形成しない
・したがって、IgEはもともと、半減期間が12時間と短く、何もしなくてもアポトーシスすることで消えていく

というところにあります。
簡単にいうと、例えば、風邪をひいて免疫が作られると、しばらく時間が経ってから再び同じ風邪のウィルスが体内に入ってきても、体は速やかにそのウィルスに対抗する免疫を作り出します。
これは長期記憶を形成するB細胞の働きによるものです。
しかし、IgE型のB細胞は本来、この長期記憶を形成せずに、短期生存形質細胞のため、大半は12時間で消滅します。
つまり、IgEが高値を示すことは、長期記憶を持つIgE型のB細胞が発生していることが考えられ、これはIgEが産生される仕組みの中では、「異常な状態」とも言えるそうです。
これは、本来IgEが形成されていく仕組みのどこかが失われることで(CD19やBLNkなど)、本来の短期生存型から異なる形質細胞へと変化していく可能性が考えられるようです。

今回、国立成育医療研究センターの発表内容においては、IgEをアポトーシスさせることで、アトピーなどの予防につながる、とのことでしたが、IgE型のB細胞がアポトーシスすること自体は普通のことなので、長期記憶型に変質する原因がどこにあるのか、また長期記憶型に変質した後でも、今回の発表と同様の結果(アポトーシス)が生じるのか、など課題は多いように感じました。
何より、IgE自体は、衛生環境が整った日本においては、あまり必要性が高くありませんが、体にとって不必要な免疫ではありませんから、もし、IgEが生涯にわたって作られない、ということになれば、それはそれで問題を抱えている可能性があるようです。

今後、アレルギーとその原因につながる免疫の研究は、いろいろと行われると思いますが、その根幹の部分で、こうしたB細胞の基礎研究が非常に重要になってくるように思います。
今後の研究成果に期待したいと思います。

                     
おまけ★★★★北のつぶやき

IgEの働きについては、下流の部分(炎症を生じる部分)については、大半が解明されていますが、上流の部分(IgEが作られる部分)については、まだ多くが解明されていない状況だそうです。
B細胞の研究者は、あまり多くはないそうで、こうした基礎的な部分がしっかり解明されていくことはとても大事なことだと思いました。
IgEがアトピー性皮膚炎の炎症に関わっていることは事実ですが、IgEだけがアトピー性皮膚炎の炎症に関わっているわけではありません。
同時に、今の医者がIgEについて「語っている部分」は、実はIgEの働きの半分も明らかにした上での話ではない、とのことでした。
こうした基礎的な研究を行われている先生には頭が下がります。