妊娠中の予防接種でアレルギー体質が改善できる?(1)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                    
今週、Webのニュースで見かけた方もおられると思いますが、妊娠中の予防接種を受けることで赤ちゃんのアレルギー体質を改善する、という研究が国立成育医療研究センターなどの研究チームが発表しました。

                                 
●赤ちゃんのアレルギー体質化を防ぐしくみ、マウスで発見
https://www.asahi.com/articles/ASLCW000JLCVUBQU01L.html

妊娠中に「予防接種」を受けることで赤ちゃんがアレルギー体質にならないようにするしくみを、国立成育医療研究センターなどの研究チームがマウスの実験で見つけ、26日に発表した。花粉症や食物アレルギー、ぜんそく、アトピー性皮膚炎などを防げる可能性がある。今後、人での効果を確かめて数年以内の実用化を目指す。
アレルギー体質になるかどうかは、生後3カ月までに免疫グロブリンE(IgE)と呼ばれる物質をたくさんつくる体質になるかどうかで決まる。IgEが花粉や食物、ダニなどと反応し、花粉症や食物アレルギー、ぜんそくを発症する。
研究チームは、胎児や乳児期にのみ現れる「mIgE陽性B細胞」に注目。この細胞の表面にあるIgEに、花粉や食べ物などの原因物質(アレルゲン)が結びつくと、IgEを大量に作り始める。一方、このIgEに特殊な薬を結合させると、細胞を自殺させるスイッチが入り、生涯にわたってIgEが作られなくなる。
妊娠中の母親マウスに薬を注射すると、胎児マウスの体内では、ほとんどIgEが増えないことを実験で確かめた。母体からへその緒を通じて赤ちゃんに送られ、mIgE陽性B細胞が死滅した可能性が高いとみている。効果はマウスが生まれた後大人になっても続き、アレルギー体質にはならなかった。悪影響がないことも確認した。
日本人の2人に1人が何らかのアレルギー疾患を抱えている。だが、これまで治療の多くは対症療法だった。この技術を人に使えれば、将来にわたってアレルギーのリスクを下げられる。この薬はすでにアレルギー患者の症状を和らげるために使われている。
IgEは今年7月に亡くなった石坂公成博士らが1966年に発見し、アレルギー検査などに広く使われている。今回の研究は石坂博士が着想し、国立成育医療研究センターを中心に進めてきた。今後、アレルギー体質の妊婦らに協力してもらい効果を検証する。
同センターの森田英明・アレルギー研究室長は「人での安全性を確認し、数年以内に臨床での実用化につなげたい」と話した。

                                  
記事の内容は、非常に興味深いものです。
簡単に言うと、妊娠中にある薬を摂取することで、胎児がIgEを作らなくなる=アレルギー体質が改善できる、というものです。
今回の研究内容を調べると、2015年に東京理科大学が発表した「IgE陽性B細胞の特異な分化・維持・動態の制御機構の解明」が元になっているのではないかと思います。

                                 

●IgE陽性B細胞の特異な分化・維持・動態の制御機構の解明
https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-25293116/25293116seika.pdf#search=’%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E7%90%86%E7%A7%91%E5%A4%A7%E5%AD%A6+%E7%A7%91%E5%AD%A6%E7%A0%94%E7%A9%B6%E8%B2%BB%E5%8A%A9%E6%88%90%E4%BA%8B%E6%A5%AD+IgE%E9%99%BD%E6%80%A7B%E7%B4%B0%E8%83%9E’

                                         

mIgE陽性B細胞のアポトーシスなど、基本的な考え方は、この研究から進んだように思われます。
では、今回の研究結果は、アトピー性皮膚炎に対して、どのような影響を与えることになるのでしょうか?
続きは、明日、述べたいと思います。

                   
おまけ★★★★博士のつぶやき

気をつけておきたいのは、免疫機能が未成熟な乳幼児を対象にしておる、というところかの。
おそらく、現在のアトピー性皮膚炎の全てに対応するわけではなく、例えば、皮膚のバリア機能の低下から生じるアトピー性皮膚炎の発症を防げるのかは疑問な部分もある。
今後に注目したいところじゃ。