皮膚の細菌叢がアトピー性皮膚炎に与える影響とは?(1)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                       
ここ数年、アトピー性皮膚炎に関する最新の研究を見ていくと、免疫を中心とした研究から、皮膚のバリア機能や神経に関するものが増えてきています。
実際、ネイチャーなど権威のある科学雑誌に投稿された論文にはその傾向が見てとれます。

皮膚のバリア機能についても、いろいろな視点から研究が進んでいますが、特に注目されているのは皮膚の細菌叢を中心とした研究のように思います。
腸内細菌がアレルギーや健康に関与している研究や論文は数多くありますが、皮膚についても、常在菌の影響、そして病原性の細菌による影響の研究がアトピー性皮膚炎に限らず、進んできています。

皮膚の常在菌は1平方センチメートルあたり、10万個前後と言われています。
腸内の細菌と比べると少ないわけですが、それでも、多様性を保ったそれらの常在菌が果たす役割は、「皮膚の健康」を考えると、とても重要であることが分かります。

昔の「大きくなれば自然と治る」と言われていたアトピー性皮膚炎は、主に免疫機能(アレルギーを含めて)が発症原因として関わっていると考えられていました。
しかし、最近、子どもに関わらず成人にも急増しているアトピー性皮膚炎の原因は、アレルギーでないことが分かってきています。
皮膚のバリア機能の低下から、黄色ブドウ球菌などが繁殖、細菌叢が乱れることで、それら病原性の細菌が出す毒素(デルタ毒素)が、IgEを増強、アレルギーを作ることでアトピー性皮膚炎などを発症させています。
もちろん、これはアトピー性皮膚炎の「全体像」ではありませんが、アトピー性皮膚炎の患者の90%以上に、肌に黄色ブドウ球菌の定着(繁殖)がみられることからも、中心と考えてよい原因と言えるでしょう。

つまり、昔のアトピー性皮膚炎は、アレルギーを原因として発症することが多かったのが、今のアトピー性皮膚炎の多くは、皮膚のバリア機能の低下が発症原因であり、アレルギーは症状の悪化原因の側面が強くなっている、ということです。
さらに、そこに痒みの神経線維の問題も加わってきます。
アトピー性皮膚炎は、皮膚を「痒い」と感じて掻くことで悪化します。
しかし、この「痒い」と感じているのは、実は皮膚ではなく「脳」です。
神経により「痒み」が伝達されることで、掻いてしまう、当たり前のことですが、ここに大きなポイントが潜んでいます。
九州大学の研究では、脊髄のグリア細胞の一種が、アトピー性皮膚炎の方の場合、痒みの情報を増幅して伝えることで「強い痒み」を感じることが分かっています。

このように、アトピー性皮膚炎は、さまざまな要因を個々人ごとに関わる原因と絡めて考えていく必要があるわけですが、その要因の中で、皮膚の細菌叢の問題が、もっとも大きな部分を占めているのは確かでしょう。

明日は、皮膚の細菌叢と生活環境の問題について考えてみましょう。

                     
おまけ★★★★博士のつぶやき

腸内細菌が免疫などに与える影響は研究が進んでおるが、皮膚の場合には、これからのところが多い。
また、細菌は目に見えない分、その影響についてなかなか理解が進みづらい面もあるようじゃ。
じゃが、皮膚は細菌と「共生」していると言っても過言ではない。
正しい、共生を行っていきたいものじゃの。