重症のアトピー性皮膚炎が心疾患のリスクを高める?

東です。

 

 

 

 

 

 

 

                    
今日は、イギリスの研究ですが、アトピー性皮膚炎に関する疫学調査をもとにした発表を紹介しましょう。
             
           
●重症のアトピー性皮膚炎は心疾患の発症リスクを高める!
http://healthpress.jp/2018/07/post-3677.html
          
英ロンドン大学衛生熱帯医学大学院(LSHTM)のSinead Langan氏らの研究チームは、重症のアトピー性皮膚炎(湿疹)の患者は、心筋梗塞、脳卒中、不整脈などの心血管疾患を発症するリスクが高いとする研究成果を『BMJ』5月23日オンライン版に発表した。
アトピー性皮膚炎は、皮膚の乾燥、かゆみ、発疹を伴い、喘息、アレルギー性鼻炎、食物アレルギーを誘引する炎症性皮膚疾患であるため、罹患すればQOL(生活の質)の低下につながる重篤な慢性疾患だ。
         
▼重症のアトピー性皮膚炎は心疾患による死亡リスクが40~50%も高い
         
Langan氏らは、英国家庭医の診療記録を収めたデータベースClinical Practice Research Datalink(CPRD)に登録したアトピー性皮膚炎に罹患した18歳以上の成人38万7439人(年齢中央値43歳、女性66%)とアトピー性皮膚炎を罹患していない152万8477人を対象に心血管疾患の発症リスクを比較した。アトピー性皮膚炎の患者は、軽度、中等度、重度に分類し、中央値で5年間追跡した。
その結果、重症のアトピー性皮膚炎の患者は、罹患していない対照群よりも脳卒中リスクが20%、心不全リスクが70%高く、不安定狭心症、心筋梗塞、心房細動、心疾患による死亡のリスクが40~50%高かった。体重、喫煙、アルコール摂取などの因子を調整してもリスクに変動はなかった。
英ロンドン大学衛生熱帯医学大学院(LSHTM)のSinead Langan氏が率いた研究チームは「この研究は観察研究なので、アトピー性皮膚炎が心疾患リスクを高める原因を明らにしてはいない。だが、被験者数が大規模なため、関連性は否定できない。これらの患者を対象とした心血管疾患の予防対策を検討しなければならない」と指摘する。
英カーディフ大学のJohn Ingram氏は「重症のアトピー性皮膚炎をコントロールするためには、高価な最新の生物学的製剤を使用する価値がある。生物学的製剤が心疾患リスクを低減できるかどうかが試金石になるだろう」と強調している。
         
(以下、省略)
       
            
記事に書かれている調査は日本でいうところのエコチル調査に近いものと思われます。
数十万人単位で5年間の追跡調査を行っており、疫学的な意味合いも高いのではないでしょうか?
心疾患のリスクが高い原因そのものは不明のようですが、できればもう少し細かな分類も行って欲しいところです。
例えば、重症のアトピー性皮膚炎の定義をどのようにしているかが分かりませんが、状態が「回復」に向かっているグループ、「停滞」しているグループ、そして「悪化」しているグループで、有意差が見られないかどうか、また、薬の種類と使用頻度、使用部位、さらには生活習慣における分類です。

一般的に、重症のアトピー性皮膚炎の方の場合、夜の睡眠が取れづらく、昼夜逆転している方を比較的多いと言われています。
心疾患の場合、自律神経や内分泌の影響を受けることが多く、そうした昼夜逆転している生活そのものからの影響も考える必要があるのかもしれません。

いずれにしても、重症のアトピー性皮膚炎から「回復」すれば良いとも考えられますから、「つきあっていく治療」よりも「回復させていくための治療」への取り組みを考えていくことは大切でしょう。

                           
おまけ★★★★大田のつぶやき

アトピー性皮膚炎のこうした疫学調査は興味深いところです。
日本では、現在の治療の「正当性」を示す研究は行われても、リスクにつながる部分を明らかにする研究はなかなか行われていません。できれば、診療科の垣根を超えて、「患者のために有意義な研究」をぜひ行って欲しいですね。