黄色ブドウ球菌の話(5)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                 
今日は、今回のテーマの最後で、「健全な免疫機能」について考えてみましょう。

3.皮膚の免疫機能

皮膚の免疫を司るのは、司令塔であるランゲルハンス細胞です。
このランゲルハンス細胞が失われると、異物などに対して防御したり排除したりすることが上手に出来なくなります。
本来は、表皮ブドウ球菌により覆われた健常な皮膚も、ランゲルハンス細胞が、悪い菌が増殖しようとするのを免疫機能により防ぐことで保たれている面があります。

しかし、ランゲルハンス細胞は、皮膚へのさまざまな刺激により影響を受けることが分かっています。
特に強い影響を与えるのが「紫外線」です。
アトピー性皮膚炎の方で、紫外線が強くなると症状が悪くなる、あるいは直射日光を浴びる時間が長いと皮膚の赤みと痒みが強くなる、といった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
これは、皮膚の表面にあるランゲルハンス細胞が紫外線により失われることで、正常な免疫機能の働きが維持できなくなるからです。

もう一つ、皮膚の免疫機能に大きく影響を与える要因が「免疫抑制作用を持つ薬剤」の使用です。
アトピー性皮膚炎の主な治療薬として使用されているのは、ステロイド剤、プロトピック軟膏でしょう。
両方ともに、免疫を抑制することで炎症を抑え、炎症から生じる痒みを減らす、ということが目的の薬剤です。
こうした皮膚の免疫機能の抑制を行えば、ランゲルハンス細胞が失われた時と同じように、皮膚の細菌叢は影響を受けることになります。
但し、薬剤の場合、炎症を抑えることで掻き壊しを軽減する、という働きも同時に持っています。掻き壊しが減れば、そこから細菌叢を乱すこともなくなりますので、メリットも合わせて持っていることは確かでしょう。
薬剤使用で問題なるのは、多くは長期連用です。
短期使用であればメリットを受けれる範疇内(メリットゾーン)での使用に留まっていますが、長期連用に至ると、デメリットの要素が強くなりメリットを超えてしまい(デメリットゾーン)、今度はアトピー性皮膚炎の悪化要因になってしまう恐れがある、ということです。
このように、皮膚の細菌叢は、アトピー性皮膚炎に対して発症要因、悪化要因の両面から大きく関わっています。
細菌叢を乱さない生活、そしてケアをしっかり考えて取り入れていきましょう。

                    
おまけ★★★★博士のつぶやき

アトピー性皮膚炎の方が薬剤を使用する場合には、今日のブログの後ろの方に書かれていた、「メリットゾーン」と「デメリットゾーン」のどこに自分がおるのかをしっかり把握することが大切になる。
薬剤は、そのものが「悪」ではない、それを「悪」にするのは「使い方」じゃ。
メリットを受けれる範囲内での使用、そしてデメリットゾーンにいるのかどうかの判断は適切に行いたいものじゃの。