黄色ブドウ球菌の話(4)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

               
今日は、二つ目の「健全な皮脂膜」について見ていきましょう。

2.皮脂膜

ヒトの皮脂膜は、皮膚を弱酸性に保つことで、悪い菌の増殖を防ぎ、同時に被膜が角質層からの水分蒸散を軽減させて乾燥状態から肌を守る働きを持ちます。
皮脂膜は、汗腺から出る汗と、汗腺の中にある皮脂腺から放出される皮脂が、皮膚表面で乳化することで作られます。
つまり、皮脂膜の形成には、汗と皮脂が必須、と言えます。
そして、この皮脂膜は、皮膚を覆うベールのようなものでちょっとしたことで「剥がれ」ます。

・洗浄剤

まず、皮脂膜を皮膚から落とす原因の一つは「洗浄」です。
昨日、述べたようにアトピー性皮膚炎の方にとって、特に夏の時期、洗浄は大切な働きを持ちますが、同時に、皮脂膜を落としてしまう、という弱点も持っています。
皮脂膜を落とす原因の一つは、界面活性剤です。
皮膚を守る皮脂膜だけ見ると、この界面活性剤の働きは合成か天然かを問いません。
一般的に、アトピー性皮膚炎の方は、合成の洗浄剤は危険で、純石鹸は安全、というイメージを持たれている方も多いのですが、毒性など「安全性」の面では確かに差があるかもしれませんが、「皮脂膜を守る」という部分だけ考えると、合成の洗浄剤も純石鹸も、役には立たず、逆に失わせる大きな要因となっています。
重曹洗剤など、界面活性作用を持たない洗浄剤が理想的ですが、泡立たず使いづらい、という声もありますので、そういった場合には、洗浄剤をお湯で薄めてから使うと、皮脂を落とす度合いが減って、お肌への刺激も減らせるでしょう。

・洗濯洗剤

ほぼ全ての家庭は、洗濯をする際、洗濯機を使っていると思います。
群馬大学の研究では、洗濯機での洗濯は、衣類に一定量の洗剤が残留することが分かっています。これは、すすぎの回数をどれだけ増やしても同じです。
通常の合成洗剤や純石鹸洗剤は、先ほどの洗浄剤のところで述べたように界面活性作用により汚れを落としますので、こうした界面活性作用を持つ洗剤が衣類に残留すると、汗などの水分と乳化して、皮脂膜をとってしまうことが分かっています。
アトピー性皮膚炎で、特に乾燥でお悩みの方は、直接、お肌に触れる衣類の洗濯の際には、合成洗剤や純石鹸洗剤を使うのではなく、重曹洗剤など界面活性作用を持たない洗剤を使用するようにしたいものです。
明日は、最後の「健全な免疫機能」について見ていきましょう。

                   
おまけ★★★★大田のつぶやき

この皮脂膜は、「脱保湿」というアトピー性皮膚炎の治療法にも深く関わってきます。
皮脂膜は自分の力で行うスキンケアの働きなのですが、そのためには、「汗」がどうしても必要になります。
脱保湿を成功した方を調べると、汗をしっかりかける人だった、ということが分かっていますが、逆にいえば、汗がかけないヒトはスキンケアをどのように「補う」のかも考えていく必要がある、と言えるでしょう。