皮膚の細菌とアトピーの関係(5)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

                    
今日は、今回のテーマの最後で、昨日の続きです。

あとぴナビの、スキンケア開発は、この共同研究が失敗してから、防腐剤を使わない市場に流通できるアイテムがテーマになりました。
そして誕生したのが、APシリーズです。

市販で使用できる防腐剤は、合成されたものばかりでしたので、それを天然の防腐効果を持つもので、化粧品に使用できるものが無いかを探したのです。
その中で、あるメーカーから提案いただいたのが「ミネラル塩」でした。
これは、40種類以上の野草を野焼きして作られたミネラルのサプリメントがあるのですが、これを水溶液かしたものが保湿効果が高い、ということで化粧品の原料登録を行ったものでした。

ミネラル濃度が高い、ということは同時に、ある程度の防腐効果も有します。
いわゆる、お醤油が腐らないのは、ミネラル濃度が高いから、という原理と同じです。
問題は、そうしたミネラル濃度を防腐効果を得られるまで高めた場合に、皮膚に刺激とならないのか、ということでした。
そこから数社の化粧品会社に試作いただきましたが、いずれも、皮膚に刺激を感じない濃度では防腐効果が得られず、頓挫しかけたときに、現在、APシリーズを製造いただいているメーカーが、製造の撹拌温度などを調整するなど、独自の製造技術により、高すぎない濃度で防腐効果を付与することに成功したのです。

その結果、現在もAPシリーズは、あとぴナビのアイテムの中で、最もご利用いただいているアイテムとなりました。もちろん、全員の方に合う、ということではありませんが、皮膚のダメージを抱えている方でも、他のアイテムと比較して浸みづらく使いやすい、ということでご利用者が増えていきました。

もちろん、防腐剤が全て良くない、ということではありません。
実際、市販されている化粧品や薬剤のほとんどは、防腐剤を使用していますし、あとぴナビのアイテムの多くも同じです。
ただ、皮膚の常在菌の乱れがアトピー性皮膚炎の原因となっている方の場合には、もしかすると、防腐剤を含まないアイテムでのケアが必要な時期があるのではないでしょうか?

健常な方は、皮膚のバリア機能も落ちておらず、一定の菌叢が「肌を守っている」場合には、仮に防腐剤が含まれた化粧品を使用しても、復元力は高く、大きな問題とはなりません。
しかし、掻き壊しが皮膚に生じていて、さらに皮膚の細菌叢の乱れがアトピー性皮膚炎の原因として関わっている方の場合には(なお、アトピーの原因は、細菌叢の乱れだけではありません)、こうした菌叢に影響を与えにくいアイテムの使用も有効なのかもしれません。

いずれにしても、今後、アトピー性皮膚炎の治療は、これまでの「炎症をいかに抑えるのか」という考え方から、皮膚を自分で守る力をどのように育てるのか、という方向性に向けて変化していくのかもしれません。
こうした研究には、しばらく注目しておきたいと思います。

                 
おまけ★★★★大田のつぶやき

「脱保湿」という考え方があります。
これは、簡単に言えば、皮膚に塗布する一切のケアアイテムは使わず、自分の力でスキンケアが行えるように待つ、という方法です。
汗をかけるなど、自分の力でスキンケアを行える環境が必要になりますが、脱保湿そのものは、防腐剤により影響を受ける細菌叢の観点からは、利点が多い方法なのでしょう。
ただし、皮膚の細菌叢を乱す原因の一つには、「掻き壊し」という問題も関わっていますので、防腐剤を使わないこと=細菌叢を元に戻す、ということではないことは承知しておいた方が良いでしょう。