皮膚の細菌とアトピーの関係(3)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                  
今日も昨日の続きです。
昨日、紹介した記事についてポイントなどを考えてみたいと思います。

記事の大まかな内容を要約すると、アトピー性皮膚炎の方の皮膚の菌叢は、健常な方の菌叢とは異なり、それがアトピー性皮膚炎の原因になっているから、健康な方の菌叢に近づけるための方法を模索する、というものです。
では、この乱れた菌叢とは、遺伝的な先天的要因により決定されるのかというと、そうではないようです。
日本の研究になりますが、アトピー性皮膚炎の人の菌叢と健常な人の菌叢を比較、その後、アトピー性皮膚炎が治癒された方の菌叢と治癒しなかった方の菌叢を調べると、前者は健常な人の菌叢に近い状態になっており、後者は黄色ブドウ球菌などが多い菌叢のままだった、そうです。
さらに、いったんアトピー性皮膚炎が治癒して、健常な菌叢になった方の中で、その後、アトピー性皮膚炎が再発された方は、元の黄色ブドウ球菌を中心とした菌叢へと戻っており、アトピー性皮膚炎が再発していない方は、健常な方と同様の菌叢を維持していたそうです。
その研究は、アトピー性皮膚炎と感染症について調べるものだったため、菌叢の変化に対する細かな追跡調査や研究などは行われていませんでしたが、菌叢の推移をみる限り、遺伝的な先天的要因、というよりも、環境などの因子が関わった後天的な要因が関係していると考えられます。

では、アトピー性皮膚炎の症状である「炎症」「痒み」を引き起こす原因に、皮膚の細菌叢が関わっている、として、なぜ皮膚の細菌叢は健常な状態から変化するのでしょうか?

最も大きな原因として考えられるのは、角質層の乾燥です。
エアコンの普及、室内環境における化学物質の増加、食生活の変化、睡眠が夜型生活へ移行し睡眠不足が増加、化粧品の使用や精神的、肉体的なストレスの増加など、角質層を乾燥させる要因は数多く身の回りに潜んでいます。
角質層が乾燥することで、真皮内に留まっていた痒みを知覚する神経線維が角質層内に伸びてきて、皮膚に対する知覚刺激を痒みとして認識しやすくなり、掻き壊しが生じやすくなります。
また、角質層の水分が不足すると、同時に角質細胞を支える細胞間脂質内の水分も不足状態になり、バリア機能が低下、外部からの異物の侵入を許しやすくなります。
ここに皮膚の異常細菌叢の形成が同時に重なると、体内のアレルギー因子が増加(IgEを増加させる)、連続した慢性的な痒みが生じることに繋がってきます。

健常な方のB細胞を調べると、細胞の表面にIgEが出現していない「sIgE-B細胞」が多いことが分かっています。それに対して、アトピー性皮膚炎の方のB細胞は、Gal3(ガレクチン3)の受容体にIgEを持った「sIgE+B細胞」が多いことが分かっています。
本来、抗原抗体反応により、抗体(IgE)は増加いていきますが、このsIgE+B細胞は、それとは別にIgEを放出して、連鎖的にアレルギー的な体内の要因を増強していくことになります。
この健常な方に多いはずのsIgE-B細胞を+B細胞に変えていくのには、インターロイキン4
が関わっていることが分かっています。
インターロイキン4を増加させる要因は、生活内の環境や生活習慣に関係しています。
睡眠不足、食生活のバランスが悪い、ストレス、運動不足、化学物質など、角質層を乾燥させる要因と被るものが多く、皮膚の細菌叢の乱れを作り出す素因が角質層の乾燥にある場合、その乾燥させる原因の一部は、体内にアレルギー反応を増強させる原因と重なることで、より症状を悪化させやすい状況につながっているとも考えられるでしょう。

では、記事に書かれていた「健常なヒトの菌叢をアトピー性皮膚炎の患者に移植することは可能なのでしょうか?
明日は、その部分も考えてみたいと思います。

                       
おまけ★★★★北のつぶやき

今日の内容で出てきたsIgE+B細胞についても、あとぴナビで取材して特集を掲載しています。少し難しい話になりますが、興味のある方はご覧ください。

●主治医も知らない!?「IgE」とアトピーの関係
http://www.atopinavi.com/navicontent/list?c1=health&c2=1&c3=58