アトピー性皮膚炎の新薬の効果とは??

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

                
今日は、4月に新発売されたアトピー性皮膚炎の新薬について紹介しましょう。
       
          
●「アトピー性皮膚炎」の新薬発売…炎症反応、抗体が防ぐ
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180506-00010000-yomidr-sctch
        
かゆみのある湿疹が繰り返しできるアレルギー疾患「アトピー性皮膚炎」の新しい治療薬が4月23日に発売された。症状の重い患者に効果が期待される。治験(臨床試験)でこの薬を使った長野県佐久市の自営業、菊田かをるさん(45)は、かゆみが止まるなど症状が大きく改善した。(西原和紀)
        
▼3つの対処法が基本
厚生労働省の調査によると、アトピー性皮膚炎の患者数は2014年で45万6000人に上る。子どもだけでなく、大人にも多い。
治療は〈1〉薬物療法〈2〉スキンケア〈3〉悪化させる要因の除去――が基本。炎症を抑えるステロイドやタクロリムスの塗り薬などを使う。入浴やシャワーで汗や汚れを洗い流し、すぐに保湿剤を塗る。ダニやほこり、カビなどのアレルギー物質を取り除くことも重要だ。
         
▼「生活の質に影響」86%、「精神面に影響」は79%
ただ、完治は難しく、かゆみのつらさなどに苦しむ人は多い。
九州大学准教授の中原剛士さんらが17年8月に行った意識調査では、アトピーによって、生活の質に影響がある人は全体の86%、精神面に影響がある人は79%を占めた。
発売された仏製薬大手サノフィの「デュピクセント」(一般名・デュピルマブ)は、アトピーでは初のバイオ医薬品。有効成分には、化学合成したものではなく、抗体というたんぱく質を使っている。15歳以上で症状が重く、ステロイドなどで治療効果が不十分な人が主な対象だ。
アトピーでは、皮膚から体内に侵入したアレルギー物質に過剰に反応して、「Th2細胞」という免疫細胞が増える。新薬は、Th2細胞が大量に放出するたんぱく質・インターロイキン4(IL―4)やインターロイキン13(IL―13)が皮膚細胞などの受容体と結合し、炎症反応を引き起こすことに注目。この結合を、新薬が妨げることで炎症を抑える。
菊田さんは子どもの頃から、アトピーの症状に苦しめられてきた。生後半年ほどで発症し、かゆみで血が出るほどかきむしり、肌はどんどん赤黒くなっていった。大人になってからは症状が悪化するたびに入院を繰り返した。しかし、15年から約3年間、薬を使い続け、かゆみを抑えられたという。菊田さんは「副作用もなく、周りの人からは肌が白くきれいになったと驚かれた」と効果を実感する。
        
▼ぜんそくを合併する患者は要注意
新薬は副作用として、アレルギー性結膜炎や頭痛などの症状が出る可能性はあるが、症状の重いものは起きにくいという。注意が必要なのは、ぜんそくを合併する患者だ。新薬によってぜんそくも改善するが、それによって気管支拡張薬の使用などを中断すると急激にぜんそくの症状が悪化する恐れがある。
日本医科大学病院皮膚科部長の佐伯秀久さんは「ぜんそくの治療はきちんと続ける必要がある」と話す。
          
▼新薬、2週間ごとに注射
新薬は、初回600ミリ・グラム、2回目以降300ミリ・グラムを2週間ごとに注射する。薬価は2回目以降の量が1回8万1640円。保険で窓口の支払金額は1~3割で済むが、継続すると経済的な負担は重い。
NTT東日本関東病院皮膚科部長の五十嵐敦之さんは「治療の選択肢が少ない中、患者に朗報だ。症状がよくなったら、新薬は中断できる可能性もある」と話している。
          
         
まだ、発売後間もないことから、その評価については、しばらく待つ必要があるでしょう。
新薬のメリットとデメリットを考えてみると、

                               

●メリット
・ステロイド剤などの免疫抑制タイプの薬剤と違い、炎症反応を生じさせる抗体(免疫)の抑制ではなく、炎症反応を生じさせるサイトカインの抑制を行う
・アレルギー的な要因を増強する恐れがあるインターロイキン4の抑制を行える

                       
●デメリット
・Th2をターゲットとしているが、Th2が関与しないアトピー性皮膚炎の痒みに対応できるのかが不明
・最近、増加している皮膚のバリア機能低下から生じているアトピー性皮膚炎について、「バリア機能の低下」という原因の部分の解消には至りつらい(掻き壊しから生じた二次的なバリア機能の低下には役立つ)
・インターロイキン4は、生活環境にも大きく影響を受けるため、元々、インターロイキン4を産生しやすい生活環境下(夜型の生活、外食が多い、交通の量が多い環境、工場などの排気の影響を受けやすい環境、運動不足、ステロイド剤などの薬剤を併用している、など)にある場合、抑えきれるのかが不明

                           
などがあります。
おそらくは、一部のアトピー性皮膚炎に対して、有効性を示しても、広くアトピー性皮膚炎全体をカバーすることは難しく、ステロイド剤やプロトピック軟膏を併用した治療が基本となるのではないでしょうか?
有効性を示しやすいのは、「生活環境内からのインターロイキン4の産生が少ない(田舎に住んでいる)」、「汗をかける(皮膚のバリア機能を維持する力がある)」、「睡眠を量、質ともに確保できている」といった条件を有する場合のように思われます。
長期連用、あるいはステロイド剤との長期併用による副作用の出現率も、使用する患者が増加してきて、判明する部分もありますので、しばらくは状況を見守りたいと思います。

                     
おまけ★★★★博士のつぶやき

こうした新薬は、アトピー性皮膚炎に対する治験の範囲と有効性については、患者側に「優良誤認」させている場合もあるので注意が必要じゃろう。
もちろん、薬を開発したメーカーは、そのあたりを覆い隠すつもりはないわけじゃが、治療の現場においては、「処方する医師に都合が良い情報」が優先されることも多い。
過去のプロトピック軟膏が新発売された際も、いきなり乳幼児へ特に説明なく処方した医師も多かったようじゃからの。
なお、海外の情報を集めてみたのじゃが、少なくともこの薬剤が開発されたフランスにおいて、ステロイド剤に代わる治療のポジションを占めたことはないようじゃから、慎重に効果を見極めることも大切じゃろうの。