2018年4月号の記事より(4)

北です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                       
今日は、ステロイド剤が皮膚に蓄積する研究について見ていきましょう。
          
         
●ステロイド治療の「メリットゾーン」と「デメリットゾーン」
今、あなたはどっちに立っている?
(2018年4・5月号特集より)
          
▼なぜ、デメリットゾーンにいるときにステロイド剤を塗布するのが良くないのか?
          
3.ステロイド剤が皮膚に蓄積する
         
ステロイド剤は塗布後、一定期間、皮膚に残留することが確認されています。
1972年に発表された論文(※4)では、ステロイドホルモン軟膏を健常人の皮膚に塗布後、16時間密封したところ、塗布した皮膚には2週間後でもステロイド剤の血管収縮作用が認められました。
       
※4 「Stratum Comeum Reservoir For Drugs.Vickers CF. Adv Biol Skin.1972;12:177-189.」より
         
一部の医師は、ステロイド剤の外用剤を塗布しても、残留することはないから、一定期間使用後に、期間をおいてリバウンド症状が出ても、それはアトピー性皮膚炎の悪化であって、ステロイド剤の影響ではない、と言っていました。
しかし、ステロイド剤はコレステロールの骨格を持つため、全身の脂肪層に蓄積することは、他の研究者も指摘をしており、実際、上記のような残留したことを示す論文もあります。
今回の実験においては、わずか1日の塗布(16時間密封)であっても、最低でも2週間はその影響(残留した影響)が確認された、ということです。
つまり、メリットゾーンにいると思われている場合でも、残留したステロイド剤の影響を受けている可能性があることを示しており、デメリットゾーンにいるような長期連用者においては、使用中止後でも、かなりの期間、リバウンドなどの影響が心配されます。
実際、ステロイド剤を15年間塗布後に、塗布を10年間全く中止した患者が、その後、リバウンドを発症した例も報告されています。
残留したステロイド剤の作用機序は明らかにされていませんが、ステロイド剤は、同じ骨格を持つコレステロールと結合、脂肪層などに蓄積し、酸化コレステロールに変性することで起炎因子となり、全身的に炎症を生じてリバウンド症状につながっていることを指摘する研究者もいます。
ステロイド剤の長期連用による影響は、短期間で解消しない可能性があることに注意した方が良いでしょう。
             
             
昔、脱ステを行った際のリバウンドを「毒が出ている」と表現していた医師がいました。
その当時は、ステロイド剤の治療を推進する医師は「毒が出るはずがない」と否定的でしたが、今、考えてみると、蓄積することを考えると、あながち間違ってはいなかったのかもしれません。
実際、他の研究では、脂肪層に蓄積したステロイドが酸化することで起炎物質となること、脂肪層に蓄積されたステロイド剤は(コレステロールは)、代謝により排泄されることが確認されているようです。

明日は、ステロイド剤がアトピー性皮膚炎に対して最も大きなリスクを与えていると考えられる部分について見てみたいと思います。

                         
おまけ★★★★東のつぶやき

ステロイド剤は、コレステロール基を持つため、脂肪層と親和性が高いことが分かっています。全例が関係するわけではありませんが、「やっかいなアトピー性皮膚炎の症状」に限って、こうした影響を受けていることが多いのも確かですので注意しましょう。