2018年4月号の記事より(2)

北です。

 

 

 

 

 

 

 

                         
今日は、昨日の続きです。
          
        
●ステロイド治療の「メリットゾーン」と「デメリットゾーン」
今、あなたはどっちに立っている?
(2018年4・5月号特集より)
        
▼なぜ、デメリットゾーンにいるときにステロイド剤を塗布するのが良くないのか?
       
1.ステロイド剤で痒みの感受性(強さ・頻度)が高まる
          
順天堂大学から発表された論文など(※1、2)では、痒みを知覚する神経線維は、角質層内の乾燥などにより、本来の真皮内から角質層内に伸びてくることで、皮膚への外部からの刺激などを痒みとして知覚しやすくなることが述べられています。
        
※1 「Topical application of emollients prevents dry skin-inducible intraepidermal nerve growth in acetone-treated mice.J Dermatol Sci. 2011 May;62(2):141. 」より
        
※2 「アトピー性皮膚炎と皮膚感覚受容器 顕微鏡 Vol 46,NO.4(2011)」より
      
ステロイド剤の副作用には、皮膚の刺激感が強くなる、といったものがありますが、これはこうした痒みを知覚する神経線維の影響なども考えられます。
また、感染症などによるバリア機能の低下は、角質層の水分蒸散量を高めることになり、角質層の乾燥から同様の状況を生むことがあります。こうした痒みを知覚する神経線維を刺激することによる痒みの場合、ステロイド剤のような免疫抑制作用による抗炎症効果は、痒みを抑える作用機序が異なるため、十分に得ることができません。もちろん、痒みの神経線維を刺激して生じた痒みにより掻き壊しが生じれば、炎症も同時に生じますので、そうした二次的な炎症から生じる痒みに対しては効果を現わしますが、元の刺激を受けた神経線維から伝わる痒みを全て抑えることはできません。
ステロイド剤を使っていても、なかなか痒みが治まらないケースの中には、機能的異常としてこうした角質層内の神経線維が関わっていることがあります。
            
             
痒みの神経線維の問題がやっかいなのは、この部分は、「痒みを知覚するのが脳である」ということです。
皮膚が「痒い」と感じて掻く、という行為につながるのは、感じる部分も掻く部分も、全て脳が指令を出して行っています。
ステロイド剤などの抗炎症剤は、炎症を「抑える」働きは持っていますが、こうした痒みを知覚する伝達部位の制御まで行ってくれるわけではありません。
もちろん、記事に書かれているように、一度掻き壊してしまえば、そこには炎症が発生しますので、そうした二次的な炎症から生じる痒みは効果を示しますが、元の痒みにアプローチできない分、「再発」しやすい、ということも言えます。

明日は、ステロイド剤の連用により「効かなくなる」という現象について見てみましょう。

                       
おまけ★★★★南のつぶやき

痒みは、アトピー性皮膚炎に限った症状ではありません。他の疾患においては、こうした神経線維との問題について、研究が進んでいる分野も多いようです。ぜひ、他の研究とも連携をとって解明して欲しいところですね。