プロアクティブ療法の真の問題点とは?(2)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

                     
今日は、昨日の続きです。

九州大学がプロアクティブ療法について説明しているホームページを見ると「プロアクティブ治療中にも再発はあります」と書かれていますが、全てではないにしろ、その再発した患者の状況を細かく調べれば、実は、症状が再燃しやすい状態でも寛解状態と判断していたケースが見えてくるでしょう。
具体的にいえば、皮膚の細菌叢を調べてみれば、続けていたステロイド剤の治療がプロアクティブ療法だったのか、リアクティブ療法だったのかが分かるはずです。
もし、黄色ブドウ球菌やコリネバクテリウムボービス菌などの異常な細菌叢が見られていた場合には、体内のIgEはデルタ毒素などで増強されやすい環境が続いていたわけで、「炎症予備軍が待機」していた状況と言えます。
この何かをきっかけに炎症が再燃しやすい状況にあった場合、これを寛解状況というのは少々、無理があるように思います。骨折で言えば、折れた骨はくっついたが、動くとまだ痛みはある、その痛みは鎮痛剤で抑えている、といった状況です。ちょっとしたバランスの崩れから、折れた部位に体重をかけたりすれば、再び、悪化する恐れもあります。風邪で言えば、解熱鎮痛剤を飲んでいれば、熱は下がった「楽になった」状況です。楽になったからといって、仕事に復帰したり、ハードな運動などを行えば、解熱鎮痛剤の効果が切れれば、再び高熱が出る恐れがあるでしょう。こうした状態は寛解状態ではなく「治りかけ」の状況に過ぎません。
治りかけ=再発しやすい状況、と言えますから、そうした状況で行われる治療法は、リアクティブ療法の側面が強いでしょう。
ここに、ステロイド剤を使用する際の「デメリットゾーン」が関係してくると、今度は、プロアクティブ療法として使い続けるステロイド剤が、アトピー性皮膚炎を悪化させる、あるいは再発の引き金となる恐れがある、ということです。
おそらく、こうしたアトピー性皮膚炎の悪化や再発に対して、医師は、単にアトピー性皮膚炎の炎症が悪化しただけであって、ステロイド剤は関係ない、と説明するでしょう。しかし、デメリットゾーンにおけるアトピー性皮膚炎の悪化を生む「原因」を考えれば、そのアトピー性皮膚炎の悪化にステロイド剤が関係していた可能性は否定できないはずです。
ましてや、本当にアトピー性皮膚炎が寛解した状態にある人に、ステロイド剤の使用を続けることは、健常な人に塗布した場合であっても、それが蓄積した影響がエビデンス(※1)により明らかになっていますから、免疫抑制効果による細菌叢の乱れを招いて、「新たなアトピー性皮膚炎発症の引き金」になる恐れも考えられます。
※1「Stratum Comeum Reservoir For Drugs. Vickers CF. Adv Biol Skin. 1972;12:177-189.」より

今後、プロアクティブ療法の問題点が指摘されるとするなら、おそらく、年単位の長期間たった後のことになるでしょう。なぜなら、短期でプロアクティブ療法を終えられた方は、当たり前ですがそうした問題点を抱えることはないからです。実際、ここ数年の間で、プロアクティブ療法を続けてきた方からの症状悪化のご相談も増えてきています。その多くは、通常のステロイド剤治療、つまり「リアクティブ療法」と同じ状態を示しています(リバウンド症状など)。長期にわたりプロアクティブ療法を「続けてよい根拠」は、実は、まだ確立したものではないこと、また医師が治療を行う際に、「プロアクティブ療法」と「リアクティブ療法」の明確な境界線も定まっていないこと、そして「リアクティブ療法」であった場合には、リバウンド症状やステロイド剤によるアトピー性皮膚炎の悪化など、これまでステロイド剤の長期連用により問題となったリスクから逃れられているわけではないことを忘れてはならないでしょう。

              
おまけ★★★★博士のつぶやき

プロアクティブ療法は、積極的な予防法のように見えて、実は、消極的な予防法の側面が強いと言えるじゃろう。なぜなら、本当に「アトピー性皮膚炎が治った」のなら、むろん、治療の必要性は乏しく、もしかすると再燃する恐れがあるのではないか、という仮定で用いられることが多いからじゃ。
プロアクティブ療法とは、リアクティブ療法の一部として行われておる実態は忘れない方が良いかもしれんの。