プロアクティブ療法の真の問題点とは?(1)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                      
最近、皮膚科医の間で主流となりつつある「予防法」にプロアクティブ療法があります。
あとぴナビの会員の方から、「主治医からプロアクティブ療法を勧められましたが、せっかく脱ステしたのに、行っても大丈夫なのでしょうか?医師は、ステロイド剤を長期に使用しても安全だと言いますが・・・昔、アトピー性皮膚炎でステロイド剤を使ったときと同じことを言っているように思えて心配です」という問合せをいただきました。似たようなお問合せをいただくケースは増えてきています。
以前も、ブログでプロアクティブ療法について述べましたが、もう一度、医師側の視点ではなく患者側の視点で、見ていく必要がある部分について考えたいと思います。

アトピー性皮膚炎の症状が出ているときに治療として用いられる外用療法は「リアクティブ療法」といいます。それに対して、症状が出る前から予防的に外用療法を行う治療法を「プロアクティブ療法」と言います。
簡単に言えば、現在進行形のステロイド剤治療は「リアクティブ療法」、寛解状態(症状が落ち着いた状態)でもステロイド剤の治療法を続けることを「プロアクティブ療法」と呼んでいるわけです。
確かに、痒みによる「掻き壊し」は、皮膚のバリア機能を低下させる大きな要因です。そして皮膚のバリア機能が低下すれば、細菌叢を乱し、アレルギー的な要因を増加(IgE抗体の増加)、アトピー性皮膚炎を悪化させる要因につながりますので、この「掻き壊し」を事前に防ぐために、痒みにつながる炎症を事前に抑える、という方法自体は理にかなっている部分はあるかもしれません。
ただし、そこにはある前提条件があります。
その前提条件とは、「ステロイド剤は長期連用してもマイナスの影響を与えない」というものです。
果たして、ステロイド剤は、医師がいうほど、長期連用によるマイナスの作用(副作用ではなく、アトピー性皮膚炎に対して悪化要因となりうるという意味で)を受けずに済むのでしょうか?
ここに大きな落とし穴が潜んでいるといっても良いでしょう。

基本的に、初発のアトピー性皮膚炎は「軽症」であることがほとんどです。アトピー性皮膚炎患者(罹患した経験者を含む)は、日本では800万人程度と推計されていて、その中で、反復継続した治療を必要とする中程度以上の患者は1割程度と考えられているようです。
つまり、そのほとんどは、ステロイド剤の治療で「完治」した状態まで持っていけます。ステロイド剤のメリットを生かした治療を受けることが可能な「メリットゾーン」内で済んでいる、と言えるでしょう。
問題は、中程度以上の1割の患者の方です。すでにメリットゾーンを越え、ステロイド剤によるデメリットを受ける可能性がある状態、「デメリットゾーン」の中に入ってしまっていることが多く、アトピー性皮膚炎の原因も悪化要因も、アレルギーではなく皮膚の機能的な部分が主に関わっている状況です。
したがって、皮膚のバリア機能を「落とす」要因はいずれもアトピー性皮膚炎の症状の悪化につながりやすいと言えるでしょう。
こうした方にプロアクティブ療法を行うことは、確かに、「掻き壊し」というバリア機能を落とす要因は防ぐことができます。ただ、実際には、皮膚機能と免疫機能の状況は、プロアクティブ療法を行っているつもりが、リアクティブ療法の延長線上に過ぎなかった、というケースが多いのも事実です。

では、プロアクティブ療法の真の問題点はどこにあるのでしょうか?
続きは明日にしたいと思います。

                   
おまけ★★★★大田のつぶやき

ステロイド剤治療には、治療を受けた場合にメリットの方がデメリットよりも大きい「メリットゾーン」と、デメリットの方が大きくなる「デメリットゾーン」に分かれます。
その分岐点の一つは、ステロイド剤が健全な細菌叢の形成を阻害することで生じる、アトピー性皮膚炎の悪化にあるわけですが、この状態を、リバウンド症状と捉えると、問題の本質がつかみきれないことがあるので注意が必要でしょう。