皮膚の形成に亜鉛が重要?(2)

北です。

 

 

 

 

 

 

 

                
今日は昨日の続きです。
             
             
●皮膚や毛の形成、腸の健康維持、免疫応答、全身成長 etc.
 生命にとって亜鉛がいかに重要かを知る
(あとぴナビ2018年2・3月号掲載記事)
            
▼亜鉛シグナルが細胞・臓器・身体全体を制御する
             
1990年代になって、亜鉛研究は急展開していきます。亜鉛には情報を伝える働きがあり、体内を移動しながら様々な臓器を制御していることが、分子レベルで明らかにされ始めたのです。
この働きを「亜鉛シグナル」といいますが、亜鉛シグナルという新たな役者が登場したことで、亜鉛による情報伝達とその仕組みの解明が続々と進んでいます。今、亜鉛研究は非常にホットな分野として注目を集め始めているのです。
ではさっそく、亜鉛シグナルについて説明していきましょう。亜鉛シグナルには、専門の運び屋集団が存在します。その集団を「亜鉛トランスポーターファミリー」といいますが、輸送方向の違いにより2つの集団に分かれています。輸送方向は「細胞質に亜鉛を入れる」「細胞質から亜鉛を出す」の2通りです。
             
ZIPファミリーとZnTファミリーには、亜鉛を輸送する方向は同じですが、それぞれの形の違いによってZIP1, ZIP2, ZIP3, ・・・のように数字でID番号のように名前がつけられています。
それぞれの亜鉛トランスポーターは、体内のどの部位に集まるか、どの分子に亜鉛を与えるのかによって、健康維持における役割も異なります(後述)。
               
▼亜鉛トランスポーターは健康維持に必要な制御装置
         
試しに、先ほどお話した「乳児の亜鉛欠乏」の2つの原因と亜鉛トランスポーターの関係について紹介しみましょう。
          
・原因1 乳児の小腸に原因があり、亜鉛を吸収できない。
          
乳児が飲んだ母乳は、腸で消化吸収されます。腸で吸収された亜鉛は、乳児の体全体の細胞へと運ばれますが、ここで亜鉛を細胞質に入れる亜鉛トランスポーターは、ZIP4であることがわかっています。したがってZIP4に異常があると、乳児は亜鉛を吸収することができずに、腸性肢端皮膚炎などの亜鉛欠乏症となります。
          
・原因2 乳児は亜鉛を摂取できるが、母乳に亜鉛が少ない。
          
母乳は乳腺でつくられますが、乳腺から亜鉛を母乳に運ぶ(乳腺の細胞から亜鉛を出す)亜鉛トランスポーターは、ZnT2やZnT4であることがわかっています。これらの亜鉛トランスポーターに異常があると母乳に亜鉛が送られにくくなり、低亜鉛母乳となります。
              
            
亜鉛トランスポーターは亜鉛を運びますが、単に運んでいるだけではありません。亜鉛の行き先や運ぶタイミングまで決めて、亜鉛シグナルの司令塔となっています。
亜鉛は、いわば細胞にとって"燃料"のようなものです。様々な細胞の増殖や分化に必要不可欠ですが、"燃料"だけでは細胞は正しく機能しません。車にガソリンを入れても、エンジン、クラッチ、トランスミッション、スピードリミッター、ブレーキなどのパーツがうまく連動しなければ走らないのと同じです。
亜鉛トランスポーターが正確に機能して、亜鉛シグナルが正しく連携することによって、亜鉛という燃料は人体を駆け巡り正常に機能します。亜鉛トランスポーターは、いわば乗り物や音響機械のリミッター(制御装置)のように、細胞内や細胞間の情報伝達に奔走する亜鉛を制御しています。
       
            
今日の記事の部分の「肝」は、「亜鉛トランスポーター」の部分でしょう。
亜鉛は細胞に非常に重要な役割を示しますが、その役割を細胞に示すためには、「亜鉛が運搬されて、細胞内に出し入れされなくてはならない」という前提があります。
当たり前の話のようですが、この亜鉛の「運搬」には、細胞質に亜鉛を入れる「ZIP」と細胞質から亜鉛を出す「ZnT」の二つが大きく関わっていることが、最近の研究で分かったことです。
もう一つ大切になってくるのが「亜鉛シグナル」です。
つまり、亜鉛は細胞に対して「特定の情報を伝える役割」を持っている、ということです。
この亜鉛シグナルを、正しく伝達しないと、細胞は「正しい働きを示すことができない」ということもあり得ます。
そして、対象となる細胞には「免疫細胞」も含まれるため、この亜鉛の伝達の仕組みが、免疫機能にも深く関わることになる、ということです。
        
          
明日は、皮膚障害などとの関係について見ていきましょう。

                     
おまけ★★★★西のつぶやき

亜鉛に対するこうした記事を読むと、「亜鉛がアトピー性皮膚炎に良い」と考え、亜鉛のサプリメントの販促に利用しようとすることがある。
だが、今回の記事に部分に書かれているように、もちろん亜鉛が重要であることは確かだが、その亜鉛を活かすためには「亜鉛トランスポーター」がより大切になってくる、ということだ。
こうした「枝葉」の部分もしっかり見極めるようにして欲しいと思う。