夜の傷は治りにくい??

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                    
アトピー性皮膚炎の方で、寝ている間に掻き壊してひどくしてしまった、という経験をお持ちの方は多いと思います。
今日は、興味深い記事を見つけたので紹介しましょう。
          
          
●なぜ「夜に爪」を切ってはいけないのか
https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20171226-00079745/
           
すっかり年末モードで仕事納めが待ち遠しい感じだが、年末年始は忘年会や新年会、大晦日の年越しなどがあり、生活リズムを崩しがちだ。ところで、今年をちょっと振り返れば、ノーベル生理・医学賞はサーカディアン・リズム(概日リズム、体内時計)のメカニズムとその遺伝子を発見した研究者に与えられた。
サーカディアン・リズムについてここで詳しく説明しないが、簡単に言えば人間などの生物には太陽が昇って朝になり日が沈んで夜になる1日のリズムに合わせた身体の反応がある。
         
▼SNSでサーカディアン・リズムがわかる
        
例えば、皆さん大好きなSNSにもサーカディアン・リズムが影響している。英国のブリストル大学の研究者が調べたところ、Twitterへのポジティブなつぶやきとネガティブなつぶやきがサーカディアン・リズムと関係していることがわかったと言う(※1)。
この研究では、英国におけるTwitterにつぶやかれた言葉を4年間、分析し、ポジティブな感情(喜びや笑い、活力を含む)と怒りや悲しみ、疲労に関連する言葉を分けて拾い出し、季節、平日と週末、1日などの周期性を比べてみた。人間の活動時間によってつぶやき数が変動するのは当然だが、平日と終末で感情変化に大きな違いがあり、悲しみの感情は平日の朝6時が最小だが8時になると最大になる。
これが週末になると、悲しみは午前9時に最小になった。また、怒りの感情は2つの谷があり、平日の午前7時と10時に最小となり、深夜の2時に最大になった。
一方、ポジティブな感情は、午前5時に最小で9時まで増えていく。平日の場合、こうした1日のパターンは季節には関係しなかったが、週末の感情には季節との関連が示唆されたようだ。仕事をする平日は日の出などの変化より、時刻によって感情が影響を受け、週末になると本来のサーカディアン・リズムを取り戻すのだろうか。
サーカディアン・リズムは太陽光線に強く関係していることがわかっているが、それを感知する身体のセンサーはまず目だ。目が太陽の光を感じ、それが脳へ伝えられて1日のリズムがセットされる。また、皮膚も太陽光線を感じるセンサーだろう。
皮膚はサーカディアン・リズムのセンサーであると同時に、サーカディアン・リズムが皮膚の再生や老化、がん、免疫などに影響を与えていることも次第にわかってきた。人間の皮膚は複雑な層状になっていて、それぞれのレイヤーでサーカディアン・リズムと関係した働きを示す。
環境変化などのストレスが皮膚の毛根などから伝わると、サーカディアン・リズムがそれを調整する。例えば、皮膚を介してサーカディアン・リズムが身体を正常な状態に戻したり、幹細胞の働きを活発にしたりするようだ。皮膚には多種多様な微生物が共生し、身体の免疫系とバランスを取りながら暮らしているが、彼らとの関係にもサーカディアン・リズムが大きな役割を果たしている。
また、サーカディアン・リズムは感染にかかりやすい時間帯に免疫応答を活発化させ、そうでないときに抑えるような働きもしているようだ。実際、皮膚の免疫系遺伝子はサーカディアン・リズムと同調することがわかっている。そのほか、皮膚のメラニンやメラノーマなどの皮膚がんにも関係しているらしい(※2)。
         
▼夜の火傷は6割も治りが遅い
       
昼夜逆転するような生活でサーカディアン・リズムが崩れると、免疫系が変調をきたして感染症にかかりやすくなったり、傷が治りにくくなったりするようだ。
例えば、サーカディアン・リズムを乱して不整脈を起こさせたハムスターを使った米国シカゴ大学などの研究者による実験では、サーカディアン・リズムを戻すと傷の治りが早くなった。一方、サーカディアン・リズムには関係なく作られた不整脈ハムスターのサーカディアン・リズムを乱すと傷の治りが遅くなったと言う(※3)。
また、昼夜の違いによっても傷の治り方に違いが出ることがわかっている。英国のMRC分子生物学研究所などの研究者の研究(※4)では、活動が活発になる時間帯と活動が不活発になる時間帯、例えば昼と夜とのように分けてマウスに傷を付けてみたところ夜の傷のほうが治癒が遅かった。
また火傷をした人間の患者のデータを分析したところ、夜間の患者は昼間の患者よりも治り方が60%遅かったようだ。これは、細胞を修復するアクチンというタンパク質の産生にサーカディアン・リズムが関係し、皮膚の修復能力がサーカディアン・リズムにコントロールされていることを意味する。傷や火傷の治りが遅い場合、サーカディアン・リズムの影響があるのかもしれず、研究者は手術の時間帯など臨床にも影響を与える可能性もあると言う。
サーカディアン・リズムは皮膚のみならず、神経や内臓の働き、代謝サイクルなど身体の様々な機能に大きな影響を与えている。だが、サーカディアン・リズムの研究は始まったばかりでまだわからないことも多い。
よく「夜に爪を切るな」などと言うが、昔の夜間照明は暗く、深爪したり皮膚を切ってしまったりすることも多かったのだろう。それを戒めるための伝承だが、もしかしたら昔の人は夜の傷が治りにくいことを知っていたのかもしれない。
          
         
記事のポイントは二つです。
一つ目は、「昼夜逆転するような生活でサーカディアン・リズムが崩れると、免疫系が変調をきたして感染症にかかりやすくなったり、傷が治りにくくなったりするようだ。」という部分です。
痒みのため、夜、眠れずに昼夜逆転して、そのまま長い間、肌の調子を落としたまま、というケースをときどき見かけますが、その理由の一つは体内時計の乱れから、免疫系のバランスが崩れることが関係していることが考えられます。
二つ目は、夜の傷の方が昼の傷よりも治癒が遅かった、という部分です。掻き傷は、バリア機能の低下にもつながっていますが、掻き傷の治りが遅いことで、バリア機能がアップせず、それが次の痒みに繋がって掻き壊しが増える、という連鎖が夜は起きやすいのかもしれません。
夜の傷が治りにくいことは覚えておくようにしましょう。

                      
おまけ★★★★博士のつぶやき

にわとりが先か卵が先か、という問題があるが、アトピー性皮膚炎の方の場合も「昼夜逆転が先か、痒くて眠れないのが先か」という問題を抱えることがある。
昼夜逆転が先の場合には、そうなった原因(眠るのが遅くなった原因)を自ら解消することが大切じゃ。後者の痒くて眠れない、という場合には、アトピー性皮膚炎への対策を全般的に根気よく続けていくことが大切になる。
いずれにしても、悪循環の元の一つは「睡眠」の部分が関わっておることに注意して欲しいと思うの。