アトピーの脱保湿を考える(4)

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                    
今日は、脱保湿のもう一つの問題点を見ていきましょう。

                    
・自分の力でスキンケアを行う問題

ヒトが行う「スキンケア」の役割の中心は「バリア機能」を維持させることにあります。
その「スキンケア」の中身は、いくつもの種類があるのですが、最も中心となる役割が「皮脂膜」です。

汗腺から汗が出る、そして汗腺の中にある皮脂腺から汗が出るときに皮脂が分泌される、その汗と皮脂が乳化することで作られるのが「皮脂膜」です。
この皮脂膜は、皮膚を弱酸性に保つことでウィルスや細菌などの侵入を防ぎ、また同時に角質層からの不要な水分蒸散を抑える働きもあります。
そうすることで、角質層には水分が十分に保たれ、表皮で形成されている細菌叢(フローラ)は、表皮ブドウ球菌など有益な菌で占められることになるわけです。

前者の角質層の水分が保たれなければ、バリア機能の低下だけでなく、昨日述べた痒みの神経線維の問題に繋がります。
後者の細菌叢が健全な状態に保たれなければ、黄色ブドウ球菌のデルタ毒素の問題など、アトピー性皮膚炎発症、そして症状悪化の要因に直接繋がってきます。

スキンケアを自分の力でしっかり行えているかどうかは、バリア機能が健全に保たれているか、に大きく関わり、バリア機能の問題は、アトピー性皮膚炎の発症と症状悪化に関わっているわけです。
このように「皮脂膜」を上手く形成できるかは、「脱保湿」にとって、最も大きな「キーポイント」と言えるでしょう。

脱保湿を行っている方は、角質層が乾燥しようとも、掻き壊してバリア機能が低下しようとも、この「皮脂膜」の再生を「ひたすら待つ」状態にあると言えます。
そして、この「皮脂膜」の形成が、脱保湿を辛く、より困難な方法にしているともいえます。

なぜなら、子どものアトピー性皮膚炎のようにアレルギーが原因となった生じたアトピー性皮膚炎は別にして、成人型のアトピー性皮膚炎に多く見られる「皮膚機能が原因」となったアトピー性皮膚炎は、皮脂膜が上手に作られていなかったことを「起点」にしていることが多いからです。
アトピー性皮膚炎の方にお聞きすると、「汗をかかない」「汗をかきづらい」という人は多くいます。また、「汗をかくと痒いので汗をかかないように工夫している」という人も多くいます。
しかし、「皮脂膜」は、汗をかかない限り、バリア機能を適切に維持できるだけ形成されることはありません。

「汗」は、アトピー性皮膚炎にとって、マラセチア菌などの問題による症状悪化につながりやすい要因なのですが、同時に、アトピー性皮膚炎を根本から解決するために必要な「要素」でもあるのです。
過去、あとぴナビでは、脱保湿を行っている方のご相談は多数受けていますが、成功した方は1~2割程度です。ほとんどの方は、1年以上続けても成果が見られず、強い痒みに耐えられなくなり、脱保湿から他の治療へと変わっていきます。

そして、脱保湿に「成功」した方の共通点を見てみると、汗をかきやすい方、でした。
自分の力で行うスキンケア=皮脂膜=汗が必要、なのですから、当然と言えば当然です。
汗をかくための「汗腺」とは、生後間もなく決定して、その後増減することはない、とされています。
つまり、汗をかきやすいか、かきづらいかは、生後間もない環境に左右されている、ということです。
最近の子どもたちは、汗腺の数が少ない子が多いそうですが、その理由は、空調が効いた生活環境内で過ごすようになったことで、「汗をかく」必要性が薄くなってきたことが考えられているようです。

このように、脱保湿には「痒みの神経線維の問題」と「自分の力でスキンケアを行う問題」の二つをクリアする必要があり、共通するための条件を整えることは、特に汗をかきづらい状況の方にとっては困難であることが、脱保湿で成功しないもっとも大きな要因なのかもしれません。

明日は、脱保湿の最後のまとめです。

                       
おまけ★★★★南のつぶやき

昔のアトピー性皮膚炎と今のアトピー性皮膚炎では、原因や症状の経過なども変わってきていることが分かっています。
異なる原因の以前のアトピー性皮膚炎の治療法が、現在のアトピー性皮膚炎の治療としてマッチングしないことがあるのは、こうしたことも関わっているのでしょう。
「何を治療するのか」は、しっかり考えなければならないように思います。