亜鉛の輸送体と表皮の研究について

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 

                       
今日は、徳島文理大学などが発表した毛包と表皮の形成における亜鉛の輸送体の役割についての研究論文について紹介したいと思います。
       
       
●毛包と表皮の形成における亜鉛の役割を解明
http://p.bunri-u.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2017/10/decde7641de6b7db4dab2547053846ab.pdf
      
▼本研究成果のポイント
・亜鉛の輸送体「ZIP10」は毛包と表皮の形成に必須
・「ZIP10」は上皮性組織を造る細胞に重要
・毛や皮膚の形作りにおける亜鉛の新たな役割解明に貢献
        
▼要旨
徳島文理大学(学長 桐野豊)、昭和大学(学長
小出良平)、理化学研究所(理事長 松本紘)
の研究グループは、生体内の亜鉛が皮膚の毛包と表皮の形成に重要であることを、マウスと培養細胞を用いた研究から明らかにしました。これは、深田俊幸(徳島文理大学薬学部教授・昭和大学歯学部兼任講師・理化学研究所客員研究員)、美島健二(昭和大学歯学部教授)を中心とする共同研究グループ[1]による研究成果です。
亜鉛は、生命活動に必要な微量元素の1 つであり、生体内における亜鉛は、皮膚・骨・筋肉に多く存在しています。何らかの原因によって生体内の亜鉛量が減少すると、皮膚炎や骨密度の低下などを発症する「亜鉛欠乏症」となります。特に、皮膚表皮の脆弱化や脱毛は亜鉛の欠乏によって現れやすい症状として知られており、これらの組織の形成や維持に亜鉛が重要な役割を果たしていると考えられています[2]。しかしながら、毛や皮膚の形作りに重要とされる毛包や表皮を形成する細胞での亜鉛の働きは、十分に解明されていませんでした。
共同研究グループは、皮膚の毛包に発現する亜鉛の輸送体(亜鉛トランスポーター)[3]「ZIP10」に注目し、その役割について、マウスと培養細胞を用いた実験から解明に挑みました。その結果、ZIP10が欠損すると表皮の形成が著しく阻害され、皮膚バリア機能[4]が失われることが分かりました。また、毛包の形成も阻害されて、ZIP10 の欠損が毛の形成にも支障をきたすことが判明しました。さらに詳細に調べると、毛や表皮などの上皮性組織の形作りに重要な転写因子である p63の活性が、ZIP10 の欠損によって低下することが分かり、ZIP10が輸送する亜鉛が、p63の活性制御に関与していることが明らかになりました。
今回の成果は、亜鉛トランスポーターZIP10が毛包や表皮の形成に必要であることを示しています。今後、ZIP10の機能を詳細に調べることで、毛や皮膚に関連する病気において、ZIP10が有用な治療ターゲットとなることが期待されます。
本成果は、『米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)』の電子版に米国東部時間10月23日午後3時に掲載されます。
         
        
発表された論文全体は長いので、全文を読まれたい方は、リンク先を参照ください。
アトピー性皮膚炎の研究の中でも、表皮の育成因子が発症や悪化要因に大きく関わっている、という報告はこれまでもありましたから、表皮に関する部分、そしてそれがバリア機能に影響を与えいてる部分は、重要なポイントになると思います。
注意点としては、亜鉛そのものを補えば良いのか、という話ではなく、亜鉛を運ぶトランスポーターの因子が不足することが問題、としている部分です。
ZIP10(亜鉛トランスポーター)が欠損、あるいは少なくなる要因がどこにあるのか、またそれを増やすためにはどうすれば良いのか、これらはこれからの研究次第かと思いますが、表皮に関わる研究として、注目しておきたいと思います。

                      
おまけ★★★★博士のつぶやき

最近のアトピー性皮膚炎の研究結果を見ていると、キーワードがいくつか見えてくる。
        
・バリア機能
・表皮
・水分
        
などが、悪化や発症に関わってきている節がみられるの。
今後の研究に期待したいところじゃ。