病気になるとなぜ不安になるのか?

大田です。

 

 

 

 

 

 

 

                      
アトピー性皮膚炎に限った事ではありませんが、ヒトは、やっかいな疾病に罹患したとき、不安な気持ちに襲われることがあります。
当たり前のことのように思われますが、この「不安な気持ち」は免疫に深い影響を与えていたようです。
          
         
●免疫活性化を起因とする不安・恐怖亢進メカニズムの解明
-病気で不安になる仕組みの一端を発見-
http://www.riken.jp/pr/press/2017/20171024_1/
       
▼要旨
         
理化学研究所(理研)統合生命医科学研究センター粘膜免疫研究チームのシドニア・ファガラサン チームリーダー、宮島倫生研究員、章白浩特別研究員らの共同研究グループ※は、マウスを用いて免疫活性化を起因とする不安・恐怖亢進メカニズムを明らかにしました。
          
免疫細胞の一種であるT細胞[1]は風邪や病気などで活性化されると、細胞内代謝を変化させることで、持続的に増殖したり、エフェクター機能[2]を発現したり、免疫記憶[3]をつかさどったりすることが知られています。しかし、持続的な免疫細胞の活性化が細胞外の全身性のメタボローム[4]に与える影響は明らかになっていませんでした。また、免疫系と神経系の生理システムの相互作用についてもまだ多くの謎が残されています。
今回、共同研究グループは、慢性免疫活性化モデルであるPD-1[5]欠損マウスを解析し、活性化したT細胞により全身性の血中メタボロームプロファイル[4]が変化することを明らかにしました。なかでも、アミノ酸のトリプトファン[6]やチロシン[6]の血中濃度が減少していましたが、その原因はリンパ節で活性化・増殖したT細胞が細胞内にトリプトファンやチロシンを多量に取り込むためであることが分かりました。また、トリプトファンやチロシンはPD-1欠損マウスの脳でも減少しており、それらを前駆体とするセロトニン[7]やドーパミン[8]という神経伝達物質[9]も脳で減少していました。さらに、セロトニンやドーパミンの減少に伴い、PD-1欠損マウスでは不安様行動や恐怖反応が亢進していることが分かりました。これらのことから、免疫活性化に起因する前駆体アミノ酸の減少による神経伝達物質の欠乏が不安様行動や恐怖反応の亢進を引き起こすというメカニズムと、免疫系と神経系の生理システムの相互作用の一端が明らかになりました。
精神疾患の中には、免疫活性化に伴うメタボローム変化に起因して発症する場合があることが予想されます。今後、実際の精神疾患の患者において、免疫系の活性化、免疫系遺伝子の変異、メタボローム変化を調べることで、これまで不明だった発症原因の解明につながると期待できます。
本研究成果は、国際科学雑誌『Nature Immunology』に掲載されるのに先立ち、オンライン版(10月23日付け:日本時間10月24日)に掲載されます。
          
         
記事全体は、かなり長いので、要旨の部分だけを抜粋いたしました。全文をご覧になりたい方は、リンク先でご確認ください。
記事中に出てくる、免疫活性化に伴うメタボローム変化は、アトピー性皮膚炎の病態そのものに直接影響を与えるものではないでしょう。
ただ、不安行動や恐怖反応が免疫機能に影響を与えることは確かなようです。
「病は気から」「気持ちの持ち方ひとつで病気は治る」など、気持ちの持ち方と関連する言葉は昔からありますが、アトピー性皮膚炎の方でも、前向きな人の方が症状の改善が早い傾向がみられますので、関連性はあるのでしょう。
不安な気持ちを抱かないようにすることは、症状次第で困難な場合もありますが、こうした研究結果もあることを踏まえた上で、気持ちの切り替えを行うようにしていきましょう。

                     
おまけ★★★★北のつぶやき

今回の記事に関連する研究として、あとぴナビ12号では、ストレスが病気を招くメカニズムを突き止めた北海道大学遺伝子病制御研究所・大学院医学研究科・分子神経免疫学分野の研究成果を紹介する予定です。
お楽しみに。