インフルエンザのワクチンは効いていたのか?

東です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                       
少しずつ寒くなってきました。
これから冬になってくると、気をつけなければならないのが、インフルエンザの流行でしょう。
一般的に、予防としてインフルエンザのワクチンを接種する方も多いようですが、ワクチン接種の効果については、効く、効かない、という部分でいろいろな説があるようです。
今日は、アメリカの報告で、最新のインフルエンザのワクチンの効果について研究した記事を紹介しましょう。
          
          
●2015/16年に子供のインフルエンザワクチンは効いていたか?
https://medley.life/news/59e5916faf964754ad2811de/
               
インフルエンザウイルスは流行する型が毎年違い、ワクチンも流行予測をもとに作っているため、ワクチンの予防効果は年によって少しずつ違います。2015/16年シーズンの子供のデータから有効率が報告されました。
             
▼2歳から17歳でのインフルエンザワクチンの有効率
             
アメリカの研究班が、2015年末から2016年初のインフルエンザ流行について、2歳から17歳の子供でのインフルエンザワクチンの有効性を調べ、専門誌『Clinical Infectious Diseases』に報告しました。
アメリカ8か所の施設(フロリダ州、ミネソタ州、ノースカロライナ州、オハイオ州、オレゴン州、テネシー州、テキサス州、ウィスコンシン州)で、2015年11月30日から2016年4月15日までに発熱と呼吸器症状が出て5日未満で受診した2歳から17歳の子供のデータが記録されました。研究班は、対象者の鼻から取った検体からインフルエンザウイルスの遺伝物質が見つかるかを調べ、ワクチンを打っていた子供と打っていなかった子供を比較して、有効率を計算しました。
             
▼生ワクチンで46%、不活化ワクチンで65%
             
対象となった1,012人の子供のデータを解析しました。ワクチンを打っていたかどうかで分けると次のようになりました。
      
・未接種:59%
・生ワクチン:10%
・3価不活化ワクチン:10%
・4価不活化ワクチン:20%
・不活化ワクチン(3価か4価か不明):1%
             
インフルエンザワクチンには種類があります。日本で主に使われているワクチンは4価不活化ワクチンです。2014/15年シーズンまでは3価不活化ワクチンが使われていました。
生ワクチンは日本では未承認です(2017年10月時点)。生ワクチンは針を刺さず鼻からスプレーすることで予防接種ができるとされています。
生ワクチンと不活化ワクチンに分けて有効率を計算すると次の結果が得られました。
          
「すべてのインフルエンザに対して、ワクチン有効率は生ワクチンで46%(95%信頼区間7-69%)、不活化ワクチンで65%(95%信頼区間48-76%)だった。」
            
生ワクチンの有効率は46%、不活化ワクチンの有効率は65%でした。不活化ワクチンのほうが有効率が高いように見えますが、統計的には偶然としても説明がつく範囲でした。いずれも未接種に比べるとインフルエンザが減っていることが確認できました。
          
▼2015/16年もワクチン有効
             
2015/16年のアメリカのインフルエンザ予防接種の結果を紹介しました。
同じ2015/16年のアメリカの別の統計によると、不活化ワクチンは有効だったが生ワクチンの効果は確認できなかったとする報告もあります。
2016/17年シーズンについては、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)が生ワクチンを「使うべきではない」と明言しました。理由として、2013年から2016年までのデータで生ワクチンの効果が弱かったことが挙げられています。
生ワクチンは日本では未承認のため、知らずに使ってしまうことはほとんどないと思われます。不活化ワクチンについては、例年有効率が報告され、効果が確認されています。
2017/18年の流行シーズンに向けて予防接種が各地で始まっています。全国的な流行が始まる前にワクチンを打っておくことで高い効果が期待できます。まだ打っていない方はぜひ検討してください。
         
             
記事によると、インフルエンザのワクチンを接種した方が予防の効果があったとしています。
ただ、一般の方は予防効果があった、とした場合、接種すれば「インフルエンザに罹らない」とイメージする方が多いのですが、実際には、生ワクチンで46%、不活化ワクチンで65%、表面の数字上は、おおよそ2人に1人しか、その効果は期待できないことになります。
もちろん、インフルエンザワクチンを接種することでインフルエンザに罹患しなければ、病院に行きませんので、統計の数字に現れにくい、という部分がありますから、実際のワクチン接種によるインフルエンザに罹らない「期待値」は少し違うことになるのでしょう。
問題は、このインフルエンザに罹患しないことによる「利益」と、ワクチン接種による副作用の「不利益」の比重をどのように考えるかでしょう。
もちろん、副作用の発現率は、非常に低い数値ですが、逆にいえば、必ず誰かに副作用が発現していることも確かです。
インフルエンザに罹患することによる「死亡率」との比較も必要ですが、その接種には一定のリスクが伴うことも承知して行うことが大切でしょう。

                          
おまけ★★★★南のつぶやき

予防接種は、接種した本人が受ける「利益」だけでなく、社会全体で受ける「利益」という部分もあります。つまり、インフルエンザの予防接種を受けた人が「防波堤」の役割を行い、罹患した患者の拡散を防ぐ、というものです。
当然、インフルエンザの罹患者が減れば、結果的にウィルスとの接触回数が減りますので、ワクチンを接種して効果が無くても、結果的に接種者全体で「予防」の効果を示している、ということになります。
接種した人が受ける副作用のリスクは深刻なものもありますので、「受けない選択肢」も大切かもしれませんが、「受ける選択肢」にも大きな意味があることは忘れないようにしましょう。